今月のひとこと
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 学生の参加 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :6月号

 先月の末頃、急に真夏がやってきました。ここ数年、母校のOB会に参加して、関西にある城下町をぶらぶらと散策するのを楽しんできましたが、さすがの暑さに午前中だけで逃げ帰ることになりました。この日、某国大統領のニュースで持ちきりでしたが、気候変動の現象ではないかと本気で心配する人も多かったのではないでしょうか。

 PMAJが開催するセミナーやシンポジウムの参加者の年齢層が、年々高くなっています。会を運営するメンバーの間からも「もっと若手を呼び込まなくては」との声が出始めました。とはいうものの、若年層減少の原因分析や若手呼び込み対策検討といった対応はこれからというところです。どうしたものかなと首をかしげているという感じに近く、気候変動を心配してとまどっている状況と似ているかもしれません。気が付いたら取り返しのつかない状態になっているかもしれないという点も似ています。
 先月の東京例会では、自身が携わってこられたプロジェクトを中心に「JAXAの宇宙開発の歴史」をJAXAチーフエンジニア室長稲葉典康氏に講演をしていただき、大変好評でした。そこに、2名の大学生が参加されていましたが、偶然、そのうちの一人に話を聞くことができました。ロボットとか機器の製造・宇宙開発に興味を持っていたのでJAXAの方の講演があると知って参加したそうです。ちなみにプロジェクトマネジメントについては、よく分からないといった答でした。この答が、全学生共通の答ではないのは当然ですが、多数を占めるのではないかと思います。プロジェクトマネジメントの有用性に着目して、カリキュラムの中に取り入れる大学があるという話も聞きますが、全大学の中では極めて少ない数です。多くの学生はプロジェクトマネジメントを知りません。今回のように、プロジェクトマネジメントを知らないけれどもPMAJのイベントに参加してくれる学生というのは、大変貴重な存在です。
 ところで、プロジェクトマネジメントって何ですかと聞かれた時に、どのように答えるとすっきりと分ってもらえるのでしょうか。何らかの形でプロジェクトと呼ばれる活動に携わったことがある人であれば、その時のことを思い出してもらいながら、プロジェクトやプロジェクトマネジメントの定義を説明していくと理解してもらえる割合が高まります。プロジェクトに参加していながらその自覚がない人に説明する場合、時間がなくて手短に説明しなければならない場合等は難度が高くなります。下手な例としてよく見かけるのが、プロジェクトの定義として独自性とか終わりがあるということ持ち出した説明です。「プロジェクトには終わりがある」というのは定義としては正しいのかもしれませんが、最初に持ち出すことでしょうか。人間とは何ですかと問われて「人間には寿命がある」と答えるようなものです。間違いではないけれど十分でもない、結果として趣旨が伝わらないのであれば、答になっていないということです。
 若手を呼び込むために、様々な対策を検討することになりますが、話を聞いてもらったにも拘らず逃げられたということのないよう、プロジェクトマネジメントに興味を持ってもらうようなアピールの仕方も考えていきたいと思います。

以上

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