PMプロの知恵コーナー
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「エンタテイメント論」(117)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] :12月号

エンタテイメント論


第 2 部 エンタテイメント論の本質

6 創造
発想阻害排除法②
②優れた発想は、発想を阻害する「破壊行為」、「無理解」、「誤解」等を排除する事に依って生まれる。
●破壊行為の排除
 優れた発想は、破壊行為を排除する事によって生まれる。この事の意味は、発想を阻害する「破壊行為」を排除した環境を作る事で「優れた発想」を生み易くする事、既に存在していた「優れた発想」が「破壊行為」を排除する事によって日の目を見る事などを云う。

 世の中に数え切れないほど多くの「発想法」、「創造手法」などが紹介され、その基盤になる「脳科学」、「脳活用工学」も紹介されている。しかし「発想法」、「創造手法」の殆どは、「優れた発想」を如何に生み出すかと云う「明(Positive Aspect)」の観点からのみ説かれている。

 現実の企業社会では多くの「優れた発想」は密かに妨害され、「夢」のプロジェクトは巧妙に破壊されているのだ。この様な「暗(Negative Aspect)」の観点から説かれた発想法、創造手法が殆ど存在しない。妨害され、破壊された実務経験のない人物が発想法を説いているからだろうか?

出典:物事の明暗 3.bp.blogspot.com/Positive+Negative 出典:物事の明暗
 3.bp.blogspot.com/
  Positive+Negative

●破壊行為の原因
 官庁、会社、大学、個人グループ等のあらゆる組織の中に、「夢」の実現を妨害し、「優れた発想」を破壊する人物が実存する。何故、妨害するのか? 何故、破壊するのか?
 
 その答えは簡単である。その「夢」の実現や「優れた発想」が己の「私利私欲」の障害になるからだ。またその実現や発想の責任を回避したいからである。

 この様な妨害や破壊をする所謂「夢破壊者」を事前に識別し、その破壊工作を排除しない限り、優れた発想も、その夢も絶対に実現させる事は出来ない。最近、流行の事業イノベーション論も妨害や破壊工作を議論していない。如何なるプロジェクトの推進に於いても背後に「夢破壊者」が暗躍する事を一時も忘れてはならない。

出典:破壊者 images.crestock.com 出典:破壊者
 images.crestock.com

 筆者は数多くの事業プロジェクトを「夢破壊者」によって巧妙に潰された。潰された悔しさから夜も眠れず、悪夢に苦闘した日々を生涯忘れられない。この時、彼らへの知的復讐を誓い、止むに止まれず生み出したのが、「明」の「夢工学」に対して、「暗」の「(抗)悪夢工学」である。

●悪夢工学
 世の中の耳目を集めるため、敢えて(抗)を削除して「悪夢工学」と命名した。

 犯罪学の分野を除き、世の中に実存する政治学、社会学、経営学、創造工学、発想法まで、あらゆる学問や各種方法論は、全て「善意、善徳、善行」の人物を暗黙の前提(Implicit Assumption)として構築されている。

 しかし現実の世の中には「悪意、悪徳、悪行」の人物が実存する。この様な人物は、己の私利私欲と責任回避などの目的で巧妙に、平然と、容易に妨害や破壊を行う。

 これに対して既存の学問や方法論は、そもそも前提条件が異なるので全く無防備である。一方この様な人物は、性格異常者ではない。学歴も、立派な職歴も持つ。この様な人物を如何に識別し、如何に妨害工作、破壊工作を排除するか? この問題を真正面から取り扱った学問や方法論が世の中に殆ど無い。不思議だ。

 「悪意、悪徳、悪行」の人物を「明示の前提(Explicit Assumption)」として構築し、具体的な識別方法、排除方法を説いたものが「悪夢工学」である。悪夢工学は、「本性の性格者」としてAタイプ、Bタイプ、Cタイプ、Dタイプと定義し、それぞれA1、A2、A3、B1、B2、B3などの下部特性を明らかにしている。最も強力な妨害・破壊者はB1タイプである。

 もし読者の希望があれば、悪夢工学をもう少し詳しく説明する。


●発想への「無理解」と「誤解」
 多くの人に「発想」について尋ねると決まって以下の答えが返ってくる。
>発想は、「天才」の専売特許である。
>発想は、「特別な能力」が生み出すものである。
>発想は、誰も考え付かなかった「独創的アイデア」を創り出すことである。
>発想は、「個人」の独創で生まれる。他人との共創では生まれない。
>発想は、「知能指数」と正比例する能力である。
>発想は、「自分」には無い。
 以上の答えは、「そもそも発想とは何か?」を理解していない「無理解」から生じている。この無理解が「誤解」を生む。以下に順次説明し、無理解と誤解を解消したい。

●発想は、天才の専売特許である。
 芸術、科学、工学、事業などの分野で素晴らしい業績を残した天才は数多くいる。天才だからこそ成し遂げた業績であった。

 レオナルド・ダビンチは、天才である。今から400年前に、彼は、飛行機、潜水艦、銃 自転車 軸受ボールベアリングなどの基本的アイデアを考え付き、絵や図面まで残している。

 モーツアルトは、天才である。彼は、その時代、シュ―ベルトそっくり、バッハそっくり、ハイドンそっくりの作曲が出来た。しかも彼は作曲の内容をすべて頭の中で構築し、その結果を譜面に書き下すだけで曲が完成したと言われている。ハリウッド映画「アマデウス」の中で、その作曲シーンが描写されている。

 筆者はこの逸話を信用していない。何故ならモーツアルトはさまざまな書きなぐった譜面を残しているからだ。彼は頭の中の構築曲と手で書きなぐった楽譜表現曲を実際に比較していたと十分推測できるからである。無理に頭の中で複雑な構築作業をすると天才といえども負荷が掛かる。そんな面倒な事などしなくて、構築中の曲を「ちょこっと」楽譜に書き、全体構成を頭と目と手とピアノで確認すれば簡単に作曲ができるからだ。

 余談だが、凡人の筆者も要請されて、作曲し、筆者の某音楽エージェントを通して音楽著作権を取得する作曲家の端くれである。筆者も頭の中に旋律、和声、リズムなどが浮かぶ。それをピアノで確認しながら楽譜に書きながら曲全体を構築する。

 ちなみに作曲し、演奏し、レコーディングし、音楽CDを完成させ、作曲要請者に納入する全プロセス作業は、事業プロジェクトの構想、計画、建設、運営の全てのプロセス作業と酷似している。
何事も「創造作業」は酷似する。

 さて発想は、天才だけに与えられた専売特許ではない。誰にも、凡人の筆者にも与えられた専売特許である。また人間だけに与えられた創造すると特権でもない。動物も、生物も、地球も、宇宙も創造するのである(既述済み)。

つづく

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