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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (55)
高齢化社会の地域コミュニティを考えよう (31)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 10月号

Z. Iさん!
先月号で私は『果報は寝て待て』といった。その結果はどういうことになったかな。
I. ご指示に従い次のことをしました。
再生協議会の公園部会の3年間の報告をし、公園部会は再生協議会の部会を卒業し、今後は各公園愛護会がすべての面倒を見るという結論を出しました。
部会卒業の報告書を提出したので、私たちは今後の展開として、“再生協議会はこれから何をするべきなのか?”を提出することにしました。
i. 再生協議会第一次計画は何をしたか、とその成果
ii. 再生協議会の現テーマのこれからの展開として
町が提示した総合戦略4つのビジョンを作表し、第一次計画の位置づけを4つの基本目標のどれに当たるかを明記した。
次に第二次計画では何をするのか基本目標の表の中で、その位置づけを示した。
ここで明確にしたことは、「第一次計画の各テーマは“アベノミックス”の予算があったため、すべて収益を上げないという幹部の方針があった。しかし、第二次計画ではどのような収益をもたらすか検討し、明記すること」とした。
iii. 更に、再生協議会の将来の在り方として、『第三次計画と再生協議会の進む道』を別途つくり、機会があれば提出しようと待機した。
Z. なかなか、やるじゃないか。結果はどうだったかな?
幹部は素直に受け取ったかな。
I. 最近開かれた会議は協議会内部の公園部会だけの打ち合わせであったが、もう一人の幹部(事務局長)が町役場の再生協議会担当部署の担当者と新任の課長に声をかけていた。そのため、とんだハプニングが起こされました。
Z. ハプニングというのは、時に幸運をもたらすから面白い展開になったのかな。
I. どんなハプニングがあったのか。
最初に公園部会の話をし、来年度からは公園愛護会が必要な対応をするので、公園部会は卒業にしたい旨報告しました。
この瞬間会長から公園部会の結果はこれで終了し、「今後は必要に応じて、公園愛護協会が対応します」と会議終了宣言をしました。
実はここでハプニングが起きたのです。
Z. どんなハプニングかね?
I. 実は私が会議室に入ったら、役場の新任課長と班長が座っていました。そこで、資料が2部不足なことに気が付き、定刻前だったため、会議場から5分の自宅まで追加の資料を取りに行きました。私が席に戻ると、(様子を見て提出する予定の)“再生協議会はこれから何をするべきか”が全員に配布されていました。
・・
しまったな、と思いましたが、回収せずに、話を進めました。
公園部会の話の終了時点で会議の終わりを、会長が宣言しましたが、事務局長がすでに、資料を読み始めており、今後何ができるかというのは興味があるから説明してほしいと頼まれました。
Z. それは面白い展開になってきたね。
I. 会長が恐れていたのは、第三次計画の話でした。これは高邁な企画ですから、公社出身の会長が、公社の許可も得ないで、公社が子育て願望の共稼ぎ家庭に今の公社アパートをリフォームして、入居募集をするなどという提案を簡単に許可するはずがないわけです。私の提案の目玉は、人口縮減の地方自治体で、子育て希望共稼ぎ家庭に対し、入居を公募する提案です。私の狙いは子育て応募者に「どのような利益を提供できるか」という点です。
人口縮減の被害者は小学校です。町は小学生の減少に悩まされています。しかし、困っているのは幼稚園、保育園と町立でない民間がもっと厳しい環境に直面しています。
Z. そこでIさんの提案のすごさは何なの?
I. 公社、幼稚園、保育園、町役場、再生協議会と【コミュニティ化した町の老人会】でコンソーシアムを組みます。このコンソーシアムは子育て環境をこれまでにない形で実現し、町の住民の幸せ度を向上する、という内容です。
Z. どのような価値を提供するのかな。
I.
公社は遊休アパートの処理に困っています。そこで「共稼ぎ子育て家庭、シングル・ママ」に希望を与えるリフォームした住居を提供するメリットを与える。
保育園は予約待ちのない体制を確立し、応募者にメリットを与える。
幼稚園では小学校入学前教育(ペルー方式)の提供でメリットを与える。
(これは社会に出てからの出世率が高いとの実績のある方式で文科省が推薦)
共稼ぎで保育園への送り迎えに困難な幼児の面倒を見るために【老人会の子育てコミュニティ】が共稼ぎ家庭の困難を救済する提案をする。
人口減少で限界集落化がみえている、自治体、あるいは国に人口減を少しでもへらす努力をしている子育て共稼ぎ家庭に何らかの補助金を提供するお願いをする。
派生的には現在小学校の低学年の下校への見守り運動ができていない。
コンソーシアムの中には幼稚園児の送迎バスがある。このバスを活用すると1,2年生児の下校への手助けができる。そのためには幼稚園の送迎バス利用のためにNPO法人化することで課題が解決するかもしれない。
Z. なかなか、やるじゃないか。なにかこのような手法があるのかな?
I. 私は日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)の設立と、その後経営戦略研究を10年間続けてきました。どこの再生協議会でも、この種の処理はプロジェクト・マネジメント(PM)で処理します。PMAJではこのような複雑なテーマはプログラム・マネジメントで処理します。プログラムは複数のプロジェクトで構成されますが、複数のプロジェクトを集めて、フラットにならべるとプラットフォームができます。子育て共稼ぎ家庭がプラットフォームの上で、それぞれの組織あるいはプロジェクトから、自分にとってメリットのある何かを取り入れると、ほぼ求めるものを取り組むことができます。これがPMAJが勧めているプログラム&プロジェクトマネジメント(P2M)です。
今回の提案は素晴らしいプラットフォームの上で目的の成果を出せる形となっています。言葉をかえると、他で実行していないXX町スタイル子育てプログラムというブランドが誕生したことになります。
公社出身の会長はプラットフォームマネジメントなど実行したこともありませんから、私の提案を無謀な企画と認識しているわけです。この問題は公社出身者だけでなく、日本的ムラ社会の出身者全員の考え方です。
これが長年私を白い目で見ていた人々の常識的な対応でした。
Z. プラットフォームマネジメントはこれからも大きな価値を生み出していくと思うな。
公社のアパートで多くの子供が生まれる。時間がたって子供が小学生になると、勉強部屋のあるアパートに移動する。子育てが終わると、初老の人々は、高台のアパートから低地のアパートに引っ越すと買い物、医者がよいが便利になる。これが空き家対策かもしれない。子どもがいなくなると老人2名のアパートに移る。最後は在宅介護用住居にお世話になると、煩わしい不動産売買が不要になる。考えてみると、この利便性もかなり優れている。ところでこれからどうするのかね。
I. 9月27日に全体会議があります。この中で再生協議会は重要な子育ての環境整備に焦点を当て、必要な研究をする旨の検討をしてほしいと申し入れをします。
Z. これからは協力して進むようにしてほしいな。
I. わかりました。結果はどうなるかわかりませんが、話し合いを進めることにします。ご意見ありがとうございました。

以上

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