○ |
イントロダクション
通常のイベントはイベント当日に向けて準備活動し、イベントが終われば関連する活動も終了する「終わるイベント」です。しかし、イベントの後のことまで考えて始める「続くイベント」というものもあります。後のことを計画的にやることで、イベントを通して人生を豊かにする、イベントを戦略的に考えられる、というのが「続くイベント」の特徴だと考えます。 |
○ |
イベントとイベントマネジメント
東京P2M研究会では、イベントは、ある目的のために、特別な時を演出し、人を集め、何かを印象づけて、その後に価値を生み出す場である、と考えました。
PMAJイベントマネジメントSIGアドバイザーの株式会社セレスポ サステイナブルイベント研究所所長の越川延明氏は、イベントマネジメントのISO規格であるISO2012の開発に日本代表として参画された第一人者ですが、その越川氏によれば、成功するイベントには、PR内容が分かりやすい、参加者のモチベーションにつながる内容である、拡張性と柔軟性が高いことでそれ以上の付加価値が得られる、連続性を感じられることで次のアクションにつながる、行動・対象が具体的であるといった共通点があるとした上で、レガシー共創のポイントは以下であるとのことです。
1. ビジョンを掲げる 2.機会を提供する 3.ストーリーを語る |
○ |
イベントとプロジェクト
プロジェクトの基本属性として「プロジェクト=価値創造事業」と定義されていますが、これはイベントにも通じます。また、プロジェクトの基本属性である「個別性」「有期性」「不確実性」という特性もまた、イベントに当てはまります。つまり、イベントはプロジェクトの一形態ということです。
しかし、イベントにはイベント固有の特性があります。具体的には、ステークホルダーとしてボランティアが重要な役割を持つ、投資の回収期間が短い(開催日までに回収)、成果物が物ではなく集客や満足度などの開催結果である、などです。
イベントをプログラムマネジメントに当てはめて考えると、①レガシー創りの観点からミッションを定め、②スキーム設定(ビジョンを掲げる/機会を提供する/ストーリーを語る)、③システム構築(企画・立案/計悪・制作/実施・運営)④イベント後のサービス提供(継続計画の実施/再編と拡張/目的の実現)を行うということになるかと思います。
2012年のロンドンオリ・パラ大会は計画当初からレガシー計画を意識しマネジメントされた大会であり、施設面だけでなく、ボランティア精神や地域のコミュニティ活動、長期視点の選手育成など、大会後の現在も当時の活動が根付いています。 |
○ |
2019年ラグビーW杯/2020年東京オリ・パラ大会
PMAJでは(公財)ラグビーワールドカップ2019組織委員会とともに活動する中で、委員の中田宙志氏にセミナーでご講演をいただくなどしています。組織委員会はチケット販売に特化した組織ですが、中田氏はプロジェクトマネジメントを活用して日本のスポーツ市場を考えようとしていらっしゃいます。
ラグビーW杯におけるレガシー検討においては、ノーサイドの精神を日本に広める事、ラグビーを日本でよりメジャーなスポーツにすることが考えられています。
東京オリ・パラ大会については、経済成長政策としての戦略は検討されていますが、組織的なレガシー検討は、昨年ようやく大会組織委員会によってレガシー&アクションプランが発表されたばかりです。東京オリ・パラ大会のレガシーは、大会開催およびその後を見据え、持続的繁栄社会の実現が求められると考えます。 |