今月のひとこと
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 新型タクシー 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :8月号

 気温が高すぎると蝉の活動も鈍るそうです。その代わりに、アナウンサーが天気予報には似つかわしくない恐ろし気な表現で、かしましく猛暑を警告しています。軟弱なドラマの増加に反して、ニュースや天気予報がハードボイルド化している昨今です。

 異常気象をもたらすCO2を削減するため、排出規制の取組が様々な方面で行われています。電気自動車の開発が進んでいますが、自家用車ではなく1台当たりの走行距離が長い商用車を電気自動車に切替えれば高い効果が得られるはずです。先日タクシー会社に勤める友人にそのことを話すと、今の電気自動車をタクシーとして使うのは難しいということでした。カタログ上は1回の充電で数百キロ走行できるとなっていますが、タクシーとしての使い方だとその半分以下の距離までしか伸びないそうです。通常、タクシーは1日当たり200~300㎞程は走るとのことですから、電気自動車になると1日に数回充電しなければならなくなります。充電1回に要する時間もLPG(タクシーはガソリン車よりもLPG車が圧倒的に多い)補給よりも掛かります。ということで、タクシーの電気自動車化はもう少し先になりそうです。
 とはいうもののタクシー用車両の環境対策は着実に進められています。最近街ではまるまるとしたミニバンタイプのタクシーをよく見かけるようになりました。ブラックキャブと呼ばれるイギリスのタクシーによく似ています。日本のタクシー用車両の8割を占めるトヨタが満を持して開発したとのことで、現在主流のセダンタイプの車両が寿命を迎えると新型に更新されていくので確実に増えていくそうです。この車はLPGハイブリッドとなっています。もともとLPGはガソリンに比べてクリーンな燃料であり、燃費の改善も施したということです。今ある実用可能な技術を使っての環境対策に取り組んでいます。
 この新型タクシーですが、乗ってみると快適さも向上していました。まず、スライドドアになっているので、開口部が広く感じられ乗り降りが楽です。シートはそれまでのタクシーと変わりはないと思いますが、ブラックキャブの堅いシートのイメージがあるので、フカフカに感じました。天井が高いのもゆったりした感じです。
 運転手さんに聞いてみると、1点、不満があるとのことでした。それは、背が高いので洗車が大変だということです。日本の自動車のボディはきれいにされているのが大半です。特にタクシーは乗務が終わった後に毎回、運転手さんが洗車をしてきれいにしています。従来のセダンに比べ20センチも高くなった新型車は台に載らないと天井が洗えません。長時間乗務の後の作業ですので、楽になるような仕掛けを講じて運転手さんもハッピーにして欲しいものです。

以上

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