1 ) |
シラバス(講義要綱)を最初に丹念に説明する。この科目を修了したら何ができるようになるのか、それが、学生が社会人になってからどのように役に立つのか、どのような講義要素の達成がどのような成績得点に結びつくかを明らかにする。これは講義方針と公平性の共有で、学生が教員を信頼する第一歩となる。 |
2 ) |
学生は、まず常勤教員であろうと客員であろうと、当初この教員が自分たちの味方かどうかを見極める性向がある。その間は決して動かない。従い、最初の2セッションは、学生の緊張を解きほぐすように学生に身近な話題を含めながらゲームメーキングを行い、こみ入った質問や無茶ぶりをしない。そして、出来るだけ早く小演習を設定し、討議の結果を板書してグループ発表をしてもらう。今どきの大学院生は課題を教員側から与えての小演習には大変慣れているので、すいすいこなす。その出来栄えを、きちんと、良かった点を具体的に述べてフィードバックすると、学生に自信がつき、信頼関係が芽生え始める。 |
3 ) |
2日目になると、個別でも、教員の質問に答えが返ってくるようになり、双方向コミュニケーションを入れたコース運営ができるようになる。また英語での講義も学生にかなり分かるようになる(日本の大学院であれば、必要に応じて日本語の解説も入れる。) |
4 ) |
筆者の講義はProject-based Learning (PBL) 方式を採り入れている。PBLではコアとなるのは、学生グループが自ら選択した有意なプロジェクトテーマを展開し、当該プロジェクトの概念を創る、プロジェクト構想化のメソドロジー3から5(教えている大学院により異なる)から、適切なものを選択し、構想化の概略を説明する、そして構想化したプロジェクトのプロジェクトマネジメント計画(WBS、コスト、スケジュール、リスク分析、プロジェクトマネジメントの戦略)を作るプロジェクトスタディー(ワークショップ)である。学生は、このワークショップには強い興味を示す。学んだことをすぐ活用できてプロジェクトを企画するチャンスがあると、科目の学習効果もぐんと上がる。 |