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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (52)
高齢化社会の地域コミュニティを考えよう (28)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 7月号

Z. Iさん!
先月号の話では町長選挙を前にして、町長の話が再生協議会の中で行われるという話だった。話を聞いた結果、これからの行動に結びつけられたのかな?
I. きびしい質問ですね!
町長の話の内容を説明します。
再生協議会へのお礼の言葉がありました。6つの部会のうち4つは終了間際で、すべて成果を出しています。
友情の里山:小学校の裏山に子供たちと、協議会のメンバーが一緒になって、山百合を育てたので“友情の里山”と命名されました。山百合は県花でもあり、大勢の愛好家が存在します。困ったことに山百合は貴重な花であるため、山百合の栽培地では盗難の被害が多くみられますが、小学校という囲いの中で育成された山百合は完全に保護されており、時期になると新聞が開花のお知らせを報道してくれますので、山百合愛好家は、友情の山に大勢押しかけてくれます。
古民家の活用:古民家は町の歴史を語る資産として活用されています。古民家に対する一般人は、町はずれの古民家への訪問客の少なさを懸念していましたが、運営担当者が企画したひな祭りには千本を越える“吊るし雛”を飾ることで、集客に成功しています。また、古民家らしく、“そば打ち”の実演・研修と同時に試食会を\1,000で募集しますと、常に満席となります。時に邦楽演奏を行い、尺八、琵琶、琴の演奏にも人々が集まってくれます。また、軽音楽の演奏も出し物の一つとして機能しています。町の北部の散策路の整備をしていますが、古民家は歴史の資産として、自然を語るという企画にも人が集まります。
文化イベント:再生協議会が目的とするこの地域は50年前に蜜柑山を造成し、分譲土地が比較的広く、土地での発売は100坪から150坪と面積が広く、裕福な人々を対象として開発した土地です。
開発記念に、この町在住のプロの音楽家が中心となり、100名の合唱団(小学生から97歳の老人までを含む)を設立しました。月2回、2時間の練習をして、年4回の発表会を開いていており、また、古民家を活用して邦楽の演奏、ジャズの演奏なども行っており、好評を得ています。
地域福祉:地域には自治会、社会福祉協議会、老人会などさまざまな団体があり、それぞれ独自の方針で福祉活動を行っていますが、高齢者の健康維持、痴呆症防止のための、誰でもが参加できる「通いの場」をつくり、成果を上げ始めています。
県住宅供給公社:この町の開発に貢献した公社ですが、若手住民の町からの移転が目立ちアパート群の50%以上が空き家となっております。そこで公社はアパート群の半分を整理する予定をしていましたが、最近、独身者向けに1DK住宅のリフォームを行い、好評を得ていいます。おかげで、昨年度は減り続けた若い住民の移動がへり、町の人口の減少が止まりました。一時的な現象かもしれませんが、公社は新しい施策を考えているようです。
公園・散策路部会:小学生の減少と塾通いの等の影響で、公園で遊ぶ子供が極端に減っています。現在は子供相手の公園から、全世代相手の公園の在り方の研究をしています。また、この町が持っている観光資源の一つとして魅力的な散策路を新設する活動も行っていますが、新しい発想を取り入れないと、公園の活性化は容易に進まない状況です。
町長の講演:
  本年の11月に町長選挙があります。町長の立場とすると、再生協議会の成功は次の選挙の一大関心事ですが、上記の説明は町長としての実績でもあります。古民家、友情の山、文化イベントを再生の目玉にしたことは、常識的には危険な賭けであったと思います。これが大方の見方と異なり、それぞれが成功裏に進展していることは、再生協議会の成果であるとの町長からの賛辞がありましたが、それはそのまま町長の実績にもなります。それは住民から見て、古民家に大勢の人々が集まるなどとは感じなかったこと、山百合が人々に大きな関心があると、人々は気が付かなかったと思います。
この成果は町長にとって嬉しい意外性だと思います。それは元ジャーナリストである事務局長の広報活動の素晴らしさの成果だと思います。

Z. これだけの成功事例があれば再生協議会は大成功というべきではないのかね。
I. それは再生協議会の会長(公社出身)の手堅い信念によります。
自分たちで確実に処理できる案件以外は受け付けないという信念が、基本にあり、それを手助けした事務局長の手腕も成功に大きく貢献しました。
Z. 協議会の会長は、一人の人間としては信念を持った正しい生き方ではないのかね。
I. その通りです。日本ではこの種の人材が偉くなっています。勲章も貰っています。通常の日本人から見ると、私も賛意を示しています。
Z. その言い方は何か奥歯にものの挟まった言い方に聞こえるが?
I. その通りです。では、お伺いします。これらの部会はすべて、国から頂いた予算を使うことによって成果を出しています。“アベノミックス”という国の予算を使って実施した業績が上記の成果です。この成果はだれでもが出せるものではありません。その面で高い評価を得ていますが、本年度“アベノミックス”予算で拡大した経費を捻出する費用がありません。正確に言いますと、拡大した施設に相当する箇所を補う予算がありません。拡大した予算の維持管理が不可能だということです。
このため“アベノミックス”は拡大した経費の増加は自らの稼ぎで処理しなさいと言っています。

私は町長の前で、成果の素晴らしさ、これを実行したボランティアの方々、わが町には有能な人材の宝庫です。次に実行すべきことは人口減少によって現れる、予算の縮減問題です。有能な彼らは収益増強に力を入れてくれることでしょう。“アベノミックス”の基本的な発想は町の収益の拡大を意味しています。同時に私たちの次のテーマは、作品の無料提供でなく、価値を提供する活動が求められます。これらの人材が協力してくれれば実現は可能と思いますと提案しました。
Z. 町長はどのような返事だったのかね。
I. 町の運営には収益増強が望まれており、協議会のこれからの発展を願っている、という答えでした。
Z. この答えに対してIさんは何かたくらむのかな?
I. その通りですが、町長の講演の次の週に県住宅供給公社の新しい理事長の講演がありました。この話を次回8月号で紹介します。そして、その結果を自分なりに分析し、これからの具体的な案件と行動指針を固めるつもりでいます。
Z. 乞うご期待というところだな。
I. その通りです。

以上

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