例会部会
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『第238回例会』報告

宮下 真 : 11月号

 今回は、9月に開催された第238回例会についてレポートいたします。

【データ】
開催日時: 2018年9月28日(金) 19:00~20:30
テーマ: 「夢工学式発想法のすすめ」 ~AI技術進化でも職を失わず、豊かな人生を得る~
講 師: 川勝 良昭氏/経営コンサルタント & 東工業株式会社取締役

○日本の危機
少子高齢化、人口減少、地方衰退といった一般的に言われている社会問題に加え、日本は国際競争力、新規事業の起業数の面でもアメリカに次ぐどころか、現在ではアジアの他国よりも低くなっており、アジアの小国に凋落する危機となっている。
デジタル革命の技術を活用できない企業は消滅の危機となり、AI技術により人の職が失われる危機も迎える。
(人間の頭脳に匹敵する真のAIは実現不可との考えから俗に言うAIをAI技術と表現)
このような危機の時代において、勝利し、生き残るためには、経営のプロや仕事のプロになることが必要である。

○夢工学と夢工学式発想法の誕生秘話
川勝氏は米国勤務の頃より、米国人と同様にサクセスストーリーを好み、成功と失敗の方程式を求める「成否研究」へと発展した。しかし、その成果に対する周囲の反応は、表面的な賛意と秘められた反意であり、それは成否を分ける「根源的因子」の不足であった。
その後、奥様を亡くし、悲しみと厳しい生活の中でラジオから流れてきた曲「星に願いを」をきっかけに、成否を分ける根源因子が「夢」であることに気づいた。
「夢」を中核として成否研究を完成させた結果、周囲からの表裏ない賛意を獲得することができた。

○夢工学とは
夢工学の本質とは何か?それは、夢=大好きであり、エルビス・プレスリーの歌、「I want you, I need you, I love you.」で愛する人に向けて込められたような、強烈な想いであり、そのために汗と血と涙を流すことを厭わないという行動となり、成功につながるということである。
この辺りは、プロジェクトマネジメントの方法論では扱っていない部分ではあるが、夢こそすべてといった強烈な想い、それをベースにした発想、そして血と汗と涙での行動が、成功、夢の実現をもたらすという理論である。

○夢工学式発想法とは
真理や原理がシンプルであるのと同様、夢工学発想法もシンプルであり、発想の「在り方」を体得し、「やり方」を実践するというものである。
「在り方」の基本は3つで、1つ目は前述の夢、発想、行動(発汗)である。2つ目が創造の本質の認識であり、ビッグバンから人間誕生に至る連鎖性、木の枝や河川の河口脈、肺臓などの血管脈の等価性を認識することである。3つ目は、3つの脳を認識し、活用するということである。第一の脳が一般に言われる脳で、前頭連合野が人間性・生き甲斐の認識思考と実現行動、左脳が論理認識思考と時間認識思考、右脳が感性認識思考と空間認識思考、といった働きとなる。第二の脳は胃腸であり、感性認識思考と本心・本気・本音の認識思考とつながる(腹が立つ、腹を据えるなど)。第三の脳は皮膚であり、これも感性認識思考と本心・本気・本音の認識思考とつながる(鳥肌が立つ、肌に合わないなど)。
「やり方」としては、以下が発想促進法となる。
夢を持ち、その実現と成功に挑戦する人物とともに発想を行う。
夢が実現し、成功している状況と効果を具体的な仮説とする。
成功事例に実在する等価性を見つけ、それを真似した上に個性を付加して発想する。
質より量で多数の発想を行い、3つの脳により優れたものを抽出する。
直感を優れた発想と信じて積極的に活用する。
発想、ヒント、気になる情報を即時・即場でメモを取る。
無から有は生まれないので知識、経験、情報を可能な限り集める。
一人発想と3~4人のグループ発想を組み合わせる。
一人発想の環境と方法を見つけ、習慣化する。
無理と思い込むことを止める。
固定概念と先入観を横に避け、Fantasy and Realityで考える。
「質問は疑い、意見は反対、批判は人格否定」という対人感情を捨てる。
よそ者、異質、新技術、外国を排除する島国根性を捨てる。
安心・安全・安定の現状維持主義を捨てる。
世界は激変中であることを認識し、官僚主義を排除し、既得権益主義と戦う。
夢破壊者を識別、排除する。(今回の説明外の川勝氏の悪夢工学の活用)
 配布資料には、いくつかの具体的な実技指導を要約版として記載している。

 川勝氏の想い、熱の込められたご講演で刺激を受けられた方も多いと思います。この講義をきっかけにして、一人でも多くの方が夢工学および夢工学発想法を実践されることで、創造やイノベーション、社会の活性化にもつながるものと思います。
 川勝氏には、PMAJの活動にご尽力いただいており、例会以外にも講座を開催していただいております。夢工学発想法の実践編である講座も開催(2018年11月16日)されますので、夢工学および夢工学発想法の更なる浸透、展開を期待しております。
 私自身、以前の川勝氏の講演で刺激、学びを得て、主体的な活動に目覚めるきっかけにもなっておりますので、そのような受講者が増えることを祈念しております。

 川勝様、毎回ながらのとても熱い想いを込められたお話をありがとうございました。

 最後に、我々と共に部会運営メンバーとなるKP(キーパーソン)を募集しています。参加ご希望の方は、日本プロジェクトマネジメント協会までご連絡下さい。

以上
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