今月のひとこと
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 PMS資格継続学習基準 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :3月号

 PMAJの事務所は国道一号線・桜田通りに接するビルに入っています。桜田通りといってもその沿道は桜並木ばかりというわけではありません。事務所前には幸いなことに桜の木が植えられていて、既に蕾を大きく膨らませています。あと数日で開くのではないでしょうか。毎年、この時期のこのコーナーは桜の話題になって読者にはご迷惑かもしれませんが、開花が待ち遠しくて、ついつい桜の話になってしまいます。

 現在、PMS資格継続学習制度の見直しを行なっています。といっても、継続学習の内容を変えようということではなく、PMS資格者が学習に伴って行わなければならない手続を簡便にするための見直しです。PMS資格制度発足以来、数年おきに制度運営の見直しを行なってきましたが、継続学習の手続について見直すのは初めてかもしれません。
 見直しのポイントはいくつかありますが、一つはルールの理解しづらさの解消です。編集子自身PMS資格を持っていますが、初めて資格登録した時に送られてきたルールを読み解くのに苦労した記憶があります。内容を変えないということなので、文体や構成を手直しするといったことしかできないかもしれません。解消までは辿り着けず、多少の軽減という程度かもしれませんが、分かり易くなって欲しいと思います。
 現在、外部の有識者を交えた委員会で検討中ですので、5月頃には公表される見込みです。
 2年程前にこの欄で取り上げたことがあるのですが、PMS資格継続学習制度はなかなかの優れものです。人の能力を「知識」と「知識を使う力(実践力)」とに分離することは難しいのですが、PMに係る資格制度を造るにあたり、PMAJの先達はこの難しい概念を取り込みました。PMS資格はP2Mに関する知識の保有者であることを保証、PMR資格はP2Mを使う実践力の保有者であることを保証する資格としました。
 理屈の上では、プロジェクトに携わったことがなくても、P2M標準ガイドブックを読みこなせばPMS資格者となれるということですので、かなり思い切った決断だったのではないかと思います。もっとも、PMはプロジェクトに携わったことがない人には極めて解り難い代物です。PMとは何ですかと問われて、うまく答えられる方が少ないという事実が物語っています。
 ということで、PMS資格者の多くはP2Mに関する知識を持ってプロジェクトに携わっている方だと考えられます。そこで重要なことは、P2Mを使いこなす力(実践力)を磨くということです。実践力を磨くには様々な方法がありますが、その一つひとつを反映したものが「PMS資格継続学習基準」です。例えば、プロジェクトに従事することが継続学習の実績(CPU)としてカウントできます。プロジェクト経験の蓄積は実践力養成に繋がります。プロジェクトに関する新しい技術を修得しようと勉強すると、これもCPUにカウントできます。新技術の素養は実践力の深みを増します。
 こうした継続学習の記録を、いかにPMS資格者に余分な負荷をかけずに見える化できるかが問題でした。PMAJの先達はCPUポイントに置き換えるという手法を導入しました。しかしながら、継続学習の対象が多岐に渡ることから、いわゆる「とっつきにくさ」が残りました。継続学習制度に則って研鑽を積めば、必ず実践力が向上する実効性の高い仕組みであるだけに、手続き面の改善をぜひとも図りたいと思います。
以上

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