例会部会
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『第237回例会』報告

枝窪 肇 : 10月号

 日頃、プロジェクトマネジメントの実践、研究、検証などに携わっておられる皆様、いかがお過ごしでしょうか。今回は、8月に開催された第237回例会についてレポートいたします。

【データ】
開催日時: 2018年8月24日(金) 19:00~20:30
テーマ: 「How to best communicate in a Global PJ」 ~多様な国籍の人達とのプロジェクトを成功させるコミュニケーション~
講 師: レジュメプロ代表 井上 多恵子氏/

 今回の例会には、レジュメプロ代表の井上氏を講師としてお迎えし、多様な国籍の人達とのコミュニケーションについて、ご自身の経験をもとにした注意点やどのようなマインドで接するべきかという視点をご紹介いただくとともに、実際のビジネス現場でネイティブが使う英語表現も教えていただきました。

言葉の定義の違い
 国によって/人によって、同じ言葉でも使い方に大きな温度差がある。たとえばASAPという表現は「できるだけ早く・至急」という意味だが、ラテン系の方にASAPでとお願いしてもなかなか返事が来ないということはよくある。この差を感じたとき/この差を埋めたいときには、誤解が無いようにその言葉の定義を早い段階で確認しあうことからまず始める必要がある。
仕事の進め方の違い
インドでバスの運転手の仕事の仕方を通して思い知らされた経験談:
バスのすぐそばに荷物をまとめておいても積み込みを指示しなければ決して荷物をバスには積んでくれない
行き先を事前に伝えてあっても、その運転手が目的地へのコースを把握しておらず、途中から周囲の人に道を尋ねながら目的地を目指した。その結果30分以上遅れて到着した。
日本や他の国での経験だけで、きっとやってくれると思い込むことは危険だと考えなければならない。
仕事の進め方の違い
契約の更新に関する経験談:
一年前に締結した契約の更新の際、既存の契約書と何も変更がないはずの部分に、何の断りもなく文言が追加されていたりする。
 契約書は性悪説で念入りなチェックが必要である。間違いがあれば遠慮せず、根拠と共にCrystal clearに伝える必要がある。
動機づけの仕方の違い
 海外の人は感謝を示すときには大げさな表現を使うことが多い。たとえば単にThank you. ではなく、Thank you so much. としたりする。
 また相手へのフィードバックでは、日本人があまり行わないのに対し、欧米では小さなことでもGood job. と返すなど差がある。
 低コンテキスト文化を前提に、表情なども使って分かりやすく相手に伝えることが大切である。

 他にも多くの経験談を通して、日本人が考えさせられる海外の方々の行動や日本人がやってしまいがちな失敗と、それぞれへの対応マインドを紹介いただきました。

 筆者の感想ですが、ご講演の最中や、ご講演後の懇談の場でも質問がたくさん出されていたことから、海外の方とのコミュニケーションに疑問や不安を感じている方が多いのかなと思いました。
 今回は講師ご自身の苦労した/気づきを得たときの実体験を元にしたお話で、非常にわかりやすく為になる内容であったので、そうした疑問や不安の解消のためには、非常に貴重な機会になったと思います。
 自分自身、海外の方とのコミュニケーションが年々増加してきていると感じているので、今回のご講演内容を踏まえ、コミュニケーション手法を見直そうと思いました。
 井上先生、貴重なお話しをいただき、本当にありがとうございました。

 最後に、我々と共に部会運営メンバーとなるKP(キーパーソン)を募集しています。参加ご希望の方は、日本プロジェクトマネジメント協会までご連絡下さい。

以上
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