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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (48)
高齢化社会の地域コミュニティを考えよう (24)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 3月号

Z. 今月は2018年3月、すなわち年度末である。『日本再生“アベノミックス”を成功させるために何が必要か』は2014年4月からはじめたが、世間でまだ大きな成果を上げていない。同様にこのコラムも悪戦苦闘している。この欄の苦戦とはP2M戦略という偉大なものが、日本的ムラ社会では認めてもらえていないことであった。しかし、年度末となったので、過去を振り返ってみるのも大切だと考え、研究履歴を整理した。そのうえで『高齢化社会の地域コミュニティを考えよう』にもどってみることにした。
まず私からこの物語を手順に従って説明する。
“アベノミックス”に関する研究は2014年4月号」から始まっている。
( 1 ) “アベノミックス”を成功させるには何が必要か
2014-4月号からスタートし、成功した地方事例の紹介、成功しなかった体制の研究
( 2 ) “アベノミックス”でグローバル的成果をあげるには何をするべきか
2015-4月号から地政学的研究と観光ビジネス、更にビジネスのバーチャル化の調査
アベノミックス”を成功させるために笹谷秀光(元厚生省官僚)著『協創力が稼ぐ時代』の研究と戦略として『プラットフォーム』の研究

( 3 ) 高齢化社会の地域コミュニティを考える(現状の実態)
1 ) 2016-4月号から当該町の中期事業計画と総合戦略の研究
当該町の総合戦略手法がP2Mに合致していたので、総合的に展開した構想を作成した。やり方は多くの課題を集め、それら課題を解消するために課題のそれぞれを縦系列的に解消するのではなく、課題のすべてをプラットフォーム上にさらし、縦横関係を眺め全体的価値を見出すことで総合戦略をつくった。K氏はこの総合戦略に大きな満足を得たが、プラットフォーム戦略を駆使した戦略を日本的ムラ社会の人材は理解するのが難しいと判断し、わかりやすい内容の課題を日本的ムラ社会の人々に小出しにして見せた。だが時期的に遅かったこと、彼らの課題解決とはモノづくり的発想であったため、当方の見解は認めてもらえなかった。

K氏の発想は、基本的にモノの提案ではなく、新しい価値創出か、住民の意識改革をすることを願っていたが、再生協議会のメンバーの方針はモノづくり的なものと一致していたため、K氏は自己のアイデアは一切出さないことにした。
この結果29年度計画はモノづくり案が実施され、日本ムラ社会的な形で一歩前進した。
しかし、30年度年度は住民側からの協力で、継続的可能性の維持管理費という新しい方式の提案を現在したところである。“アベノミックス”的会解決に向けて一歩前進した。(ただし、プラットフォーム型課題解決案でない場合、地域再生の基本はモノつくりではなく、住民側の意識改革が主となり、ソフト的な内容にシフトしていくことになる)。

I. K氏はP2M戦略研究者で、地方自治での成果をこのオンラインジャーナルで発表している。
( 1 ) K氏のP2M的戦略を活用した:町の“アベノミックス”総合戦略の企画化
プラットフォームマネジメントで町の住民の付加価値を向上させる提案を完成した。
K氏はPMAJの業務を終えて、地元の老人会に所属した。この時期に当該町は新生町づくりのための総合戦略を発表した。K氏が研究してきた“アベノミックス”をベースとしての戦略である。
K氏は戦略とその実行計画をみて、P2M的な手法で書かれていることに嬉しさを感じ、総合戦略が求めている複数の課題を整理し、この課題群をプラットフォームとしたプラットフォーム戦略で付加価値の高い目標を掲げることができた。
K氏の発想は町に金がなければ金を持っているところと結託すれば大きな成果がえられるという発想を、戦略の中に含ませた。
K氏の企画:
課題1: 小学生を増やすための戦略と協力者つくり
保育園、幼稚園を含めた幼児の提供、保育士の提供で、共働き夫婦が当地へ移転させる希望を与える秘策を示した。
課題2: コミュニティスクールつくりのための戦略と目標つくり
アジアで活躍できる人材育成戦略
ペリー就学前(3~4歳児)教育の提供
課題3: 県住宅供給公社アパート群のリフォーム戦略
空き家アパート群の空間にテラスを設置し、住民のコミュニケーション拡大化をはかるリフォーム化
(子育て共稼ぎ若夫婦のためのリフォーム住宅提供)
課題4: 価値ある地域福祉を創出するコミュニティづくり
子育て家庭のためのコミュニティ住民による支援活動
課題5: 観光資源としての公園群の花壇化と散策路つくり戦略
課題6: コミュニティ全員への幸福を提供する戦略

