例会部会
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『第222回例会』報告

中前 正 : 7月号

日頃、プロジェクトマネジメントに従事している皆様、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、5月に開催した『第222回例会』について、ご報告いたします。

【データ】
開催日: 2017年5月26日(金)
テーマ: 「将来起点で事業を考える戦略的ロードマッピング」 ~競争力のあるビジネスを生みだす先進事例の紹介~
講師: イノベーションマネジメント株式会社 アドバイザリーコンサルタント 佐藤祐也 氏

人工知能の進化やIoTの登場により、われわれ人間の生活環境は、これまでにはないスピードで劇的に変化しています。企業においては、単に目新しい製品を生み出すだけでは不十分であり、将来の需要を十分に見据えた製品開発やビジネスモデルの構築が必要となってきています。

しかし、いざ、将来視点のビジネスを目指そうとしても、部署間の連携不足やリーダーの不在など、さまざまな障壁が立ちはだかり、うまく戦略を立案し推進することができない組織も少なくありません。そこで、今回は自動車業界を中心にコンサルタント業務を担っている佐藤祐也氏を講師としてお招きし、未来志向の戦略をロードマップに落とし込み、実行に移していくプロセスを、実例を交えてお話しいただきました。

講演は、まず、企業でロードマップ(目標とする場所にたどり着くまでの道筋を見える化するツール)が求められている背景の説明からスタート。続いて自動運転やカーシェアリングといったクルマ社会の環境変化、そしてニーズに対する十分な検討ができずに、短期的なビジネスに依存してしまう実情の説明がありました。

その後、未来社会の仮説を立てて必要なサービスや技術を練っていく「バックキャスト」の手法を解説。

未来社会の仮説
→未来に走っているのはどんな車か

未来の「困りごと」の洗い出しと優先順位付け
→購入から廃棄までのライフサイクルと、交通社会の登場人物の2軸で洗い出し

解決策のアイデア出しと優先順位付け
→新規性、インパクト、実現可能性の3項目で評価

ロードマップに載せるアイデアの決定
→アイデアの実現に必要な製品や技術を特定し、時系列に配置

という4つのステップを踏まえて、戦略をロードマップ化するまでの過程が説明されました。その中で、「困り度合いと頻度から算定して優先順位をつける」「未来像は、イラストなどでビジュアル化して共有する」「新しい企画の有無にかかわらずロードマップを定期更新して定着化を図る」といったコツも学ぶことができました。

私はこれまで、開発プロジェクトの現場で簡単なロードマップを作る機会が数回ありましたが、なかなか戦略がメンバーに浸透せず、絵に描いた餅になってしまったこともありました。次の機会では、今回の講演で学んだ「バックキャスト」の手順やコツを実践して、説得力のあるロードマップ作りを目指してみたいと思います。

例会では、今後も、プロジェクト・マネジャーに必要な戦略スキルをテーマに取り上げていく予定です。引き続きご期待ください。

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