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「エンタテイメント論」(118)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] :1月号

エンタテイメント論


第 2 部 エンタテイメント論の本質

6 創造
発想阻害排除法②-2
②優れた発想は、発想を阻害する「破壊行為」、「無理解」、「誤解」等を排除する事に依って生まれる。
●更なる無理解と誤解の存在
 前号で発想に関する「無理解」「誤解」を説明した。しかしそれだけに止まらない。

1 「独創的発想だけが優れた発想である」は誤解。普通の発想も優れた発想である。
2 「高い知能指数が優れた発想を生む」は誤解。知能指数が高いことと優れた発想と相関性はない。
3 「自分には優れた発想をする能力がない」は誤解。脳に損傷がない限り、誰でも生来備えている能力で、いつでも、何にでも発揮できる。

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●「独創的発想だけが優れた発想である」は誤解。
 「独創的アイデア」だけが優れた発想ではない。「普通の人」が「普通のアイデア」を発想し、実用化し、成功させた時、その「普通のアイデア」は「優れたアイデア」になる。それが世の中で新しい価値を生んだか否かが最も重要なことである。

 「世界で唯一無二の独創的アイデア」を生み出すことは素晴らしいことである。またそれに向けて多くの人が挑戦している。しかし独創的でなくても、色々なモノやコトガラを組み合わせた「普通のアイデア」も、夢工学式発想法では「優れた発想」と考える。また「組み合わせ」だけではなく、その逆の、あるモノを「分解、分割、分離したアイデア」も「優れた発想」である。

 筆者は「普通の人」である。付き合えば直ぐに分かる。普通の人の筆者は、あるモノとあるモノを新しく組み合わせて、新しいモノを考案し、実用新案を獲得した。そして実際に使って重宝している。それは本誌で既に紹介した「川勝式空気循環型薪暖炉」である。

 これを発想するためには苦労はした。1年近く掛かった。しかしアイデアは単純。「組み合わせ」ただけ。左右に開く扉が付いた「フランクリン・ストーブ」を壁の中に作った小部屋に設置。正面の壁面にレンガを積んで暖炉の概観を作った。

 薪を燃やすと同ストーブを収納している壁の中の小部屋の空気が温まる。暖かい空気は小部屋からリビング・ルームに繋がる通風を通じて循環する。もし暖炉メーカーから「空気循環型薪暖炉」を買うと、本体価格、壁面工事、設置費用などの総コストで4~5百万円は掛かる。

 川勝式暖炉はその10分の1のコストで実現した。壁面工事も、設置工事も簡単。本体取替えも簡単、修理もし易い。工事の過程で暖炉メーカーの専門家の意見を聴取した。彼は「もし川勝式暖炉が普及すると我々の商売は上がったり」とぼやいていた。筆者の千葉市の自宅と東京都板橋区の自宅にそれぞれ1台づつ設置している。興味がある読者は連絡して欲しい。作り方と使い方を教える。

空気循環型薪暖炉

●筆者の堅気と非堅気の仕事
 筆者は、産・官・学の全く異なった3分野の所謂「堅気の仕事」をしてきた。一方大学生の頃から77歳のクソ爺の今まで、ジャズ演奏活動と全く異なるジャンルの作曲活動、所謂「非堅気の仕事」を本業の合間にやってきた。そのいづれの場合も、筆者が帰属する会社の社長、大学の学長、県の知事の了解を得た。しかし稼ぎが少なく、残念ながら本当の仕事にならない。筆者は本業を持つ所謂「兼業プロ」だが、本業も持たず、それだけで食べている所謂「専業プロ」の生活は厳しい。

 さて筆者と付き合えば、筆者が「普通の人」と直ぐに分かって貰える。しかし読者や付き合っていない人からは「普通の人」でないと誤解される。この誤解を解かないと、本号での筆者の主張と矛盾する。

 「異なる3分野の仕事」であったが、いずれも根底では共通する「新しいプロジェクトを実現させる仕事」であった。会社、官庁、大学と「転籍」したが、「転職」はしていないのだ。しかも今も「産・官・学」の仕事をしているが、同じ事をやっている「普通の人」である。

