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　田中　弘 (たなか・ひろし)

田中弘日本プロジェクトマネジメント協会元(初代)理事長。
SKEMA経営大学院大学(フランス)博士課程協力教員、慶應義塾大学大学院ビジネススクール協力教員、岡山県立大学客員教授、ウクライナ国立科学技術大学3校名誉教授、セネガルCASR3PM大学院大学首席教授。
日揮株式会社出身。グローバル・プロジェクトマネジメント・コミュニティーで40年の活動歴を有する。
Ph.D (フランス)。元　PMP^® (1996－2016)。

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「グローバルPMへの窓」(第138回)
岡山県の躍進を願い

グローバルPMアナリスト　田中　弘　[プロフィール]　：10月号

　9月15日に東京オリンピックマラソン代表のうち男女2名ずつを選出するマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)レースが行われた。筆者が住む町田市では、市出身(我が家から徒歩3分の小学校出身)の大迫傑選手と関根花観選手を応援しようと二人にゆかりの競技場にパブリックビューイングが設定されたが、関根選手は残念ながら足の疲労骨折で出場キャンセル、大迫選手は3位で、オリンピック出場権は保留となった。
　そんななかで、女子優勝は岡山天満屋の前田穂南選手で、岡山は大変盛り上がった。そして先週日曜日にはSmiling Cinderella渋野日向奈子選手がLPGAツアー3勝目を挙げてさらにヒートアップ。
　岡山は兵庫と広島という知名度が高い両県に挟まれてちょっと地味であるが、多くのアスリートやプレイヤーを生み出したスポーツ県である。また、選手のトークに迫力があるのが岡山である(故星野監督、有森裕子選手、陸上長距離チャンピオン新谷仁美選手、渋野日向子選手など)。「じゃけー」や「じゃろー」がポンポン出てくる。
　その岡山県に9月16日から20日まで滞在した。総社市(倉敷市の北)にある岡山県立大学で、恒例の英語・日本語バイリンガル授業、大学院共通「プロジェクトマネジメント実践論」集中講義を実施した。後半2日間は、国内で、英語で教える授業や海外社会人研修でチームを組んでいる井上多恵子先生に加わっていただいた。今年は日本人学生のみの授業であったが、我々二人は日本人に英語で教えることに慣れているので、何のてらいもなく教えることができて4日間で22コマ(一コマは90分)の超ハード日程を無事こなした。


緑多き岡山県立大キャンパス	地域開放でイベントに訪れた高校生

　岡山県立大学は、保健福祉、デザイン、情報工学の3つの学部・研究科から成る中堅規模の大学で、専門性が高く、研究も教育も実習が多く、日本の現在のニーズに合った質の高い教育を行う大学であり、毎年9月に本学で授業を行うことは筆者にとって大学院教育グローバルツアーのなかで大変重要な意味をもっている。
　筆者と岡山県にもともとの縁はなく、横浜の大学院の弊講義に参加して筆者の講義法に興味を持った本学の先生の要請で、一回の約束で2014年に出講したが、これが双方にとり興味深い結果となったため、その後履修生の組み合わせにつきいくつかのケースを試しつつ、現在の大学院共通集中単位授業となった。
　一部の社会人学生以外はプロジェクトの実地経験がないなかでのPM実践論の講義であるが、院生であるので専門分野を持ち、また、学生がチームを組んで演習や実習を行うことに慣れているので、PM論の小演習では短時間で優れた成果がでる。またプロジェクト創生論でも、演習で地域・大学密着のプロジェクト提案が日本語で纏まるが、発表は英語のスライドを使って行うので、ここで乗り越えるべき課題が明確になる。
　岡山駅または倉敷駅から列車で30分、徒歩7分に位置する岡山県立大学のキャンパスは広大で緑溢れ、建築物も一流のデザイナーに依頼して設計したようで調和がとれ美しい。これぞ大学という雰囲気がある。また、弊授業が大学院共通科目となった際に完成したアクティブ・ラーニング用の教室はAV設備、演習の作業性や防音効果に優れていてプロジェクト・ベースト・ラーニング(PBL)を実施する我々2名の講師には大変ありがたい。
　県立大学であるので、地域コミュニティーとの結びつきを大事にしており、キャンパスが地域に開放されており、今回の講義の際にも、幼稚園児が後ろのドアから英語で講義をする我々を珍しそうに見に来たり、近くの高校生のグループが県大の施設を借りてセミナーをしたりと雰囲気がよい。
　岡山県は海の幸、山の幸(渋野日向子選手が大好きな猪肉や、そのコーンビーフならぬコーンシシもある)、ブランド果実に恵まれ、バラ寿司(海鮮チラシ)、ホルモンうどん、カキオコ(牡蠣のお好み焼き)などのB級グルメにも引き付けられる。S級観光資源の瀬戸内多島群や美観地区で有名な倉敷市もあるし、環境共生に興味がある人には高梁川流域学校というレベルの高いプログラムもある。岡山市は駅周辺にショッピングセンターや、安価で地域色の強い飲食店が固まっており、出張者や観光客にいたって便利である。
　このコラムで、筆者には、ヨーロッパの中央駅で数時間列車の出入りや旅客の動きを観察する習慣がある、と書いたことがあるが、日本であると岡山駅だ。すべてJRで7つの線が集まる。筆者が県立大通いで利用する吉備線は桃太郎線の愛称があり桃太郎伝説のイラストが車体に描かれ、瀬戸大橋を超えて予讃線に入るJR四国の松山駅行きの列車にはアンパンマンが描かれている。
　皆さん、ぜひ岡山においでください。 ♥♥♥