今月のひとこと
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 ゴミの分別 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :6月号

 暑い5月に引続き、梅雨&さらに暑い夏という予報だそうです。紫陽花の淡い色合いを街角に見かけると、傘を差していても心が和みます。最近は、雨の日にカラフルな長靴を履く女性を見かけることが多くなりました。雨の中、ハイヒールで颯爽という訳にはいかず、子供のように水たまりを楽しみながら歩くのもいいですね。

 マンションの自治会や町内会では、ゴミの分別が徹底できず困っているところが多いそうです。長年住んでいる方ばかりという町内では、ゴミ出しのルールもしっかりと守られており、新しい住民が入ってきてもルールを教える役回りの人がいて、乱れることがありません。ところが、入居者が頻繁に入れ替わるアパートやオートロック式のマンション等、顔見知りでない住人が増えてくると、ルールが守られないケースが多くなるようです。そこで最近、ルール違反者に直接指導しようと過激な対策を選択する町内会が増えているらしいとの噂を聞きました。
 ゴミ処理の仕方については自治体によって様々ですが、ゴミの種類ごとに収集日を定め世帯ごと分別して出すというパターンが基本です。分別ルールを守らない住民に注意すると言い合いになるとか暴力を振るわれるといったトラブルになることもあるのでと、ごみの収集日にチームで監視する町内会が増えてきたとのことです。雨の日も風の日も雪の日も、ゴミ収集日になると監視チームの人々がごみ集積所に立っています。きっちりと分別されているかどうかをチェックし、指導するのだそうです。一人ではないので、トラブルになっても安心だということですが、高齢の方も多く寒い日などはかなり辛いのではないかと想像されます。
 切羽詰まっての決断ということなのでしょうが、この選択は適切な対策になっているのでしょうか。「ルールを教える役回りの人」がいないので、監視チームを組成して現場でルールを教えることにしたということですが、監視チーム当番には辛い作業を強いることになりました。分別が整然と行われ、ごみ集積所がきれいになっても、監視チーム当番が辛いのであれば、適切な対策とはいえないと思います。
 この問題を、誰が「ルールを教える役回りの人」かという点から、見直してみましょう。普通に考えると、新住民にルールを教えるのはアパート等であれば大家さん、あるいは大家さんの委託を受けた管理会社の仕事です。また、賃貸契約の仲介を行う不動産屋さんも住民のルールを説明すべきでしょう。貸主である大家さんが要請すれば「重要説明事項」に加え、説明を聞いたとのサインをもらうこともできます。町内会としては、大家さんや管理会社等にそうしたことを申し入れることがスタートです。そのうえで徹底されないということであれば、さらに原因追及をしていくことになります。
 分別するルールは分かっているけれど、部屋が狭くて分別したごみを収集日まで置いておくスペースがないという方もいます。分別対応できないからと、駅やコンビニのゴミ箱に家庭ゴミを廃棄する不心得者もいます。監視チームという対策では、ゴミ集積所はきれいになるかもしれませんが駅やコンビニにしわ寄せすることになるのかもしれません。
 ひょっとすると分別を前提としたゴミ処理の仕組みそのものの見直しを行なわなければ抜本的な対策とはならないかもしれませんが、拙速に過激な対策を選択するのはいかがかと思います。

以上

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