関西例会部会
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第138回 関西例会レポート

PMAJ関西 KP 守能 昇治 : 12月号

開催日時: 2017年11月18日(土) 12:55~13:30
開催場所: マイドームおおさか 第3会議室
テーマ: 「ナニワのダ・ヴィンチの夢」 ~真田幸村「武将スーツ」で会社再生に挑む!~
講師: 川辺 友之 氏  株式会社NFL 代表取締役
参加者数: 32名

講演概要:

 祖父、父と続いた紳士服縫製工場、バブル崩壊の厳しい経営環境の時期に、親孝行のためにと大手スーパーを辞めて家業に入ったが、直ぐに大手得意先の倒産により経営は瀕死の状態に陥った。そこでその紳士服縫製工場を継いだ三代目が、起死回生とも言うべき、クラウドファンディングを活用しての真田幸村「武将スーツ」を開発。倒産寸前の会社を再生したドキュメントを生々しく講演いただいた。

講演内容:

1.倒産の危機と学んだこと
 紳士服チェーン店に卸す事業で年商65億円であったが、借入金、在庫金額何十億円、さらに2001年の流通大手の倒産時に連鎖倒産の噂が流れ、信用不安の嵐の中に巻き込まれた。仕入先が材料を売ってくれない、得意先が商品を買ってくれない、従業員が辞めていき、年商は65億円から3億円へ、従業員は200人が20人になった。
 この経験で、①薄利多売はアカン、②在庫を持つ商売はしんどい、③消費者と直接商売する方が良い、④会社が大変な時でも辞めない社員を育てることが大事ということを学んだ。

2.ネット通販から顧客ファン戦略(ランチェスター戦略経営)
 そこで、ネット通販を開始し、売上を伸ばしたものの、広告費に多額を使っていたため、利益が出ていなかった。そんなときに、ランチェスター戦略経営学の師匠と出会い、次のような5大戦略を立てた。
商品を絞る
Googleアナリティクスで分析し、自社の得意な強い商品、競争相手の少ない商品、他社に簡単に真似されない商品ということで、タキシードに特化した。
地域を絞る
「大阪」「渋谷」で一番になることを目指し、「地域名+商品」でブログやホームページを作った。顧客の気持ちになって、Google検索してみると、今では自社のホームページやブログが出てくる。
客層を絞る
他にない販売方法・・・クラウドファンディング
顧客を維持する・・・アナログお礼状はがき

3.クラウドファンディング活用
 クラウドファンディングとは、インターネット経由で、クラウド(群衆)から少額の資金を集め、事業に活用し、支援をいただいた方に、リターンを返すしくみである。
 他にない販売方法として、真田幸村スーツを1着制作して、クラウドファンディング(購入型のFAAVO)に挑戦したところ、成立した。引き続き、各地域のFAAVOを活用して、各武将の子孫の方にも会って了解を得て、織田信長スーツ、真田幸村シューズ、石田三成スーツ、上杉謙信スーツ、武田信玄スーツなどを開発、販売している。
 クラウドファンディングのメリットは一石四鳥である。
宣伝効果がある(SNSで拡散され、マスコミで取り上げてもらえる可能性がある)
テストマーケティングになる(新商品が世の中にうけるかどうか反応が試せる)
先に資金がもらえ、お返しは後で送る
資金だけでなく、ファンも獲得できる
 また、FAAVO大阪の地域オーナーにもなり運営している。理由は、経営者として常に資金調達を模索しているからであるが、以前他のクラウドファンディング社に質問したところ、冷たい対応で、相談窓口が必要と感じたからである。
 以上のように、クラウドファンディングとは、信用をお金化するための装置である。

4.まとめ
 家業を再生することができた理由は、①ネット通販からリアルショップへシフト、②ブログで情報発信、③行動力で出会い、新しい挑戦の実行力、④クラウドファンディングでヒット商品開発に取り組んだからである。そして、今後も、どんどん新しいサービスが出てくるITを研究・勉強する仲間を集めて、継続して勉強会をしていることが大事と考えている。
 昔ながらの事業をITネット活用する、でもやっぱり人と地域の繋がり(アナログ)が大事というのが、本日、お伝えしたいことである。

5.最後に
 筆者が印象に残ったのは、「真田幸村スーツのアイデアは、真田幸村博を開催する天王寺区長に面会に行ったことから生まれた」というところです。行動力がアイデアを生み、真田家当主の方との出会いから子孫ネットワークが広がり、各武将スーツにつながっているとのことで、まずは動くことの大切さを改めて痛感しました。
 また、自らの資金繰りなどで苦労した経験や、クラウドファンディングを手がけた経験を活かして、同じような立場にある、大阪の中小企業を支援していこうという思いも、ひしひしと感じとられ、聴きごたえのあるお話でした。
 アンケートでも多くの良いメッセージを頂き、参加者全員から「大変満足」、「満足」との回答をいただくなど、たいへん充実した内容の講演でした。
以上

例会の様子

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