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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (43)
高齢化社会の地域コミュニティを考えよう (19)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 10月号

Z. 先月号でワークショップをどのようにするか、説得力ある手法を詳細に説明してくれた。
成果を出せると感じていたが、現実に成功したといえるのかね。
I. “アベノミクス”が求めているのは、地方自治の自力再生です。この町も“アベノミクス”に応募し、少額ながら予算を確保できました。
しかし応募した地方自治体の現状を見ていますと、現時点で再生可能な自治体は少数派です。そのため多くの地方自治体の“アベノミクス”はタテマエ上再生可能と宣言していますが、ホンネは将来の自治体のサステイナビリティ(持続的維持可能管理)が困難なようです。しかし日本人は賢く「赤信号皆で渡れば怖くない」的にサステイナビリティは将来事項と解釈し、現計画には導入されていませんでした。そのため私の革新的な提案は現状の方針と合致しないため不採用となりました。そこで幹部からからは3つのテーマを与えられました。わたしが担当したのは公園の新しい利活用でした。

第1回ワークショップでは、次の基本事項を決めて、意見を出してもらうことにしました。
遊具の追加の要求をしないことを原則とする。
公園の利活用を手っ取り早く実施できるものとして公園の花壇化等がある。これらは優先的に提案してもらう。
それとは別に遊具を追加しないで公園の新しい利活用を考えるには、住民を集めて多様な活用法を考案させる必要がある。この場合はまず、住民を集め、公園利活用の内容ごとにコミュニティをつくるという、比較的時間が掛かる方式を採用する。この方式はまずコミュニティをつくるのを優先する。
公園の維持管理は町の人口減にともなって税収が減るが、既存の設備の維持管理費は現状維持である。このため住民ができることは、自主的なボランティア活動により、維持管理費の不足分を住民が自主的にカバーする方式をとるという協定が必要になってくる。
ワークショップ中の住民の意見は基本的に方針と変わらなかった

  第1回ワークショップ以降の実践的活動
  1.公園プロジェクトの成功の手順(行政との意見交換)
  1 ) 公園プロジェクトはSTEP1の提案に成功しました。STEP1は2つの提案をしました。
やさしい内容の提案として既存の都市公園(比較的大きな規模の公園のこと)の花壇化という提案。
具体的手法: 都市公園としての中央公園の改修事例の提案
都市公園の花壇化と湧水の浄化(この公園の特殊性)です。
成果とは、町行政の仕事に直接関与するため、関与することができる能力があること示す研究報告書(プロフェッショナルな内容)を提出し、大枠承認されました。
難しい提案として「町に遊具のおねだりをしないで、自主的に公園での遊び方、使いかたを提案し実現させる」。
具体的手法: 住民の多様な利活用事例を提示し、議論した。
その結果町行政の意見は「提案する母体が実施責任をもった集団あること。その集団は公園愛護会に所属し、多様な住民の階層で、多様な利活用を提案し、実行し、必要に応じて改革できる集団であることの能力評価ができることが求められる」という内容の回答でした。
結論はSTEP1として「公園愛護会の設立」が課題としてコメントされました。

  第2回ワークショップによる有識者住民との意見交換
  1.町との了解事項をベースに公園部門に参加した、住民との意見交換をおこない、中央公園の花壇化というSTEP1の改修事業の実施に関し、賛同がえられた。

  2.実施計画上の問題点
  1 ) STEP1の提案の成功の結果何が起こったのか。
i ) 花壇化改修プロジェクトの実施が決まったいま、即課題が発生した。本年度は花の購入を“アベノミクス”予算で処理したが、実質企画者は来年度の花の供給を町に保証させよという提案が出た。

ii ) Iさんは「STEP2は自前で考える必要がある旨」の発言をした。
協議会幹部はSTEP2という対応を考えていなかったが、とりあえず提案が成功したことで、精神的ゆとりが生まれ、STEP2の必要性を研究項目に入れようという発想に替わりつつある状況である。

iii ) 公園愛護会設立:実質的に発足に向けた活動をすることになった。
ただ、公園の利活用に関しては簡単ではないことも覚悟するが。利活用ができなかったとしても当面問題が起こることはない。しかし新しい視点で成果を出す考えが求められる雰囲気が生まれ、Iさんの初期の辛抱が認められる情勢となってきましたが、その場合は花の自前栽培等が表面化する。公園愛護会のメンバーの活躍が期待されます。

iv ) 将来に対する展望
STEP1の成功で住民に活気を持たせるという機会が与えられたと考え、今後は住民間の関係性強化が最大の成果につながる。このための努力をする。
役所も住民を使って、行政の習慣の壁を破ってもらったということで、勇気をもって困難に対応してもらえる状況を維持する努力をする。
ここで申し上げたいのは改革をするという行為の前に、心の、あるいは習慣の改革が重要です。これらの準備活動によって、“アベノミクス”改革に最初の勝利を収めることができます。

Z. お話しありがとうございました。
Iさんのご努力をまとめてみました。
“アベノミクス”にのっとった提案をし、現状の空気を知らない人間として、再生協議会幹部から疎まれたが、辛抱強く幹部の要望に応え、再生協議会のSTEP1実践へのアプローチで能力を発揮できるところまで漕ぎつけた。
STEP1の実践アプローチで、町行政、ワークショップ傘下の住民からの支持を得られるところまで導いてきた。
STEP1の実践にこぎつけたことで、協議会幹部も組織の持続可能性へのアプローチに心を動かし始めた。
住民の一部に熱狂的なファンがうまれ、新しい形の公園愛護会の構築に動き始めている。
Iさんの当初の意図は、ここへきて多くの人々へ伝達されつつある気がする。
最初から広大な夢を打ち出すより、地道に1点を確保して、次の2点目を目指すやり方への共感が増えてきたのではなかという印象を受ける。成功への道は辛抱して遠回りしたことで、切り開けたといえる。これからも更なる発展を期待している。

以上

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