グローバルフォーラム
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「グローバルPMへの窓」(第137回)
リール、フランス また来る日まで

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :9月号

 今月(8月)、6年ぶりにスマホを復活した。スマホを止めて以来データ契約無しのタブレットとガラ系携帯電話の併用でそれほど不便はなかったが、自分も家族も年をとってきたので生活安全優先でスマホ復活となった。キャリアーも20年ぶりで大手間の乗り換えとなったが、月次使用料がこれまでのガラケー携帯電話使用料より安くなったことと、今どきのスマホ(Google Pixel 3a)の機能性の高さに大変驚いている。それはよいのだが、これで仕事用のPC3台、仕事用とプライベート用のタブレット1台、スマホ1台のOAラインアップとなり、各々のデータ情報を最新に保つのが大変となった。PCのうち1台は電源回りに不安があり退役予定であるが、このPCにほとんどの情報が詰まっているので困ったものだ。
 8月16日からフランス北部リール市で開催のEUのマネジメント研究機構European Institute for Advanced Studies in Management (EIASM)とSKEMA Business School 主催のEDEN Doctoral Seminar - Perspectives on Projects出席のため一年ぶりにフランスに行った。SKEMAのEDEN Seminarは欧米プロジェクトマネジメント学会の最高峰にあり、筆者は2003年から参加し、毎年発表を行ってきた。
 愛着はあるのだが、近年内容も学生の参加者も変容しており、本年から不参加と決めていたが、SKEMAから招待状が届いたので、親しい協力教員達との再会もあり、急遽参加を決めた。

SKEMA EDEN Doctoral Seminar 2019参加者
SKEMA EDEN Doctoral Seminar 2019参加者

 最盛期の2009年頃には170名くらいの参加者がいたが、ここ4年ほどは50名を切っており今年は35名まで落ちた。うち本来の主役である博士課程生が10名しかおらず、ほとんどの学生が中東出身となった。欧州諸国の長引く不況、プロジェクトマネジメント研究熱の低下、著名教授の引退や方向転換などがEDENセミナーの勢い低下に結びついたと見る。
 今年のセミナーテーマはSKEMAとして思い切った方向転換で、Data Transformation in Project Managementとした。招待学者からのプレゼンテーションは、テーマに合致していないか、データ変革(DX)自体の技術的な話でプロジェクトマネジメントのコンテキストを踏まえてないかがほとんどで、期待はずれであった。
 長年の協力教員仲間たちは、このセミナーテーマではと、発表を行わなかったが、筆者はProject & Program Management(Upfront Phase) in the Digital Transformation (DX)and Green Growth Days: East Asian Practitioner’s Perspectiveと題したプレゼンテーションを提案し、60分で話をまとめた。7月には慶應義塾大学のオープンセミナーでこの内容の講義を行ったばかりであるので、発表が決まったのはリールに来てからであり、大した練習はしてなかったが、円滑に話ができた。

田中弘第16回EDEN発表 SKEMA DBA Professors
田中弘第16回EDEN発表 SKEMA DBA Professors

 リールは、これぞヨーロッパという美しい街並みとEuroCentreと称される商工業のダイナミズム、それに20万人の学生を有する大学都市である。リールは60歳を過ぎてからの筆者の人生に多いなる充実を与えてくれた街であるが、アカデミックとしては、これにて中締めとなる。セミナーの発表を水曜日の午後3時に終え、TGVでパリ空港へ、そして深夜のエールフランス便で帰国した。よく眠れたが、左足が痙攣した。 ♥♥♥

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