関西例会部会
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第133回 関西例会レポート

PMAJ関西 KP 林 健太郎 : 4月号

開催日時: 2017年3月10日(金) 19:00~20:30
開催場所: 大阪駅前第2ビル 総合生涯学習センター 第2研修室
テーマ: テクノロジー・イノベーションセンターにおける研究開発テーマ創出活動と持続的運営のための仕組みづくり
講師: 芳之内 優 (よしのうち ゆう) 氏 / ダイキン工業株式会社
参加者数: 39名(スタッフ含む)

講演概要:
空調・冷凍機事業を中心に海外展開を進め、2兆円を超える売り上げをあげているダイキン工業において、今後、新領域での価値創出を使命とするテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)が2015年に設置された。商品開発と技術開発の時間的ミスマッチを克服し、グローバル企業としてのオープンイノベーションを推進する取り組みについて、講演いただいた。

講師・会場:
最近の関西例会は申込者が増加してきたため、開催日までに申し込みを制限することが発生していた。今回のテーマは関西を代表する好調な企業から講師を選定したこともあり、初めて60名規模の研修室を使用した。当初登壇予定であったTIC戦略室の天野氏が出張となったが、ともに活動をされてきた同戦略室の芳之内氏を迎え、講演45分、質疑応答45分という今までにない活発な例会となった。

講師・会場

R&Dの役割の変化:
市場の変化が早く、ニーズも多様化した市場に対して商品投入を行うためには、市場を理解したテーマの提案が必須となっていた。そのために、研究所内にマーケティングチームを設置し、技術研究者がマーケターになる意識改革を実施した。技術の自前主義も廃し、顧客ニーズ、競合相手、ベネフィット、アプローチの4つを明確にする「提案フォーマット」を定めて、TIC設置2年前の2013年から取り組みを開始された。

TICのコンセプト

事務局として苦労したこと:
TIC設置前は3拠点に分かれていた研究所を統合するにあたり、社内SNSなどのオンラインコミュニケーションツールを使ってアイディア出しをした。慣れない中で議論を活性化させるために、事務局が意図的に共通の課題認識を持つ技術者をつなげたり、匿名での投票を求めたり、アイディアが出た後に管理職の経験を活かす参画を促進したり、部門のトップにもコメントを求めて社内の認知度を高めていった。TIC設置後、戦略室としては、社会・技術動向分析→ビジネス仮説・市場機会の探索→テーマ立案・協業候補の探索→テーマの実行・アイディア試作・開発のサイクルを回している。700名の技術者が活動していることを「見える化」するために、ダッシュボードというツールを使っている。また、他社の取り組みも参考にして試行錯誤を継続している。

他社のオープンイノベーション事例

さいごに:
質疑応答の中では、聴講者が抱える同様の問題意識に対して、入社当初はご自身も研究技術者であった講師がTICの事務局の一員になって現在に至るまでの経験から答えていただいた。異業種であっても本質的な価値を共有できる例会ならではのやりとりであった。



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