理事長コーナー
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韓国PM協会との交流

PMAJ理事長 光藤 昭男 [プロフィール] :11月号

 この3年間、当協会のPMシンポジウムに、韓国PM協会(KPMA:Korean Project Management Association)の方が発表されている。今年の韓国からの代表者は、韓国ソウル市漢陽大学校(Hanyang Univesity)プロジェクトマネジメント専攻のEun Joo Jeong教授(Adjunct Professor)がお見えになった。講演のタイトルは、「Project Governance and Project Success ~Cases of Audit and PMO Institutions in Korea~」であった。プロジェクトに参加する企業や機関の競合(対立)は、プロジェクトガバナンスを正しく行うことで軽減することができる、という命題を韓国政府と韓国ICT企業を具体例として述べられた講義であった。大勢の参加者が出席され、そして、質疑を行った。講演内容の概要は、PMシンポジウム2017の案内パンフレット、また、参加された方はお渡しした付属のCD内プレゼン資料をご参照願いたい。

 PMAJからは、今年、私が訪韓し講演を行った。KPMAの本大会テーマは、「Job Creation and PPP Projects Based on Project Management Method in the Fourth Generation Industries Revolution(注: PPP -Public Private Partnership-)」であった。「第4次産業革命におけるプロジェクトマネジメントに基づく官民連携と雇用創造」という、とてつもなく大きなテーマであった。私は、いわゆる「特別講演」で、日本政府が進める政策である「Society 5.0 - Industry4.0」のポイントを話し、そのような社会を実現させてゆく過程で、プログラム & プロジェクトの創造と確実な実施が重要であり、その要件をかいつまんで説明した。与えられた時間は45分で、講演と質疑応答の合計時間であった。結果は、40分の講演に対して、40分の質疑応答となり、次の予定時刻開始時間ぎりぎりまでとなった。一般に、質問が多いのは、関心が高かったと云えるので、終わったときは良かったと感じた。しかし、良くよく考えると、説明の範囲が広すぎたために、私の説明時間内だけでは説明不足と感じ、質疑でそれが補われたのであった。

 この日韓のPM交流は、2013年のIPMA(欧州のPM協会)の大会で、KPMA側から提案があり、その翌2014年に、初めてPMAJ側が韓国を訪問することで実現した。当初、PMAJ芝尾副理事長を介して、交流の合意がなされたため、初めての2014年は、芝尾副理事長が訪韓し、講演されてきた。2015年には、KPMA会長(当時)のDr. Young Cheol Lee(李永鐡:KPMA Chairman、Kyungsung Energy Co. President & CEO)が来日された。一方、PMAJからは、清水基夫副理事長(当時)が訪韓し、同年内の相互訪問が実現した。引き続き2016年には、Dr. Chang Wook Kang(学部長Dean, College of Engineering Sciences, 漢陽大学校Nanyang University)と田中弘前理事長が、相互訪問し、講演を行った。

 KPMAのシンポジウムでは、協会関係者が企業や大学勤務者であることに配慮し、大会自体は朝に開場するが、開会式は、午後に行われる。開会宣言、基調講演、特別講演2本、表彰式、懇親会など一連の公式行事は3時がスタート時間だ。私の講演の順番は、基調講演の次であった。夕刻には、表彰式と懇親パーティが着座方式で行われた。表彰対象は、「Project of the Year」として、2団体と1個人の表彰が行われた。この席から、初めて打ち解けたムードとなり、着座方式の制約はあったが、大いに交流し有意義であった。

 米国PMI(Project Management Institute)、欧州IPMA(International Project Management Association)、アジアパシフィックのAPFPM(Asia Pacific Federation of Project Management)などの大会には参加したことがあるが、特定国のPM協会は、今回が初めてだ。当然であるが、KPMAの大会参加者は、韓国の方々であり、通常は韓国語だけで事足りる。英語の付記も無くはないが、非常に少ない。韓国語は日本語に近いと言語学の世界では言われているが、私は全くわからなかった。ソウル外国語大学院の修士課程の学生を、初日午後から半日通訳として付けて頂いたので、大変助けになった。

 PMAJの大会を振り返れば、日本人だけであり、日本語だけで事足り、英語の付記は随意である。今回の私のように、たった一人でもその国でなく、言語も異なる人が参加する場合に、その人がどのように感じて大会に参加しているか、よく解った。貴重な時間であった。この実体験を今後のPMAJの運営に反映させなくてはならない。

以 上

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