開発工程上時間がないので作業を開始しました。そして、審査会を開始するとNASAは文書を徹底的に読み込んで指摘票を多量に送ってきました。例えば、「技術の詳細が分からないので、技術内容を提示してくれ。」、「設置する装置の検査は、製造者とは別のグループが行っているか?」、「船内実験室の外壁はリベットで留めているが、リベットの限界強度のデータを提示してくれ。」などの指摘でした。特に、リベットの件では、開発企業から「リベットを打った大型旅客機で毎日世界を飛行しており高い信頼性を長年有しており実績がある」などの返答をしたので、NASAから、「この指摘は、打上げから軌道上の運用寿命までに経験するいろいろな荷重に対して実験室構造が部品を含めて問題がないかを確認するもので、技術データの数値を要求しているのだ。」と教育的指導を受ける場面もありました。審査は、指摘票に指摘事項を書き、指摘者と内容の調整を終了させ本審査会に提示しますが、証拠が適切でない場合には何回も調整することになります。どこまでNASAがチェックすれば終わりなのか明確でなく、米国企業に対する検査のような振る舞いをする者もいて、チーム員の苦情が私のところに山のようにきました。NASAの統括マネジャーに協定上NASAが責任をもたなければならない箇所に審査を限定するよう依頼しました。また、回答が難しい指摘について、どうやればNASAは満足するのか、頻繁にface to faceで相談したところ、彼の経験をもとに処理の仕方の具体例を数多く教えてもらいました。直接頻繁に話をしにいくと、アメリカ人は、意外と親切な方が多いです。