PMプロの知恵コーナー
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「エンタテイメント論」(127)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] :10月号

エンタテイメント論


第 2 部 エンタテイメント論の本質

6 創造
●日本が直面した危機と対処方法
 前号で日本が直面した3つの「危機」を説明した。そして会社として、個人として如何に対処すればよいか? 本号で議論し、「危機」の問題を終わらせると言明した。

 更に長年解説してきた「夢工学式発想法」を総括し、「創造」の章を終結させる一方、「エンタテイメント論の本質」を新たな観点から解説する事も予告した。早く、そうしたいのだが。

出典:経済不況の危機による暴動など ja.wikipedia.org/wiki
出典:経済不況の危機による暴動など ja.wikipedia.org/wiki

 しかし企業として、個人として日本が直面した危機に如何に対処すればよいか? この事をキチンと解説する事を放置して先に進むことはできない。

●日本の危機脱出策を論じる前に
 危機を如何に脱出するか? 簡単には答えられない。しかし危機を主張した以上、筆者には何らかの危機脱出策を提示する必要がある。何故なら筆者は問題指摘や批判ばかりし、何ら具体的な問題解決策も、改革案も示さない人物と思われたくないからだ。

 もっとも日本のメディアに度々登場する有名な学者や有名な評論家の殆どは、問題指摘や批判をするが、具体的な解決策や改革案を殆ど示さす、平気で平然としている。その姿勢を咎めるメディア関係者は皆無である。その結果、日本のメディアでは、いつの間にか、問題を声高に指摘する人物、誰かを批判する人物ばかりが目立ち、高く評価される様になってきた。

 しかし問題を指摘された現場では、コツコツと日々、その解決に取り組み、批判された内容を改革する努力をしている人物が必ずいるものだ。しかし彼らの存在は知らされず、評価されていない。困ったものである。「批判するだけなら、子供でもできる」 と云う。「在り方(基本的考え方)」で問題の解決や批判に耐えて改革する人物をキチンと見抜き、正当な評価をする様に努めようではないか。

●日本の危機脱出策の結論
 現在の日本は、多くの分野で、世界の激変、激動、激震への対応が遅れ、「蚊帳の外」になっている。今後、益々その傾向が強まっていく。

出典:危機脱出Crisis-Edited-1.jpg&action & kuriyaso.net/jobchange/reform-labor-conditions/
出典:危機脱出Crisis-Edited-1.jpg&action & kuriyaso.net/jobchange/reform-labor-conditions/

 日本はこの遅れを取り戻し、「蚊帳の内」に戻り、世界に伍していかねばならない。筆者の危機脱出策は、国レベル、産業レベル、企業レベル、個人レベルで以下に例示した「改革」を断行する事である。

●危機脱出策
 「国レベルの危機脱出策」は、何を置いても、「政治・行政・司法改革」を今度こそ実現させることである。最近、これらの改革は、全くマスコミで議論されなくなった。しかし達成された訳ではない。最近の行政部門と司法部門の身体障害者水増し・偽装雇用の一事をもってしても同改革が必要な事が分かるだろう。

 それにしても日本では「革命」と云う言葉は嫌われ、「改革」と云う甘い表現が好まれる。筆者はやむなく「改革」と云う一般表現を使った。しかし政治・行政・司法改革は成功するか? 答えはNOである。何故なら「改革レベル」では何も変わらないからだ。多くの日本人が恐れて嫌う「革命レベル」で何とか変わるからだ。国に頼ることも、人気取りの政府に頼ることもできないからだ。

 「産業レベルの危機脱出策」は、既に起こっているAI技術を核とする「先端デジタル変革」に対応し、日本の産業界が一致団結して「新しい産業」を興す努力をすることである。日本の「危機の時代」、頼れるのは産業界と企業界だけである。

 しかしまたしても日本では「先端デジタル変革」と云う甘い表現が多い。しかし実態は「革命」の様相を帯びる事をしっかりと認識すべきである。蒸気機関技術やコンピュータ技術による産業革命に匹敵する「産業革命」が必ず起こる。これに対処する覚悟が日本の産業界と企業界にあるか?

