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多様な国籍の人達とのプロジェクトを成功させるコミュニケーション力

井上 多恵子 [プロフィール] :9月号

 先日、PMAJの例会で講演をする機会に恵まれた。主題は、“How to best communicate in a Global PJ”で、副題は、「多様な国籍の人達とのプロジェクトを成功させるコミュニケーション力」。1時間半という限られた時間の中、十分紹介しきれなかった点もあった。そこで、今回から数回にかけて、その中でお話した内容を一部補足しながら紹介していきたい。
 グローバルに仕事をする際に注意しなければならない点として、時差がある。「そんなにグローバルに仕事をしていて、海外出張も何回も行っているのに、各国の時差が頭に入っていないんですか???」と先日も同僚に呆れられた私を助けてくれる便利なツールがある。どこでもサッと取り出せて便利なのが、随分前に広告でもらった簡易版時差確認表だ。クルクルと回せる円盤のようなものがついていて、日本時間に合わせると、他の国の時間がわかる。難点は、サマータイムについての考慮がなされていないこと。そこで、最近は、同僚から教えてもらったTime and date.com (URLは、 こちら)を使っている。下の図にあるように、複数の箇所の時差を同時に確認できるなど、便利だ。
Time and date.com

 サマータイムも要注意だ。今の時期に、秋の予定を立てる際には、サマータイムの終了日を考慮に入れる必要がある。サマータイムの考慮し忘れや時差の計算間違え予防のためには、メールでやり取りして決めた時間をアウトルックで送付されてくる会議の招待で再確認すると確実だ。アウトルック上は正しく反映されるからだ。
 グローバルに仕事をしている以上避けられないのは、業務時間外での会議対応だ。特に、複数拠点と仕事をしていると、早朝か夜遅くに対応しなければならないことがある。私の場合、中国、シンガポール、香港、アメリカ東・西海岸、ロンドンにいる人達との会議をすることが多い。今は2つのグローバルPJに携わっているため、先月は、夜11時から明け方1時までオンライン会議に参加した後、翌朝7時から別の会議に参加するということもあった。特定の人にできるだけ負担がかからないよう、誰かが順番に「犠牲になる」よう時間帯をずらそうとしたりもするが、なかなかそうキレイにはいかない。日本時間の7時は中国の6時になるため、申し訳ないな、と思いつつ連続で同じ時間帯に会議を設定することもある。テクノロジーの進歩により、電話会議が導入され、それが進化して、ウエブ会議で画面を見ながら会議ができるようになった。インターネットの普及で、家でも外出先からでも、参加ができるようになり、オンライン会議が日常的に行われるようになった。入社した頃はメールもなく、国際電話料金も高かったこともあり、一度海外出張に行ってしまえば、ホテルのプールで泳いで、贅沢な朝食ビュッフェを楽しむ余裕があった。そんな時代は懐かしいけれど、元に戻れない以上、今の状況を受け入れるしかない。
 日程調整の際に、もう一つポイントとなるのが、各国の休日だ。予定を設定しようとして、「その日は休日だからダメ」と言われたことがある。アメリカだと7月4日の独立記念日、労働者の日や感謝祭、中国の国慶節などがある。また、クリスマスの頃や夏休みに長めの休暇を取る人がいる。特にスエーデン人は、私の経験上、大事なポジションにいる人も含めて、1か月程度の長期休暇を取る人がいるので、彼らに何かを依頼したりすることがある場合は、前もって段取りを工夫する必要がある。最初は驚き。「え~。1か月もとるの?それってあり???」電話をしながら絶叫したこともあった。今は、そんな長期の休みが取れる彼らが羨ましくてしょうがない。今度彼らに会ったら、長期で休みが取れる秘訣をぜひ聞いてみたい。
 最後に、予定を決める際などに使える英語表現をいくつか紹介したい。これらは実際に、ネイティブからここ数ヶ月で受け取ったメールに書かれていたフレーズだ。私は、「これ、使えそうかも」と思うフレーズがあったらコピーしておき、自分のメールで使うことで、自分の英語のレベルアップを図っている。お薦めの英語学習法の一つだ。
Can we arrange a time to go through ○○?
(○○を確認するための時間を設定できますか?)
I would be happy to arrange a call.
(喜んでコールを設定します。)
Will this work for you?
(これ(この日時)で大丈夫ですか?)予定案を提示した後に使える。
Let me know if this doesn’t work for you.
(これだと都合が合わない場合は、教えてください。)
Yes, it works for me.
(はい、私の都合は大丈夫です)
I can do anytime Friday evening.
(金曜日の夕方は、何時でも参加できます)

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