投稿コーナー
先号   次号

コミュニケーション・スキルとしての「報・連・相」その3

プラネット株式会社 シニアコンサルタント 中 憲治 [プロフィール] :4月号

今回も前回(2017年1月号)に続きコミュニケーション・スキルの一つである「報・連・相」について述べてみたい。まずは再掲となるが「報・連・相」の定義を今一度記する。「報・連・相」とは「報告」「連絡」「相談」の3つの事をさし、「報告」「連絡」「相談」の3つはどのように違うのかを、最初に明らかにしておく。
「報告」とは上司から指示された仕事(プロジェクト)の経過・結果を上司に知らせること。「連絡」とは自分の意見を付け加えず、事実情報を関係者に知らせること。「相談」は判断に迷う時、上司、先輩、関係先にどうしたらよいかの意見を聞くこと。と定義しておく。(この定義は、組織において報連相という言葉を使う時、これとは異なった定義をすることもあるので、注意が必要である)
相談に関する一般的なポイントは次の通りである。
* 「相談」を行う時のポイント
相談相手の都合を考える。
相談内容は整理して臨む。
自責を隠さず相談する。
自分一人で問題を抱え込まない。
自分なりの解決策を考えておく。
「相談」する時は、「報告」「連絡」よりも時間を要することが多いことが通常である。
その為には、相談相手の都合を考慮することは、必然である。
出来るだけ、効率的に相談する場合は、相談内容を整理して望むことは必須である。
問題の原因に、自分に帰する原因があるとしても、そのことは隠さず伝えることが効果的な問題解決に通じることが多い。また。相談にあたっては自分なりの解決策をよく考えて臨むことが大事であり、その時には、複数の解決策を考え、自分の推奨する案を提示することも重要である。
前回(2017号1月号)で次のような経験をお伝えした。(以下再掲)
「報告」に関して、私にはいまだに忘れられない経験がある。まだ若かりし頃、上司が「外部セミナー」に参加し、夕方にセミナー終了後電話を掛けてきた。「私が不在中に、何か問題は生じなかったか?直帰しようと考えるが問題ないか」との電話で、電話は私の先輩がとって、「特に、問題ありませんでした」との返事をした。その後、先輩は上司と2~3分間電話を続けていたが、その様子は叱られて平身低頭といった感じだった。電話が終わった後、先輩に「今の電話は、なんだったのですか?」と尋ねると、「『特に問題ありません』の答えが、問題だったようだ!」との返事だった。訳が分からず、詳しく聞いてみると、上司は、「特に問題ありません」の答えに対し「問題ないことはないだろう、それは君の問題意識(問題状況認識)の低さだ、そこに問題ある」とのようなやり取りだったとのことだった。このことに関しては、その時は全く理解できず、「それなら、何と答えればよかったの?」とずっと疑問に思ってきたが、その後マネジメントを学ぶにつれ、それが問題解決の思考プロセスに関連することであることが分かってきた。
最初にその最適解(自分なりに考えたものであり、教えられたものではないが)は次の通りではないかと考えた。
「問題は、幾つかありましたが、いずれも大した問題でありませんでしたので、適切に対処いたしました。詳細は、明日詳しく報告します」
この様に考えるに至ったには、次の考え方を学んだことにある。
[問題とは、「あるべき姿」と「現実の姿」とギャップであり、「あるべき姿」のレベルが低いと問題が顕在化しない。あるべき姿をどのように設定するかが重要であり、マネジメントのポイントである。] 「問題はありませんでした」との答えは「あるべき姿」のレベルが低いことにあり、そこにこそ問題がある。これが上司の問題意識であり、自らの問題意識をハイレベルに設置し、そこから認識する問題にどのように対処したかを求められていると考えられる。
これは、私自身の推測、考えであり、その時に上司がどのように考えていたかは、確認出来ていない。そのことを質問することもできたと思うが、恐れ多くて出来なかったことも事実である。そんなことも分からないのかと叱られる事を恐れずに質問することも、相談の内に入るのであろうか、しかしその時は、自分なりの解をもって相談する必要があるだろう。

ページトップに戻る