 「企業レベルの危機脱出策」は、来るべき「産業革命」に対処する事、日本の大手企業と中小企業が「経営改革(ビジネス・イノベーション)」を意思決定する事、「安心、安全、安定」の「現状維持型経営」でなく、世界の激変、激動、激震を先取りした「不安心、不安全、不安定」を覚悟した「夢実現型経営」を実行する事である。

出典:意思決定 decision-making-process-a-new-way
出典:意思決定 decision-making-process-a-new-way

 この経営改革に最も不可欠な経営資源は、資本、物、技術などでなく、「人」である。この改革の成否は、日本の民間企業数の99%を占める中小企業が決断し、「人」を駆使し、行動するか否かに依る。ちなみに筆者は、懇願され、今年の初めまでの数年間、某中小企業の専務取締役を勤めた。中小企業の厳しさと不安定さを、身を持って、実感している。この様な経営改革の決断と行動を中小企業が本当に出来るか? 如何に大変かが分る。しかし日本の多くの中小企業が元気にならない限り、大企業だけの力では、日本の未来は絶対に拓かれない。

 「個人レベルの危機脱出策」は、「危機の時代」に生き残り、勝ち抜ける「創造的経営プロ」、「仕事プロ」になるための「自己改革(革命の意味)」をすることである。自己改革は「創造的」な思考と行動を「本心、本気、本音」で行って初めて実現する。喩えて、言い換えれば、自分の「夢」と企業の「夢」を重ね合わせ、その「夢」の実現と成功に挑戦するため、「汗と涙と血」を流すことを厭わず、むしろ好んで流す「資質」を持った人物に変身する事、と同時にその資質を基に「優れた発想(思考)」と「優れた発汗(行動)」を可能とする「能力」を持った人物に変身することである。

●「新しいタイプの夢工学式発想法」の構築
 創造的経営プロ又は創造的仕事プロに共通して求められる事は、「夢」を持っている事、その「夢」を実現する「在り方」と「やり方」を体得し、実践し、成功させる事である。この求められる事を如何に叶えるか? その答えは、過去約3年間の長きに亘って解説してきた本稿「6 創造」の中に解説されている。是非、読み直し、理解し、納得されれば、実践して欲しい。

 さて筆者は、この度、「3つの脳」が持つ基本機能(本質)を基に、従来の「夢工学式発想法」を見直し、「新しいタイプの夢工学式発想法」を構築した。その内容は、発想の「在り方」を体得し、「やり方」を実行するだけである。従来と同様にシンプルなものである。以下に極めて簡単に紹介する。しかしもし読者が希望するならば、次号以降で詳しく解説してもよい。

 「新しいタイプの夢工学式発想法」の「在り方」とは、「優れた発想」を生む為に重要且つ不可欠な「発想原動力」を如何に獲得するかを説いたものである。その原動力は、「夢工学の本質」、「創造の本質」、「3つの脳の本質」を体得し、実行する事で得る事が出来る。

 その本発想法の「やり方」とは、発想原動力を基に、より多くの発想を生み易くする「発想促進法」と発想を阻害するものを排除する「発想阻害排除法」を如何に実行するかを説いたものである。それは、従来と同様にシンプルなものである。発想のルール、手順、マニュアル等を遵守する事を求めない。その方法の全部又は一部を実行すればよい。だから「今直ぐ、此処で」使える。

 「夢工学の本質」とは、発想のためには「夢」を持つこと、その事で夢の実現と成功への「鍵」が得られる事を云う。「創造の本質」とは、万事・万物は全て連鎖しており、その結果、全ての創造(発明、発見など)は「等価」で結合している事を云う。従って発想は「真似して、真似せず」が極意となる。「3つの脳の本質」の3つとは、第一の脳(前頭連合野、左脳、右脳)、第二の脳(胃腸)、第三の脳(皮膚)を云う。その本質とは、第一の脳の左脳と右脳に関して、特に右脳を活性化し、感性を磨く訓練が重要である事、前頭連合野、第二の脳の胃腸、第三の脳の皮膚を共に活性化し、訓練することがもっと重要である事を云う。この3つの脳を活性化し、訓練する事で、より多くの「優れた発想力」と同時に「優れた発汗力」を生み出す事ができる。

●創造的経営プロと創造的仕事プロ
 企業にとっても、個人にとっても、「自己改革」に残された年月は僅かである。何故なら人類史と経済史に残る新しい「産業革命」が直近に迫ってきているからだ。しかし恐れる必要はない。日本の危機時代でも、AI技術で半分の職がなくなる時代でも、生き残り、勝利する「創造的経営プロ」、「創造的仕事プロ」になる「夢」は、誰でも叶える事が出来るからだ。「今直ぐ、此処で」決断し、行動を開始すればよいだけだ。その事を「経営史」と「夢工学」が証明しているからだ。

 そして危機に直面した祖国「日本」を再生し、発展させる「志」を遂げ様ではないか。そのために「新しいタイプの夢工学式発想法」が役立ては、それに勝る喜びはない。

夢工学式発想法

つづく

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