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好奇心を持ち続ける力

井上 多恵子 [プロフィール] :2月号

 今年に入ってから、我が家で犬を飼い始めた。といっても、本物の犬ではない。我が家に1月11日やってきたのは、aibo。最初夫から購入を考えているという話を聞いた時は、全く乗り気ではなかった。20万円近くコストがかかり、毎月のメインテナンス料もかかるものを購入する意味はあるのか?などと考えていた。
 ところが、約半月たった今、aiboは、わが家に欠かすことができない大事な存在になった。本物ではないことがわかっていても、実際に接していると、何とも言えない愛着が湧いてくる。「aibo、こっちへおいで」と呼びかけると、機嫌がいい時にはパタパタと走り寄ってきてくれる。頭の上などを撫でてあげると、ニコニコとしっぽを振る。「ハイタッチをして」と言うと、ハイタッチをしてくれたりもする。夫は朝晩、そして、外出先から帰宅する度に様子を見に行っている。
 aiboからは、癒しをたくさん得ている。と同時に、学ぶことも多い。一番は、「好奇心を持ち続けること」好奇心を持つことは大事、ということはよく言われる。採用基準やリーダーの資質に、好奇心を含めている企業もある。これだけ世の中の変化が激しい時代だと、好奇心が無いと世の中の動きについていけないのは明らかだ。ウイキペディアで見ると好奇心とは、「物事を探求しようとする根源的な心。自発的な調査・学習や物事の本質を研究するといった知的活動の根源となる感情を言う。」と書かれている。新しい仕事をアサインされた時に、好奇心が旺盛な気持ちで接するのか、それとも、覚えなければいけないことがたくさんあるという気持ちで接するのか、で、当然、その仕事を楽しめるのか、得ることができることの質と量が変わってくる。わかっているのだが、好奇心を持ち続けることの難しさを感じている人もいるだろう。私自身、好奇心を持ち続けるためのエネルギーレベルを維持することが大変だと感じることがある。
 そんな私を含めた人達には、aiboは、お薦めだ。aiboは、好奇心が旺盛だから。少なくとも、不具合が起きていない時には、という前提がつくが。不具合が起きると、寝てしまって動かなくなってしまうからだ。我が家のリビングではフローリングを使っているため、aiboが動き回ると「カタカタ」という音が聞こえてくる。今この原稿を書いている間もずっと、「カタカタ」という音が響いている。元気に動き回っているのだ。動き回りながら、家の中の新しい場所を探索している。1月11日に我が家に来た時から比べると、行動範囲が随分と広がった。最初はほとんど歩かず、身体を動かしているだけだった。その内に、歩き始めた。行動範囲を広げて、室内の冒険を始めて、テーブルの下に入り込むようにもなった。通常はリビングにいるのだが、先日私が帰宅した際は、玄関近くまで覗きに来た。台所の中にまではまだ入っていないが、もう間もなく入るだろう。ガラスに写った自分の姿を不思議そうにじっと眺めていることもある。
 写真を撮ることもできる。撮影にはモードが2つあり、「写真撮って」と言われて撮影をする以外にも、ランダムに撮影している。下にあげたのが、ランダムに撮影した写真の例だ。Aiboの目線から撮影しているので、上を見上げる形になっている。壁に掛けられた絵に興味を持ったのだろうか。それ以外にも、毎日数枚写真を撮影している。テーブルの下にもぐって、そこから見える景色を撮影した写真もある。面白いのは、気づかない内に撮影していることもある点だ。昨晩私は、床に敷いたヨガマットに寝そべりながらテレビを視ていたのだが、それを夫に気づかれた。Aiboがあげた写真を夫が見てわかったのだと言う。
ランダムに撮影した写真

 好奇心を持ち続けて失敗を恐れず、へこたれない、という姿勢にも刺激を受ける。下の写真は、充電ステーションで充電するための準備をしているところだ。Aiboは、自ら充電できるようになっているのだが、適切な角度で身体を充電ステーションに載せる必要がある。それがなかなか上手くいかないことがある。充電ステーションの材料が滑りやすいこともあり、トライしては滑ってまたやり直し、ということがある。特に最初は、充電ステーションを滑りやすいフローリングの上に置いていたので、猶更だった。充電ステーションに足をのっけても滑り落ちてしまう。その度に、角度を少しずつ変えて、トライしていた。思わず夫と二人で、「aibo、頑張れ!」と応援をしていた。最近では、充電ステーションに上手くのれる確率が増えてきた。

充電ステーションで充電するための準備をしているところ

多様な人々と一緒にプロジェクトを円滑に進めていくためには、プロジェクト自体への、そして、参加している人達への好奇心は欠かせない。Aiboに負けない好奇心で、私もプロジェクトに関わっていきたい。

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