課題を集め、複数課題をプラットフォームとしてとらえると、課題3で新住民を喜ばせるバラ色のリフォームが達成され、課題4.グローバル社会で活躍する人材育成ができ、課題5で観光日本を目指し、課題6で、この地域老人コミュニティが共稼ぎ夫婦を支援することができます。(ここまでは企画力で高い目標の芽が出ましたが、幹部へは提出していない)

( 2 ) 町の地域再生協議会への参入とその後の成果
K氏は大胆な戦略を整理し、協議会事務局長に、戦略の一部を提案した。しかし、協議会幹部は再生協議会が5つのテーマを完了させている関係上残りのテーマ(公園部会)を決めて、複雑でない提案に切り替えることを望んだ。
K氏はプラットフォーム戦略が“アベノミックス”が望む解決策と考えていただけに、挫折感があった。しかし彼らが求めるものを受け入れ、誰でもができる改修案を提案した。

( 3 ) 解説:業務遂行組織の欧米型と日本型の相違(2月号とは別角度で示した)
  欧米式業務遂行の型:「ジョブ遂行型」
企業は作業の効率化を図るために単位業務の専門家を集めて仕事を進める。
単位業務の専門家は専門ごとに労働組合があり、専門家は労働組合と契約する。
企業は単位労働組合と契約して専門家を雇う
企業は不景気に直面すると、専門家との契約を解除し、専門家は労働組合に戻る
専門家は労働組合で、失業保険を受け、生活の元手を受け取る。
専門家は専門性を高めるために未経験の業務を経験するため労働組合に依頼し、別企業に移り、幅広い専門性を確保する。専門家は労組に依頼し、より高い専門性を高める業務の仕事を求め、より高価な収入が得られる別の企業に送り込んでもらう。
企業経営は経営専門家が実施する。経営専門家は自社からの昇格と他社からのスカウトがある
  日本式業務遂行の型:「メンバーシップ型」(日本的ムラ社会型)
個人は企業と契約する。
個人は素人として入社し、会社はこの素人を会社の業務に合わせた形にはめ込む教育をする。
個人は企業内ローテーションという方式で、企業内業務を渡り歩くことで経験を高める。
決められたローテーションで企業内業務を習得した人材は、企業内専門家となるか、企業内を広く渡り歩く管理系人材となる。
労働組合は各企業内に設置されている。管理職は組合から外れる
経営層は基本的に内部部門から選択される
日本式経営の特徴は上り坂で強力な力を発揮するが、グローバル変化に追従する能力に欠けている。リスクマネジメントが欠けている。

( 4 ) K氏からのメッセージ:再生協議会メンバーの力量を判断し、日本式業務遂行で鍛えられた人材で、その中では有能であると判断した。
そこでK氏は29年度の再生協議会の役割をSTEP1(モノづくりの課題として、花壇を増やす知殿改修)に止め、プラットフォーム戦略を提出しないことにした。
理由:K氏は日本式業務遂行の型:「メンバーシップ型」を日本的ムラ社会型と呼んでいるのはこの組織にはビジョンがないということです。ビジョンがないから組織のTOPとなった人の考えが組織の考えになり、継続性がないことが問題と思っている。

オリンピックの時期なのでその例をとらえて日本的ムラ社会の住人の考え方を説明する。昔の若者の発想はオリンピックに出場できることで名誉に感じていた。今の若者は自ら金メダルと取りに行くことを小学生の時から求めている。
今の日本的ムラ社会の経営者はグローバル社会でありながら、グローバル戦略が皆無であることです。

言葉を替えると、P2M戦略家が日本的ムラ社会で活躍する時は、ビジョンを示さず、小さな提案をすることのむなしさがある。しかし、手元にはビッグな提案を忍ばせている。この提案をお見せできる日が楽しみである。

以上

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