東京P2M研究部会
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プログラム・プロジェクトマネジメントの新しい活用の可能性
「イベントとプログラム・プロジェクトマネジメント」

東京P2M研究会 デリア食品 (株) 藤澤 正則 [プロフィール] :4月号

1.はじめに
 東京P2M研究会では、「業務としてプロジェクトを行っているエンジニアリング、建設、IT、商品開発などに関わること」、「P2Mの特徴である3Sモデルとミッションプロファイリングを活用して、ビジネスモデルの業務改革でのミッション達成のフレームワークを構築と実践」の調査研究と実践を進めてきた。2016年度より、P2Mの新しい範囲での活用として、イベントに関する調査研究を開始し、スポーツイベントの主催者、イベントビジネスの実務者などと情報共有の場を設けながら、活用の可能性を検討している。

図1 P2Mのビジネスモデルでの活用範囲(イメージ)
図1 P2Mのビジネスモデルでの活用範囲(イメージ)

2.イベントの内容
 「皆さんは、イベントと聞くと何をイメージしますか?」オリンピックやワールドカップのような大きなイベントや学園祭、展示会など限定されたイベントをイメージされる方もいるでしょう。イベントの定義は、「イベントは、何らかの目的を達成するために手段として行う行事、催事のことである」と旧通商産業省のイベント研究会で策定されている。
( 1 ) イベントの特徴
 「①目的の存在②計画性③非日常性④場の創出⑤コミュニケーション表現・活動」
( 2 ) イベントの基本構成要素
 「①誰が②なぜ③誰に④何を⑤いつ⑥どこで⑦どのように⑧いくらで
 (新しさと他との違い)」
( 3 ) イベントの種類
 「①博覧会系②見本市・展示会系イベント③祭り・フェスティバル系イベント
 ④文化芸能系イベント⑤スポーツ系イベント⑥会議・州会系イベント」
 近年、参加型のイベントも増加傾向
( 4 ) イベントマネジメントの範囲
 「イベントそのもののマネジメント:①品質②工程③予算④安全」
 「イベントという事象のマネジメント:複雑なマネジメント」
( 5 ) イベントの魅力
 「する、見る、支える、応援するなど様々な形で関われる。共感・感動・感謝・・」

3.P2Mとイベントとの関連性
 イベントは、上記の内容より、目的があり、期間が決まっていること、不確実性があり、規模の広がりがあるなど、P2Mの「不確実性・有期性・個別性、多義性、拡張性」の特徴を持っており、活用できる可能性がある。

図3 イベントマネジメントとP2Mの関連性(イメージ例)
図3 イベントマネジメントとP2Mの関連性(イメージ例)

( 1 ) P2Mの見方・考え方からみたイベントの特徴
限られた期間で、ミッション、スキーム、システム、サービスが完了する。
イベントの主催者(企画する人)は、最初から最後まで関わる可能性が高い。
目的に共感し、自発的に動くグループや人、組織も関わるので、始まるとコントロールは難しい。
開催回数は、1回で終わるものと継続して複数回(隔年など)行われるものがある。
開催場所は、同時に異なる場所で開催されるものと一か所で行われるものがある。
関わり方が「する」「見る」「支える」「支援する」など様々な人や組織が関われる可能性があり、影響する範囲は広い。
イベントのプロデューサー(人)の能力が左右する可能性がある。
最初は、あいまいなイメージから始まり、進んでいくにつれて形になっていき、終了後、振り返ると、○○が大事な想いだったとなる事例もある。
イベントが大きくなると、公共性と事業性の両立、一過性でなく持続可能となることが求められ、成功の精度が向上するマネジメントが必要となってきている。
関わった個人、グループ、組織が「また、一緒にやりたい」となることが理想の姿。
イベントは企画構想段階でイノベーションが起こる仕掛けがあること。
限定されない参加者が三々五々集まり結果を遺し去っていくことでストーリーが受け継がれて行くこと。

4.対象とする調査研究範囲 (案)
 イベントは、上述のように非常に範囲が広いので、最初は、「スポーツ系イベント」「イベントの事象」に絞り、事例研究を行い、P2Mの適用性を検討する予定である。

図2 スポーツイベントの分類例(一回で終わる場合と複数回行われる場合)
図2 スポーツイベントの分類例(一回で終わる場合と複数回行われる場合)

5.これからの取り組みについて
 これまで、主として情報収集、調査研究を行ってきましたが、今後については、下記のイベント(太字表記)において、報告ができるように進めたいと考えている。
( 1 ) 東京P2M研究会
5月: PMRクラブ(報告)
9月: PMシンポジウム(報告)

( 2 ) イベントマネジメントSIG
 なお、より多くの方に参加できる形にするために、SIGを立ち上げて進めている。
 (PMAJのホームページ参照)
 P2Mとイベントマネジメントに興味がある方は、是非、研究会への連絡をお願いいたします。

参考文献
基礎から学ぶ、基礎からわかるイベント」日本イベント産業振興協会
スポーツイベントで社会を元気に」日本イベント産業振興協会
「9月8日、11月8日 PMRクラブ資料」PMAJ
東京P2M研究会資料 2016年度
イベント業務者能力評価システム高度化事業 事業活動報告書
経済産業省委託事業 平成20年度サービスイノベーション創出支援事業

以上

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