『第239回例会』報告
枝窪 肇 : 12月号
日頃、プロジェクトマネジメントの実践、研究、検証などに携わっておられる皆様、いかがお過ごしでしょうか。今回は、10月に開催された第239回例会についてレポートいたします。
【データ】 |
開催日時: |
2018年10月26日(金) 19:00~20:30 |
テーマ: |
「PMナレッジ継承への決め手」 ~「ものがたり」を介したPM実践知の継承を適用~ |
講師: |
富士通クオリティ&ウィズタム 吉野 均氏 |
今回の例会には、ナレッジハンターという肩書をお持ちの吉野氏を講師としてお迎えし、富士通株式会社におけるPM人財育成の手法である「ものがたり」を介したPM実践知の継承法をご紹介いただきました。
○今までの人材育成方法(OJT)
かつてはPJ現場での実践を通して、先輩たちの背中を見て学び、失敗を重ねながらPMとして成長してきたが、今は失敗が許されない環境にあることから現場でPMを育成するような時代ではなくなった。
○今までの知識データベース
PJの成功事例・失敗事例を知識データベースに登録し、検索できる仕組みを構築しても活用が進まなかった。なぜなら、導かれる形式知は「ある条件下でこのようにやった結果」といういわゆる特殊解であり、個別事情を抱えた他のPJには活用が困難だったから。
○PMの人材育成が困難な理由
体系化されたPM知識のような形式知より、むしろ、個人的・経験的な知識行動スキルや思考スキルといった暗黙知のほうが人財育成にとっては重要である。しかしそれは扱いが困難。→何度も修羅場を経験してきた『匠のPM』のナレッジ継承が必要。
○「ものがたり」を介してPM実践地を継承する方法論
ミンツバーグの提言を踏まえ、先達のPM実践知を「経験の記録」として『ものがたり』に残す方法論を、野中郁次郎先生が提唱する知識創造モデル:SECIモデルを応用して作り上げた。
まず、上記のような「ものがたり」を介したPM実践知の継承法が生み出された経緯をお話しいただき、その後、研修で使用している「ものがたり」の事例紹介とともに、研修をどのようなルールで行い、どのような反響・成果があったかをご紹介いただきました。
筆者が感心させられたことは、まず、「ものがたり」の完成度がものすごく高く、本当に自分が疑似体験できる水準のものができていること。そして、その「ものがたり」を用いた研修プログラムが大変効果的に組み立てられているということです。
過去の実際のPJをあたかも自分が経験したかのように感じたうえで、かつ、問題解決の方法をどのように考えるべきかを『PM四択問題』演習でいろいろと考えるという仕組みがあり、この研修を自分も受けてみたい、と心の底から思いました。
今回、このような貴重なお話しをいただき、吉野様には大変感謝しております。
本当にありがとうございました。
最後に、我々と共に部会運営メンバーとなるKP(キーパーソン)を募集しています。参加ご希望の方は、日本プロジェクトマネジメント協会までご連絡下さい。
以上
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