 「ジャズの演奏活動」は「非堅気の仕事」である。筆者は、時代の流れに沿ってギター~サキソフォン~フルート~ピアノと楽器を変えた。しかし学生時代~会社帰属時代~官僚時代~大学教授時代~現在、とにかく「好き」で続けてきた。この様な人は世の中に数多くいる。珍しくもない。

 筆者は、約25年前、東京都内の某ジャズ・ライブハウスに遊びに行った。そこで偶然スカウトされた。それ以来、現在までジャズ・ピアニストとして「トリオ+女性歌手」で「箱出演」をしている。この様な人も世の中に数多くいる。珍しくもない。

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 さてジャズ演奏では誰もが「アドリブ」をする。この経験が「作曲」を容易にする。筆者は、本業の合間に、例えば電通の孫請け会社から頼まれ、TVコマーシャル・ソング、会社のイメージソングなどを沢山書いた。最近は都内で有名な某商店街のためのPRソングなど10数曲書いている。

 ちなみにジャズのアドリブは「リアルタイムの作曲」、通常の作曲は「バッチ式の作曲」である。筆者のジャズ演奏と作曲活動は、時間軸の違いで繋がっている。

 コツさえ掴めば、誰でもアドリブも、作曲もできる。重要な事は「好きこそ、モノの上手なれ」である。筆者に「特別の才能」がある訳ではなく、「普通の人」であることが分かって貰えないだろうか。そのため「夢工学式作曲法」、「夢工学式ピアノ奏法」をまとめる予定である。しかし本業の「堅気の仕事」で忙しくて手が回らない。

●「高い知能指数が優れた発想を生む」は誤解
 アインシュタインも、エジソンも、知能指数は普通で、学校の成績はあまり良くなかったと言われている。その他の実例も調べた。知能指数と発想能力は比例しない様だ。

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 そもそも「知能指数」自体、本当に信用できるものか? 「発想能力指数」と云うものは存在するか? しかしもしあったとしても本当に信用できるのか? 疑問ばかり浮き上がる。

 ならば何を信用すべきか? 答えは、発想したもの、それは新しい「知」になるか? 「技」になるか? 「価値」になるか? 「美」になるか? これで「優れた発想」を判断するしかないだろう。

●「自分には優れた発想をする能力がない」は誤解。
 「発想能力が自分に無い」と考える事は誤解の最たるものである。誰もが脳に損傷がない限り、発想する能力を生来持ち、いつでも、何にでも発揮できるのだ。しかしそう考えない人は、以下に該当する人である事が極めて多い。
1 自分に自信が無い人
2 学歴が無いと劣等感を持っている人
3 失敗ばかりして新しい事に臆病になっている人
4 人が立派に見える一方、自分は駄目だと自己嫌悪の人など
 発想する能力は、「自分に発想能力が無い」と思った瞬間、それが失われる。

 某会社で興味深い「意識調査」が行われた。それは、創造的な社員とそうでない社員についてである。

 「自分が創造的であると思う社員」は創造的な成果を上げており、「創造的でないと思う社員」は創造的成果を上げていないと云う調査結果であった。

 思い出して欲しい。それは夢工学発想法の「在り方」として最初に説いたことである。

 人類だけが創造する力を与えられた訳ではない。動物も、生物も、創造する力を持つ。だからこそ生物は進化してきた。今のところ「人類」が地球上で最も創造する力を得た「生物」である。従って誰にも発想能力が備わっている事は当然の事である。

出典:地球史と人類史images.search.sally-ann-melia.missinglinkdebate
出典:地球史と人類史
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 自分で「自分に能力が無い」と決め付けるのは勝手である。しかし夢工学式発想法の観点から観ると「バカみたい」である。何故、その様に決め付けるのか? 誰にも、動物にも、生物にも、発想する能力が備わっているのに。

 世の中に数多くの「発想法」が紹介されている。しかし発想の「やり方」ばかりが説かれている。
最も大切な「在り方」を説く発想法が余りにも少ない。「優れた発想をする能力は胎児の時から備わっている」と云う「在り方」をもっと説くべきである。
つづく

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