東京P2M研究部会
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イベント開催報告書について

鎌賀 信吉 : 12月号

 最近のイベントは、告知だけでなく会場の風景・様子をウェブサイト・SNSで公開することが一般的になってきました。参加された方が自らの参加を情報発信することにより、イベント当日を盛り上げるといった効果があります。また、準備に関わった方々へは無事開催へ漕ぎつけたこと、成功裏に完了したことを報告することができます。また、残念ながら参加できなかった方への次回参加を促すきっかけにもしたいところです。他にも、イベントに協力していただいた方・企業にも、来場者数や収益、メディア掲載などの実績を共有することは、継続的な関係づくりのために重要な発信情報です。万が一、事故が発生してしまった場合にも、ウェブサイトにおいて経緯・対応の報告を行い、再発防止策をのせるなどして、イベントならびに主催者への信頼感を損なわない取り組みも実施されています。
 では、どのようなイベント開催報告書が実際に作成されているかを、今回から数回にわたり「あいちトリエンナーレ2013」を題材にご紹介したいと思います。

 あいちトリエンナーレは、2010年から始まった3年に一度行われる芸術祭で、2013年は8月10日から10月27日までの79日間にわたり、名古屋地区・岡崎地区に行われた一大イベントです。
 あいちトリエンナーレ実行委員会という組織が主催し、特別協力(国際交流基金)、後援(5カ国の大使館)、助成(多くの文化支援団体)そして、多くの企業から協賛・協力・会場提供を得て実行されたものです。141ページにものぼる開催報告書は、以下のような内容になっています。

「あいちトリエンナーレ2013 開催報告書」(目次)
主催者あいさつ
芸術監督報告
開催概要
     名称、テーマ、開催目的、芸術監督、会期、会場、事業展開、主催
企画体制
展開概要
1 現代美術
 国際美術展、企画コンペによる展示、映像プログラム
2 舞台芸術
 パフォーミングアーツ、プロデュースオペラ
3 普及・教育
 キッズトリエンナーレ、学校向けプログラム、パブリック・プログラム
4 建築関連プロジェクト
 あいち建築ガイド、オープンアーキテクチャ
5 モバイル・トリエンナーレ(移動型展示)
6 共催・連携事業
 国際交流基金との共催事業、祝祭ウィーク事業、 地元大学等との連携、特別連携事業
 並行企画事業、パートナーシップ事業
7 サポート体制 (ボランティア数)
8 その他
 会場運営、広報PR、ガイドブック、オフィシャルグッズなど
9 愛知県によるトリエンナーレ保管事業(緊急雇用創出事業基金事業)
 ベロタクシー運行事業、まちなか展開拡充事業、開催効果調査分析業務、
 顧客対応(コールセンター)業務、PRキャラバン隊事業、
 携帯情報端末活用コンテンツ制作事業
来場者の状況等
1 来場者数
2 チケットの販売状況
3 アンケート調査結果
 (来場者・関係者・文化芸術関係機関等)
4 有識者意見
5 経済波及効果
6 パブリシティ効果
実行委員会の状況等
1 実行委員会の収支状況
2 実行委員会委員等
3 実行委員会事務局組織
資料
あいちトリエンナーレの開催経緯
あいちトリエンナーレ実行委員会規約
あいちトリエンナーレの推移

 ここでは、プログラム内容ごとの実績と、その分析が詳細に掲載されています。また、関係者・来場者などにアンケート・インタビューを行うことで、幅広い意識調査・分析がなされています。我々が身近で関与できる小規模のイベントにおいては予算やリソースに限りがありますが、ぜひ工夫をしながら取得して、継続的な開催に参考にしたいところです。次回は、実績情報の収集をテーマにしたいと思います。

以上

【出典】
あいちトリエンナーレ2013開催報告書
「基礎から学ぶ、基礎からわかるイベント」  日本イベント振興協会

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