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日本南極地域観測隊の紹介
日本の南極地域観測は国家プロジェクトして1956年の南極観測船「宗谷」に始まり、その後60年にわたり地球環境の観測等を通じて世界トップクラスの科学的成果を発信し続けてきました。
現在の南極地域観測隊は大きく分けると越冬隊と夏隊の2種類にわかれ、越冬隊は約30名で構成され昭和基地の滞在期間は1年2ヶ月、事前準備を含めると観測隊としての任期は1年9ヶ月の長期に渡るものです。
越冬隊員は、それぞれの専門分野のミッションを遂行すると共に基地内の全てのインフラ、観測機器を維持・運用する広範なミッションを過酷な南極の自然の下で共同で遂行します。
一方、夏隊は本隊約30名+同行者約20名で構成され約60日間の短期滞在ですが、その間に基地の設営・整備を行いながら越冬準備や引き継ぎといった作業を遂行します。南極の夏にしか出来ない観測や設営など複数のミッションを集中的に実施する必要があり、その作業量は延べ6,000人日の大規模な短期プロジェクトとなります。
今回の講演で紹介頂く第57次越冬隊は、越冬隊長1名、気象や宙空圏・気水圏などの観測を行う観測部門12名、機械や通信・建築、医療・調理の生活インフラを維持する設営部門17名 計30名で構成されました。
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越冬隊のリスクマネジメント
越冬隊は、物資の補充が途中では出来ない究極の制約条件のプロジェクトであり限られた予算内で出発前に予備品、補修品を調達する必要があります。
また観測機器の定期保守や故障等の緊急事態発生時には、厳しい自然環境であっても屋外作業をせざるを得ないケースもあり一歩間違えると生死に直結するリスクがあります。
これらのリスクに対して越冬隊は、事前に作業内容の説明を行い危険予知についてリスクアセスメントを徹底し安全講習やレスキュー訓練を出発前はもちろん越冬期間中も定期的に実施しています。もちろん自然が相手であり計画の変更は日常茶飯事ですが、計画変更の影響を最小化すべく隊員全員が意識をあわせて調整することが肝要となります。
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究極のコミュニケーション術
越冬隊30名はそれぞれ専門分野が異なるエキスパート集団であり、各部門のミッションを自らが完遂する事に加えて他分野の支援にも積極的に関与する事がとても重要であることを、田村講師の実体験をもとに説明いただきました。
言葉のコミュケーションはもちろんですが、お互いのミッションを尊重しながら意見交換・相互体験することにより協働するコミュニケーションを通じて越冬隊としての一体感を醸成する行動が求められます。 |