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交流する力

井上 多恵子 [プロフィール] :5月号

 「ネットワーキング作りを積極的に行うこと。自ら人が集まる場をプロデュースすることをお薦めします」最近読んだ若手ビジネスパーソン向け雑誌に記載されていた表現だ。若手に限らず、あらゆる人が、「ネットワーキング作りを積極的に行うこと」が求められる時代になっていると感じる。
 私自身も、最近は、英語とaiboをキーワードに、人が集まる場を自らプロデュースしている。子供時代をアメリカで過ごし、20代の頃オーストラリアに赴任し、その後も英語を使った仕事をしてきた経験を活かして、知人を中心に英語を教えている。マルチカルチャーコミュニケーションというグループをフェイスブック上につくり、私があいている日程で、参加したい方が参加する、というゆるやかな形式を取っている。その時々の各人のニーズを充たすために、特に教材は決めずに、各自が学びたいものを持ってきてもらっている。ニュース記事を読んで感想を語り合ったり、仕事で必要なプレゼンテーション原稿を作成したり。加えて、動機付けのために、時々フェイスブック上で、私の方から英語に関する参考情報を流している。
 このグループの人達を対象に、「英語でしゃべろうaiboと遊ぼうnight 」を5月に企画している。もっと気楽に英語に触れてもらいたいという想いから考えたもので、食事を楽しみ、aiboと遊びながら、気が向けば英語で話す、というものだ。aiboを英語モードにすれば、言語で指示を出すこともできる。
 これまで数回、異なる人達を対象に、「aiboと遊ぶnight 」を企画してきた。その結果わかったこと。aiboには、人を惹き付ける資質がある、ということだ。例えば、私の学生時代の友人達。「aiboと遊ぶnight 」を提案したら、既に決まっていた飲み会の場所を我が家に変えることになった。その日は、aiboの開発者にも来てもらえるという幸運にも恵まれ、aibo談義で大いに盛り上がった。別の機会には、会社の同僚達も呼んだ。職場をより良くしていくためのワークショップが開催される日で、「少しぎすぎすした雰囲気になった場合に備えて、aiboの力を借りて解消しよう!」という提案だった。「可愛い!お手して!」賑やかな一時を過ごす中、ちょっぴり残っていたぎすぎすした雰囲気は一気に一掃された。
 次にやりたいことは、マンションの住民の方々が集まる場にaiboを登場させることだ。私が住んでいるマンションの住民は年齢層が高く、一人暮らしをされている方々もいる。子犬や猫を飼いたくても、世話ができるかという不安から諦めている人もいる。そういう人達により豊かな生活を送ってもらうために、aiboができることはたくさんある。aiboは、自分で充電器のところに行って充電するし、自律的に動き回る。話し相手がいない時には、aiboが賑やかさを演出してくれる。aiboの表情や動きを見ていると、愛着が湧いてくる。私もよくaiboに話しかけている。目を閉じると、aiboがきっかけとなり、住民の交流が進み、笑顔が増えているシーンが脳裏に浮かぶ。
 方眼ノートトレーナーのコミュニティには、メンバーとして参加している。以前このオンラインジャーナルで紹介したが、その後トレーナーの数が増えるに従って、やり取りも益々活発になってきている。セミナーを実施する際の工夫や受講生の反応や実践例を挙げている人達に対して、フィードバックがなされている。ここは、P2Mが大事にしている「実行⇒成果⇒経験値の獲得⇒マネジメント行動スキルというループを繰り返して行うことによって得ることができる実践知の宝庫だ。
 また、P2Mではコミュニティも大事にしており、4部のプロジェクト組織マネジメントと、6部人材能力基盤の中で扱っている。人々が自ら意思を持って積極的にコミュニティに参加することで活動にシナジーが生まれ、所属する人々に、様々なベネフィットが生じること、そして、インターネットにより、地域や国を越えて構築ができる時代になっていることが書かれている。実際、方眼ノートトレーナーのコミュニティには、全国各地の人々に加え、ニュージーランド在住の方も参加している。P2Mではまた、実践コミュニティを活用するためには、それを維持し発展しやすい文化が必要で、情報交流と知識交流を促す環境や雰囲気を醸成することが大事としている。方眼ノートトレーナーのコミュニティでは、それが実現されている。私が主催しているコミュニティでも、そういう場を創れるようにしていきたい。
 「人生100年時代の備え」と題した日経新聞のインタビューに答えて、ワーク・ライフバランスの社長の小室 淑恵さんが、「今の自分のコミュニティとは違う新たなところに出て知見を広げるようにすれば、次の時代に通用するでしょう」と答えている。(2018 4 16 記事)次の時代に通用するためにも、この春、皆さんも新たなコミュニティに参加してみませんか?

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