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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (49)
高齢化社会の地域コミュニティを考えよう (25)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 4月号

Z. 新年度になる。Iさん何か変化がありましたか。国会では“アベノミックス”の規制緩和にともなう、官から民の採用が、予期せぬ形に展開している。世界的には米国と日本の景気が長く続いているという状況にある。Iさんが今手がけている中で大きな変化があるかね。
I. 昨年度は私が担当している“アベノミックス”はSTEP1(従来的改善方式)が成果を出しました。小さな改善でしたが、住民はそれなりに喜んでくれました。
本年度はSTEP2の本格化活動が望まれる
 本年度は中央公園の持続的維持管理(STEP2)が待ち受けています。
 町は持続的維持管理に関し、住民に期待することはせず、利用価値の少ない公園の予算を縮小し、町が持続的維持管理の遂行を実施するといっています。住民を信頼したが、現実は協力してくれるか不安があります。今はまだ町で処理できる範囲に入っていますが、住民側から見て本件は潜在的課題であることは事実です。
 そこでこのSTERP2を実質的に行いますが、維持管理に労力を割かず、頭だけで楽しむ人間改革を考えてみました。
 本年度は中央公園の花の植え替え程度にとどめ、その作業を通じて、住民が積極的に公園をどのように使うべきであるかというテーマで住民の皆さんに考えてもらいます。今STEP3はモノをつくらないことを実施してみます。
本年度はSTEP3を企画する(公園の仮想の花まつり)
 町の公園には都市公園という規模の大きな公園と、規模の小さな公園(児童遊園地と呼んでいる)があります。
 最初はSTEP3で、この小さな公園に住民自身が花を植える企画をすることを考えました。しかし、突然住民に花を植えよという発想には抵抗があると思います。そこで考えました。花好きの住民がこの公園にバーチャルな花を植えるという提案です。絵の好きな人々が集まって、架空の花を植えるのです。 キャンバスの上に絵を描くわけですから、絵の上手い人にとっては無料のギャラリーで、自己の絵を展示できるというメリットがあります。この架空の公園花鑑賞会を年に数回実施することができたら何かが変わるのではないでしょうか。この習慣ができると住民の花愛好家は積極的に実花を植える気持ちが出てくると思います。
 私の狙いは公園だけでなく、自宅の花壇化に励んでもらえると、この町は花の町になります。
 今の公園愛護会は種々の花を植えて楽しんでいますが、実質的な仕事は毎月の草むしりが、メインの仕事になります。結果的に雑草の除去がボランティア活動の主作業になってしまいます。しかし、小さな公園であれば、公園の金網の囲いを利用し、鉢植えの花を取り付けるだけで、立体的な花の景観を楽しむことができます。

 私は初めてアムステルダムを訪問した時、家々の出窓に花が飾られており、町の景観を高めていました。スペインでは各家庭の中庭に面した壁に鉢植えを支えるかぎ型の金属が埋め込まれており、町中で花のお祭りをしていました。白い壁に赤い花が飾られ、雑草取りに悩まされることもなく、住民と訪問者に咲き誇った花の美しさを披露してくれました。
 オーストリアのチロル地区ではロッジ風の家々が出窓、テラスの鉢植えの花を飾って観光客を歓迎しています。
 日本的な床の間に飾る清楚な花も結構ですが、町を挙げての取り組みは観光資源として、持続可能性に貢献するものと信じています。

 新年度に当たり、老人クラブの仲間入りし、学んだことを申し上げたい。今の老人は日本の高度成長の中で育った。そのため容易に恵まれた仕事をすることができた。でも多くは敷かれた路線の上を歩いてきたにすぎない。困った経験をした人々が少ない。そこで敷かれた路線が栄光のビジネスの道であったため、それ以外の発想をもっていない。
 私は幸運にも欧米型の「ジョブ型」組織の会社で育ったため、次々と新しいテーマに取り組んだ。

 そこで得た経験は
ビジョンがないと成功は長続きしない。
ビジョンがないと困難に勝てない。
困難がないと発見がない。
ビジョンという大きな目的の中で困難に対する現場解決能力が求められている。
着眼大局(ビジョン)、着手小局(目先の解決力)。
人間は歳に関係なく、好みの困難に直面し、好みのやり方で問題解決している。
それは年齢に見合った解決で、心の豊かさにつながっている。
私たちは歳をとっても、今の10代の若者アスリートの精神にあやかるべきだと思っている。小さいながら自分なりのビジョンを持っているというすばらしさを感じる。80歳でもビジョンを持つとどんな小さいことでも楽しく生きることができる。

以上

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