今月のひとこと
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  酒器洗浄機  

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :7月号

 いよいよ夏本番。今年も猛暑だという噂が聞こえてきます。生ビールがおいしいと喜んでばかりもいられません。冷房が効いたオフィスで、仕事をしているフリをしてビールタイムまでを過ごすというのは一つの知恵ですが、もう少しましな猛暑克服策はないものでしょうか。何十年も考えてきたのですが、いい答えは見つかりません。
 今年は、台風のニュースがないのが不気味です。猛暑が厳しいというだけの夏で収まってくれることを祈ります。

 暑い季節は、水仕事が快適です。元来が不器用なので食器洗いには食洗機(食器洗い乾燥機)を使っています。我が家では、流しの脇に置くタイプの食洗機を使い続けて、既に3台目です。1・2台目とも調子が悪くなるまで10年ほど使い、機能アップ・性能アップを謳った新しい機種に買い替えました。にも拘らず、何故か仕上りは1台目の機種が1番よかったように思います。電力や水の使用量を抑える省エネ化を進めたことにより、メーカーとして、本来落としてはいけない性能を落としてしまったのではないかと、勝手に想像しています。
 食洗機対応の表示がない食器は、中性洗剤で手洗いしなければならないことになっています。とはいっても普段使いの食器を手洗いするのも面倒なので、どんどん食洗機に放り込んでいます。木製の箸は色が完全になくなり、棒切れのようになってしまいました。朱色だった陶器の湯飲みは、薄茶色に変わり、5客のうち3客は割れてしまいました。もっとも、これらはいずれも10年以上使い込んでいるので、食洗機との因果関係は定かではありません。
 最近、酒器によってお酒の味が変わるということを覚えました。底が深い・浅い、吞み口が厚い・薄い、材質が陶器・磁器・漆器・ガラス・玉石・鉄・錫…、いろいろあります。中国の「笑傲江湖」という冒険小説には、酒に合わせて使い分けるために、常に12種の酒器を持ち歩いている祖千秋という酒豪の話が出ています。祖千秋にあやかろうと、手始めに錫のお猪口を入手しました。同じお酒を、景品でもらった磁器のお猪口と飲み比べてみると確かに違います。飲み会1回分くらいの価格なので、高価という程でもなく、プチ贅沢な気分も味わえます。
 面倒なことに、錫の食器は食洗機不可なのです。うまいお酒を錫のお猪口で飲もうとすると、手洗いすることを覚悟しなければなりません。飲み過ぎを抑制する効果は期待できますが、何とも味気ない話です。
 ワイングラス等の洗浄を行う業務用の食洗機はあります。家庭用もあるようですが、かなり高額になるようです。12種の酒器のいずれをも洗浄することができる、安価でコンパクトな食洗機を開発しようというメーカーの出現を期待します。

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