関西例会部会
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第150回 関西例会レポート

関西例会KP 吉岡 幸恵 : 11月号

「「影響力の法則®」を活かすステークホルダーマネジメント」

講演者: 鈴木 道代様 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス
開催日時: 2019年10月11日(金) 19:00~20:30

<はじめに>
プロジェクトの成功には、プロジェクトに影響を与える、もしくは、プロジェクトから影響を受けるステークホルダーの支援・協力を得ることが不可欠である。様々なステークホルダーと信頼関係を築き、彼らの力を活用するために、積極的に働きかけることで、ステークホルダーを動かす、それが「影響力」である。
本講演では、ステークホルダーマネジメントのポイントと、影響力を発揮するための「影響力の法則®」の概要について解説頂きました。

<講演概要>
プロジェクトには様々なステークホルダーが関わり、彼らと良い関係を作っていけば、プロジェクトはよりうまくいくだろう。しかし、顧客や上司、ベンダーなどのように、直接コントロールできないメンバーにどう働きかけるのか。
熱意をもって話をして、目的に共感して、協力関係をつくるというやり方があるだろう。
ここでは、プロジェクトに直接関係のない人にいろいろな経路で行使する「影響力」、お互い対等な立場で協力を約束する、誰かに照準をあてて約束するという、エンゲージメントの獲得を目指すための「影響力」について取り上げられました。

影響力とは、権限の有無にかかわらず人を動かす力である。
では、誰をどのように動かしたいか、そのためにどうするのか。

人を動かすには、相手が求める何かを提供し、こちらの欲しいものと価値=カレンシー(貨幣の意味)の交換をする。
相手が価値を感じる何かを提供することが人を動かす。
相手が何に価値を感じるかを知っており、提供できる人が影響力を発揮する人である。

そこでは何を渡すのかが重要で、相手が何に価値を感じるかを知ることが必要になる。
こちらから渡したものが相手の心の的にあたらないと欲しいものを得られない。

渡したものが心の的にあたらないのは、相手の世界が理解できていないからである。
相手の世界とは、担当業務の性質、どんな仕事をしてきたか、
何を元に評価され、報酬をうけているか、その人が周りから受ける圧力、同僚からどんな期待をうけているか、組織文化・風土、今までうけた教育やトレーニングの内容などである。

交換価値には、もの、情報、態度、気持ち等に関するものがある。
否定的なカレンシーというものがあり、相手に頼まれたときに協力を断るというのは否定的で、人はいやなことをされるとずっと覚えているものである。
相手が価値をおくことに対して、その価値が認められないと相手は動かない。
多様性を認め、自分がわからなくてもリスペクトする気持ちが大事である。

影響力の法則®のステップは次の6つ。
法則 1:(どんなに嫌な人でも仕事の上では)味方になると考える
法則 2:目標を明確にする
法則 3:相手の世界を理解する
法則 4:カレンシーを見つける
法則 5:関係に配慮する
法則 6:目的を失わない

最後には、相手の価値観を考えるときは概念で考える、具体的に何かを渡すという、コンセプチュアル思考についても触れられ、コンセプチュアルスキルの説明もありました。

<おわりに>
プロジェクト成功のためにステークホルダーを動かすことが大事ということはわかっていても、実際には難しいものですが、そのための方法として、「影響力の法則®」について、身近なたとえやテレビドラマの内容、経験などのお話を交えながら、わかりやすいことばで丁寧に説明頂きました。
途中に個人ワークがはさまれ、参加者のみなさんが自分事として考え、さらに隣の方と意見交換することで、より実感できたのではないかと思います。
プロジェクトに関わる方々との世間話の場は、相手の世界を理解して、カレンシーを見つけるための絶好のチャンスであり、これからは意識してみようと思いました。
講師の方の講演においての価値観をみなで推測するという場面がありました。
講師の方が考えられていた価値は、「おもしろくないとダメ。使えるものを提供したい。」ということでした。
講演後には、講師の鈴木様に盛大な拍手が送られました。カレンシーの交換となっていれば幸いです。

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