東京P2M研究部会
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イベントにおける安全管理

東京P2M研究会 鎌賀 信吉 : 7月号

 前回は、イベント業務プロセスを学ぶとして、イベントづくりの5つの段階をご紹介しました。
     企画立案 ➡ 計画策定 ➡ 制作・施工 ➡ 会場運営 ➡ 結果の検証

 企画のプロデュースに始まり、実行委員会を組織し、関係者の巻き込み、当日の運営・撤収にいたるまで、イベントをつくるための多岐にわたる業務がありますが、その中で最も気を付けなければならない事項は何でしょうか。様々な視点がありますが、ここではイベントが上手くいかなかったとされる事象をあげ、それを回避することを念頭に置いてみたいと思います。
 以下は、イベントの振り返りであげられる典型的な理由になります。
集客できなかった
予算がオーバーしてしまった
クレームが多発してしまった
グッズが売れなかった
出演者がキャンセルになった
プログラムが予定通りに進まなかった
協賛・後援を得られなかった
事故が発生し、けが人がでてしまった

 この中で最も深刻なものはなんでしょうか。様々な意見はあると思いますが、一般的には安全を確保できなかったことになるのではないでしょうか。一旦、事故や重大なトラブルが発生してしまうと、地域や学校の交流促進をめざしたイベントが、その目的を達成できなくなるばかりか、補償や関係者・メディアへの対応などを慎重に行うことが要求されてしまいます。さらに、対応・処置の如何によって、対応者への批判が殺到し、不幸な事態になってしまうケースは多くみられます。
 とはいえ、事故やトラブルへの対応は一般的なものではありません。必要とされる専門的な知識や経験は、国際イベントのような大規模なものを除いては、主催者(実行委員会)が必要な対策を認識し、計画的に実施することは難しいのが実情です。

 では、自分がある日、イベント主催者(実行委員会)となってしまった場合、どのように安全対策を進めていけばよいのでしょうか。おそらく運営予算はあまり多くなく、過去からの引継資料も十分ではないと想定されます。そこで、先ずは安全に関する予算をとり、安全対策のタスクを設定することから始めたいと思います。また、他イベントの実行委員会の方々にお願いして、安全対策や委託した専門家など様々なことをヒアリングしたいところです。自分なりにやるべきことを整理し、その上で来場者数や動線を予測し、実際に会場状況を見学することで緊急時の避難誘導経路や避難場所など具体的にイメージしていきます。
 また、実際の事故・トラブル事例を、社会的な視点から見直してみるのも効果的であると思います。イベントには地域住民など多くの方々が参加するため、一旦 事故・トラブルが発生すると、混乱が広まり、事態を収拾することが難しくなるといわれています。過去には発生時に迅速な対応がとれなかったことで重大な事態に陥った事故が多くあります。指揮命令系統を明確にして素早く状況を把握し、対応につなげられる運営体制・システム・緊急時マニュアルがあれば随分リスクは回避されると想像できます。これらもある程度、自分なりの仮説をたてた上で、安全管理のプロフェッショナルに相談して、アドバイスを求めることができれば、限られた予算の中でも、よりよい提案を得ることができるのではないでしょうか。

 現在、イベントマネジメントSIGでは、業務として遂行していないメンバーがイベントマネジメントを読み解く作業を行っている最中です。本日はその中で研究の1テーマとなっている安全管理について、寄稿させていただきました。まだまだ関係者の知見を反映できるまでに至っていないため、私見が多く、疑問に思われた部分も多かったものと思います。今後も研究内容・テーマについて、寄稿を行っていきたいと思っております。率直なご意見・コメントをいただけますと幸いです。是非ともよろしくお願い致します。

以上

【出典】
「基礎から学ぶ、基礎からわかるイベント」  日本イベント振興協会

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