【第225回例会 報告】
生越 直人 : 10月号
【データ】
開催日: |
2017年8月25日(金) 19:00~20:30 |
テーマ: |
「人工知能の特徴と可能性」
~AIと人とのコラボレーション~ |
講師: |
大谷 紀子 氏/東京都市大学 メディア情報学部 教授 |
~はじめに~
現在、「人工知能」や「AI」という言葉を耳にしない日はないほどのAIブームが起こっています。そこで、今月の例会では、PMと関連づけたお話にはなりませんが、AIについての知識の共有を目的とした「人工知能の特徴と可能性」のご講演を行って頂きました。
~講演概要~
1.人工知能 (Artificial Intelligence:AI) とは何か
現在は、第3次人工知能ブームと呼ばれている。第1次ブームは1960年前後で、数学の定理証明や機械翻訳が行われた。第2次ブームは1980年代で、エキスパートシステムやニューラルネットワークが注目された。そして、ディープラーニングが発明された現在、第3次ブームとなっている。
人工知能とは何か?日本の人工知能学界の歴代会長による「人工知能の定義」を見ると、様々な定義があり、未だに明確な定義がない。一般的には「コンピュータを使って、学習・推論・判断など人間の知能のはたらきを人工的に実現したもの」と言われている。
人工知能を動かすコンピュータには以下の特徴があり、人工知能も同様の特徴を有している。
■ |
苦手なこと |
|
・ |
必要な情報の取捨選択 |
|
・ |
ことばの理解 |
|
・ |
常識の活用 |
■ |
得意なこと |
|
・ |
指示された処理を何度でも休まず正確に実行
(文句を言わない、先入観に捉われない、意義がなくても構わない) |
|
・ |
大量データの保持(記憶媒体の容量の範囲内) |
現在の人工知能は、将棋や囲碁で人間に勝てるようになったり、「ロボットは東大に入れるか?」プロジェクトを行ったり、小説を書かせたりできるようになった。
2.人工知能の最先端の研究:自動作曲
人工知能を使い、個人の感性に即した楽曲の自動生成システムを研究している。例えば、Aさんに癒される実際の曲を教えていただき、その曲の特徴を抽出し、Aさんが癒される曲を作成する。作成された曲には、教えていただいた曲そのものは入っていないが、曲の雰囲気は入っている。そして、人工知能の特徴抽出機能と作曲機能を使用して、毎回異なる曲を生成することが可能である。
アーティストとのコラボにより、人工知能の作曲した「新しい楽曲のパーツ」から選抜・並び替えを行い、歌付きの新しい楽曲制作を行っている。共同募金70周年記念応援ソング「akaihane」を制作し、曲を流しながら募金の呼びかけを行ったところ、前の年の約2.8倍の募金額を得ることができた。(呼びかけを行った児童数は、ほぼ前年並み)
また、人工知能とアーティストによる作曲の所要時間は、人間が知識と経験により活用のコツを学習することによって、作曲するごとに短時間になった。
3.これからの私たちに望まれること
コンピュータと人工知能の特徴を理解することである。これからの社会ではあらゆる場面で人工知能が活用される。人工知能が欠かせない存在となった社会で生きていくためには、人工知能に対して漠然と「何でもできる魔法のツール」「人の職を奪う存在」などとイメージを抱く前に、人工知能とは「どのようなことができるのか?」「何をまかせるべきなのか?」「人間がすべきことは何か?」を知ることが大切である。
~まとめ~
今まで、何気なく聞いていた人工知能(AI)について、内容を整理して理解することができました。特に人工知能の特徴のご説明では、とても簡単でわかりやすいプレゼンを行っていただき、何ができるのか、何ができないのか理解することができました。
人工知能の最先端の研究:自動作曲のご説明では、「AIとぼく」というタイトルの、わくわくするような楽曲を聴くことができました。「0100 0001」「0100 1001」のフレーズが耳に残る、大変楽しい例会でした。
今回の例会資料は、大谷講師のご好意によって以下URLに公開されていますので、是非ご覧ください。
こちら をご覧ください。
また、大谷講師には、例会の翌日にオープンキャンパスという、大変お忙しい時期にもかかわらずご協力頂きましたこと、誠にありがとうございました。
最後に、我々と共に部会運営メンバーとなるKP(キーパーソン)を募集しています。参加ご希望の方は、日本プロジェクトマネジメント協会までご連絡下さい。
以上
|