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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (42)
高齢化社会の地域コミュニティを考えよう (18)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 9月号

I. 先月はZさんより公園部会に関し、町も住民も関心が薄いなら、無理をしないで、しばらくは従来路線を踏襲する方がよいという示唆を頂きました。
このご示唆にしたがい【魅力ある地域公園づくり】は第1回ワークショップの成果を利用して2つの類型にわけて検討し、29年度で定めた予算内に納める範囲の事業化を進めることにしました。
具体的には公園活用の分類として比較的緩やかな変化が望ましい公園と、時代の変化の速さを取り入れた公園の在り方とに分類し、前者は29年度予算でできる公園改修を提案する方針とし、後者は未来に向けた【魅力ある公園づくり】になる発想(コト)の提案(予算を使わない)としました。

  1.公園の分類とその内容。
  1 ) 【魅力ある地域公園づくり】分類1の代表例:中央公園
中央公園は地域再生協議会内では最大の公園であり、ゆったりとした雰囲気のある公園としての特長を生かし、改革でなく改修とする。
中央公園は30年前の新興団地に決められた公園の在り方を踏襲している。しかし昨今は国、地方自治による条例の変革路線を受け入れ、その範疇で住民が望む新しい価値(季節を通して得られる楽しみ、住民の年齢層に見合った要望など)を創り出す改修を提案する。
提案する内容が協議会の予算内に収まる計画にするために、公園に詳しい公園愛護会のメンバーの職人的な感覚も取り入れた企画案を提案する。
その結果、町から認められる予算範囲に収まってきたという状況になりました。
具体的には、サツキが大きくなりすぎたので、一部撤去するが、これは町の予算で賄ってもらう。協議会予算で花壇を4つつくることとし、花壇ごとに季節のことなる花を咲かせることにしました。
他方この公園には湧水が導入され、子供の水遊びが目玉になっていたが、栄養分の高い水質のためか藻の成長が早く、子供の水遊びができなかった。本改修では水質改善を試みることにしました。

  2 ) 第2の選択は時代の変化を取り入れた活性化された公園を目指す。
ここは従来ある公園の改修ではなく、町の住民が、自分達の公園をどのように使い、生活の向上をはかるかという考えを導入しました。
第1回ワークショップの後に、ワークショップに積極的にご参加いただいた、50歳代の人材のご協力を得て、企画立案を行ってきました。
第二案については単に【魅力ある地域公園づくり】ではなく、50年前に出発した公園が、50年の経過で子育ての盛んな時代は過ぎ、子供の減少と同時に老人の増加という時代的背景があります。この背景を考慮した公園の在り方を検討してもらいました。
時間の関係で1企画者の提案を採用しましたが、この1案が成功すると、それに即発された次の案が出されるきっかけとなります。今回はこの一つのトライに力を入れました。
事例1の提案:公園が必要な人々:彼らは何を欲しているか
  幼児と親御さん
  走ったり、飛んだりできる場所が欲しい子供たち
  子供とのコミュニケーションをとりたい親御さん
  お年寄り:静かな楽しみ方
目的: 公園を楽しんで利用し、自身の成長とコミュニケーションの醸成を促す。

目的達成のための具体的行動
  幼児と親御さん
よちよち歩きの子供が安全・安心して体を動かし、心身を成長させて夜泣きももせず、ぐっすり寝てくれる。
  走ったり、飛んだりできる場所が欲しい子供たち
元気いっぱい、自由な発想で挑戦と達成を味わえる場所。
そんな遊びを通じて、多様な相手とのコミュニケーションを行う。
  子供とのコミュニケーションをとりたい親御さん
伸び伸びと遊ぶ子供に、ゆったりとした気持ちで付き合える。
子供との遊びを共有して心を通わせることができる。
  お年寄り
公園によっては平らではない地面や階段がある。歩くだけで体力の補強が必要となる。このため老人同様、支援が必要な人にはサポートする。
ゲームなどを通じて仲間と楽しみを分かち合う。子供の笑い声に、自然と頬が緩む。

活性化へ向けてのイメージ提言
  公園内を回れる、車椅子やベビーカーが入れる木道デッキ
  限定的な遊びの遊具を少し減らして、自由に工夫しながらチャレンジして、達成感の得られる冒険遊び場へ
  ゲートボール場を低木で囲い、お互いに安心できる切り分け
  幼児と親御さんが安心安全に遊べるエリアを!
  全体的に相互の交流を意識して場つくりを行う!

これがワークショップ終了後に公園部会が決めた戦略です。

Z. 公園の在り方に対し、行政が実施してきたやり方を踏まえて、新しい提案を出し、行政と住民と埋まらない差異を提案したのはあっぱれではないかね。
I. ありがとうございます。
提案1に関しては公園の在り方への行政的変化を取り入れて説明したこと。同時に行政の発想と具体的実施に関し、慣れた人材に企画、説明をしてもらった結果大変好評であった。その理由は町に対する過大な要望を示していない。行政が持っている予算内でできるところは、彼らにお願いし、これからの町と住民との自主活動のすみわけを提案したことです。これはムラ社会で解決させる通常の手法を用いて成功させました。

提案2に対しては企画立案者に説明させました。
彼は第一の提案者が公園改修の内容を細かく説明したことにつられて、彼が提案した「公園が必要な人々:彼らは何を欲しているか」を真っ先に説明する代わりに、「相手を理解させやすいイメージ的提言」を先に話しました。
町からは予算等の質問、誰が実行するのかという質問がだされました。
第2案はコトの実施で、モノの建設でないのに、モノの建設と誤解されて、真意を伝えることができなかったのは残念でした。

そして行政から出された回答は
誰が実施するのか。公園愛護会ができないとこの案は実現できないね。
住民側の発想は安全に関し、十分な対策がない。今回の提案を町で試算するなら一桁違う。町の予算をこえる提案には答えられない。という反応でした。

ごく当たり前の回答です。日本的ムラ社会から見たら無謀な提案になってしまったわけです。しばらくはおとなしくした方がいいというZさんのご示唆は無駄になってしまいました。

これで第二回ワークショップをどのように実施すべきか頭の痛い状況になってしまいました。この苦境をどう乗り越えるか、来月号は厳しいですね。

以上

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