関西例会部会
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第132回 関西例会レポート

PMAJ関西 KP 岩崎 伸一: 3月号

開催日時: 2017年2月10日(金) 19:00~20:30
開催場所: 大阪駅前第2ビル 総合生涯学習センター 第4研修室
テーマ: 結果を出す「強いプロジェクトチーム」になろう
~2016年のカープ快進撃にその秘密があった~
講師: 小田 久弥 (おだ ひさや) 氏 / パナソニック株式会社
参加者数: 27名(スタッフ、招待者の計2名含む)

講演概要:
困難なプロジェクトでも結果を出すことができる強いチームとは、どのようなものなのか。
PMの基礎をベースにして2016年のカープの快進撃を振り返りながら、
「強いプロジェクトチーム」の条件やポイントを整理していきます。

PROFILE(概略):
1986年 松下電器産業(現パナソニック)に入社、
SEとしてICTシステム構築のプロジェクトを担当。
2008年 教育部門に転身。PMを中心とした企業向け教育、P2M試験対策講座の講師を担当。
PMS、PMP®、ITIL foundation、情報セキュアド、
阪神タイガース検定などの資格を保有。
2016年上期キーマンズネットで読者評価点 最優秀賞受賞
PROFILE(概略)

プロジェクトとは:
IPA「ソフトウェア開発データ白書(2014-2015)」によると、自己評価でQCD共に成功したプロジェクトは、約65%。小さなプロジェクトや比較的難易度の低いプロジェクトについては、成功するようになってきている。10数年前の統計では、30~40%程度の成功率であったので、かなり成功率は上がっている。しかしながら、大規模であったり、クリティカルなプロジェクトほど、QCDのいずれかに問題が発生しているケースが多いと推測される。
プロジェクトは価値創造事業であるが、これを定義すると、基本属性として、「個別性」「有期性」「不確実性」があり、これに様々な制約事項が加わる。
これは、所謂一般的なビジネスに限定されるものではなく、スポーツにも当てはまるものである。カープ(プロ野球)やエディーJAPAN(ラグビー)、ドラマのスクールウォーズ(伏見工業高校)の例、また、最近のドラマでは、仰げば尊し(吹奏楽、野庭高校)等、プロジェクトとして成功した例がある。その中から、今回はカープを中心に見ていきたい。

プロジェクトマネジメントとは:
プロジェクトマネジメントとは、特定ミッションに対して、成果物を獲得する為に、プロジェクト業務を推進する際に、「公正な手段」「効率的効果的遂行能力」「有期的なチーム」に対して、プロジェクトマネージャが実践能力を適用していくものである。
P2Mは、右図のように、ミッションを実現する為のプログラム・プロジェクトマネジメントの体系である。P2Mの特徴の一つとして、基礎的なプロジェクトマネジメントから、複雑なプログラムマネジメントまで全ての領域をカバーすることが挙げられる。
P2Mとは


強いチームの条件:
強いチームの条件 強いチームの条件として、「ミッション、目的・目標」「信頼関係」「風通し」の3つが挙げられる。
チームは右図の段階を経ていくが、Stormingの状態、コンフリクトが起こらないプロジェクトも存在する。コンフリクトが起こらないプロジェクトは、チームビルディングがうまくいっていないことが多い。
強いチームの条件 また、プロジェクトマネジメントでは、「場」のマネジメント・舵取りが重要であり、これが適切に行われていることが強いチームの条件である。




強いカープをPM的に考察:
強いCARPの条件 2016年のペナントレース、89勝52敗2分でリーグ優勝を果たしたカープの強さの条件は何だったのか。カープは、球団フロントや広島(県・市)、地元企業、地元のみならず全国のファン(近年のカープ女子に代表される幅広い層)が、一丸となっていた。また、前田健太という絶対的エースが抜け、黒田や新井といったベテランが献身的にチームを牽引し、共に勝利に向かって戦うという「場」が出来上がっていた。また、選手強化や球場の改善等様々な球団運営が、「すべてはファンの為」というブレない軸で貫かれていた。
前に述べた、強いチームの条件である、「ミッション、目的・目標」「信頼関係」「風通し」の3つが2016年のカープに備わっており、これが強さに結びついたと考える。

さいごに:
1時間半の予定時間ギリギリまで、カープだけにとどまらず、様々な事例紹介をいただき、参加者を引き付ける、大変充実した内容のご講演でした。

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