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「エンタテイメント論」(137)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] :8月号

エンタテイメント論


第 2 部 エンタテイメント論の本質

6 創造
●新しい時代への期待と不安
 前号で論じた「人生100年論」、AI技術を核とする「DX(Digital Transformation)」、「第4次産業革命」などに対して、ある人物は明確に、ある人物は漠然と、何らかの「期待と不安」を抱く一方、ある人物は全く関心を示さない。

出典:第4次産業革命
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出典:第4次産業革命
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 筆者は、「経営コンサルタント」の仕事を自分の会社の事業の一つとして実行している。その関係から上記の期待と不安を抱く人達から様々な経営相談や業務相談を受ける。またその際、個人的な相談も受ける。この事を前号で紹介した。しかし紙面の制約から筆者が個人的相談に如何に答えたか? これは今月号で明らかにすると約束した。

●約束内容の開示の前に再度、指摘したい事
 最近の新聞記事は各紙とも、ほぼ連日、「AI技術」の記事を掲載している。この記事の内容は「期待説」と「不安説」に大別される。

 「期待説」の内容は、企業がAI技術を積極的に活用して事業改革(ビジネス・イノベーション)や新規事業の開発で効果を出しつつある事、AI技術による癌の遺伝子解析で効果を出している事、また各種の医療検査事業やゲノム編集食品事業などが立ち上がっている事、国や自治体は、AI技術による業務の迅速化、効率化、公サービスの向上などを「働き方改革」を交えて推進し、効果を出しつつある事、AI技術で単純作業から人々を解放しつつある事、専門性が高く、大量で複雑なデータの収集・分析・評価と云う「シンドイ作業」から人々を解放しつつある事、解放された人達はより「創造的な業務」や「創造的な経営」に専念できるため「遣り甲斐」を感じ始めつつある事などである。

 「不安説」の内容は、AI仕事ロボットで単純労働、専門職が無くなる事、管理職の大半が無くなる事、スポーツ、塾などの先生の仕事が既にAI先生に代行されつつあり、AI先生の評判がすこぶる良く、この分野の仕事の大半が奪われる事、AI技術の進化で所得格差が更に拡大する事、AI技術開発、AI新事業開発、AI天才教育で日本は決定的に遅れている事などである。

 「不安説」では、特にAI技術の開拓者であるカナダ・トロント大学・ジェフリー・ヒントン教授の弁に注目すべきある。彼は「AI技術に依るプライバシーや差別の問題よりも、人間を抹殺する“AI無人兵器の開発”を重視し、抑制しないと人類の危機になる」と警告している。

出典 AI仕事ロボットへの期待と不安
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出典 AI仕事ロボットへの期待と不安
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●期待論と不安論への筆者の考察
 AI仕事ロボットによる「職」の半分が失われる議論に、日本の学者や評論家等は意外に反対している。その根拠は「ルーティング・ワーク」がAI仕事ロボットで代替される時期はまだまだ先である事、ロボットに依って「雇用機会」が奪われる「定説」や「合意(コンセンサス)」は存在しない事などである。

 一方彼らは人々にITスキル、AIスキルの体得を薦め、DX時代をリードする主役企業はGAFAなどのIT企業であるから体得した技術を同企業で生かすべきであると力説している。しかし職の消失はまだまだ先に起こること、その事に関して定説も、合意もないと主張するなら、何故、その様な推薦や力説するのか。自己矛盾である。そもそも「定説」や「合意(コンセンサス)」がないから、その様な事態は起こらないと云う主張はナンセンスだ。

 日本も、海外の経営者も、表に出さないが、裏で抱いている事がある。それはAI仕事ロボットが代替できる仕事しか出来ない社員で創造的な仕事は一切出来ない社員は会社を辞めて欲しいと「本心、本音、本気」で願っている事である。AI仕事ロボットの普及で「職」が自然に無くなるのではない。経営者は、昼夜を問わず、不平・不満を一切云わず、忠実に、確実に仕事をするAI仕事ロボットを必死で活用し、ダメ社員に辞めて貰う様に裏で積極的に動くのである。半減どころか、もっと減ると考えるべきであろう。

 学者達は「ITスキル、AIスキル」の体得のための「自己研鑽」も強く主張している。しかし研鑽し、体得し、活用できる様になっても、劇的進化をするAI技術の新しい技術に対応できなくなる。この問題を如何に解決するか? 彼らは誰も答えていない。

 IT技術やAI技術は、あくまで「技術」である。「新しい事業」を起し、成功させる。新しい事業が積み重なって「新しい産業」を起し、発展する。更に新しい産業が集結して新しい経済を起し、発展する。この一連の流れを起こすためには、IT技術やAI技術は、「原動技術力」にはなるが、「事業創造原動力」にはならない。その力は人間の「優れた発想(思考)」と「優れた発汗(行動)」でしか生まれない。

 日本政府が憲法改正、人生100年時代構想などを議論している間に、世界各国、特に米国と中国は、AI技術に持てる資本の殆どを投下し、世界を制覇するハイテク分野の新事業の実現と成功に「本心、本音、本気」で挑戦している。米国トランプ大統領はハイテク事業分野での米国産業基盤確立のため中国と貿易戦争をしているのである。日本は蚊帳の外にいる。

出典:米中貿易戦争
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出典:米中貿易戦争
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 日本では自動運転、5G、先端IOTなどが話題になる。しかしそれらは氷山の一角である。日本の政治家も、官僚も、企業人も、学者も、国民も知らない「超・最先端技術」と「超・最先端事業」が世界で水面下で極秘で検討されている。それらを水面上に押し上げ、実現させる役割を「天才的人材」と「天才」が担っている。

 中国は「天才教育」を国家事業として約半世紀前から実施し、米国等への留学を積極的に支援してきた。その結果、中国はハイテク分野とハイテク事業分野で米国に拮抗する事が出来たのである。日本はここでも「蚊帳の外」である。

●約束内容の開示=筆者への個人的な相談内容
 < 大企業に勤務する人物達からの個人的相談 >
1 自分は大会社に勤める一般社員(新入・新人社員でなく、管理者でない)である。上司から言われた事以上の事をやっていると自負している。しかし現在、日本の多くの企業で世界的規模で発展している企業は殆ど存在しない。自分の会社は「今のまま」では将来は「ヤバイ」と「漠然と感じて」いる。今、何を考え、如何に行動すべきか? 教えて欲しい。
2 自分は大会社に勤める管理職社員である。定年はかなり先である。管理者としてやるべき事以上の事をやっていると自負している。会社はいろいろな深刻な問題を抱え、「今のまま」では将来は「ヤバイ」と「冷静に認識」している。今、何を考え、如何に行動すべきか?
教えて欲しい。
3 自分は大会社に勤める管理職社員である。定年は数年後である。管理者としてやるべき事以上の事をやっていると自負している。会社はいろいろな深刻な問題を抱え、「今のまま」では将来は「ヤバイ」と「冷静に認識」している。今、何を考え、如何に行動すべきか?
定年後、どうするべきか? 教えて欲しい。

 < 中小企業に勤務又はそれを経営する人物からの個人的相談 >
1 自分は中小企業に勤める一般社員(新入・新人社員でなく、管理者でない)である。上司から言われた事以上の事をやっていると自負している。しかし最近、日本の多くの中小企業は後継者不在などで次々の事業を閉鎖している。自分の会社は「今のまま」では「近い将来」「ヤバイ」と「深刻に感じて」いる。今、何を考え、如何に行動すべきか? 教えて欲しい。
2 自分は中小企業に勤める管理職社員である。定年はかなり先である。管理者としてやるべき事以上の事をやっていると自負している。会社はいろいろな深刻な問題を抱え、「今のまま」では「近い将来」は「ヤバイ」と「冷静且つ深刻に認識」している。今、何を考え、如何に行動すべきか? 教えて欲しい。
3 自分は中小企業に勤める管理職社員である。定年は数年後である。管理者としてやるべき事以上の事をやっていると自負している。会社はいろいろな深刻な問題を抱え、「今のまま」では「近い将来」は「ヤバイ」と「冷静且つ深刻に認識」している。今、何を考え、如何に行動すべきか? また定年後、どうするべきか? 教えて欲しい。
4 自分は中小企業を経営する社長(又は役員)である。社長(又は役員)としてやるべき事はやっていると自負している。会社はいろいろな深刻な問題を抱え、「今のまま」では「近い将来」ではなく、現在が「ヤバイ」と「冷静に深刻に認識」している。今、何を考え、如何に行動すべきか? 教えて欲しい。

●約束内容の開示=個人的相談内容への筆者の回答
 今月号で相談内容への筆者の回答を記述する積りであった。しかし紙面の制約から次号で明らかにしたい。

 ついては次号までに筆者が「如何に答えたか?」 考えていて欲しい。なお本件について筆者に尋ねたいことなどがあれば、PMAJ事務局を通じて連絡して欲しい。

出典:考えて!
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出典:考えて! think+clipart&fr=uh3_news_vert_gs#idaction 出典:考えて! think+clipart&fr=uh3_news_vert_gs#idaction

つづく

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