今月のひとこと
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  松尾様  

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :4月号

 今年の東京の開花宣言は3月21日でしたが、満開日は、桜の名所毎に都内でも微妙にズレています。4月初めの1週間は都内のあちらこちらで満開の桜を楽しむことができます。上野公園が4月2日、PMAJ近くの芝公園は4月3日、井の頭公園が4月4日、神代植物園が4月7日の満開予想です。飲み過ぎないように気を付けましょう。

 関西方面に出かけていた友人からお土産を頂戴した。京都にある松尾大社のお守りである。正式には「まつのおたいしゃ」と読むのだそうだが、「まつおたいしゃ」あるいは「まつおさま」という呼び名に馴染んでいる方が多いのではないだろうか。お守りには次のような言葉が書かれている。
 「酒は神授の生薬。服して心を乱さず、体を損ぜず、礼を失わず、和を破らず。適時適量を謹んで用いざれば久しきに堪えざるべし。」
 さらに、お守りを入れた袋の表には「醸造祖神松尾大神御守護『服酒守』」、裏には注意書きとして「飲酒運転は、お酒の神様のお怒りに触れます」とあった。
 日本酒好きの方はご承知だろうが、松尾様はお酒の神様である。日本中の(多分)すべての酒蔵から、お酒の神として信仰を受けている。現在の日本酒ブームの引き金となった「夏子の酒」という漫画(1988~1991講談社「モーニング」に連載)では、日本酒作りに熱中するヒロインの夏子に思いを寄せる同級生が、「神様(松尾様)が恋敵では勝負にならない」と嘆くシーンが有名である。
 どうして松尾様がお酒の神様になったのかは諸説あるが、友人が仕入れてきた話は楽しい。松尾大社を奉斎する秦氏は、もともと大陸から渡来してきた一族である。中国地方で酒造りの技術を磨き、スサノオノミコトが退治したヤマタノオロチに飲ませた酒を造ったのは秦氏の一族だそうである。その由緒を時の京都朝廷にアピールして、松尾山に松尾大社を造営し奉斎してきたことからお酒の神様といわれるようになったということである。松尾様の祭神には男女2柱あるが、いずれもお酒に縁が深いという訳ではなく有力な説だと思われる。
 全国の酒蔵から酒樽を奉納したいとの申し出が引きも切らず、能舞台を改造した神輿庫にも入りきらず、抽選で決めているとか。全国から集まった百個の酒樽を見るだけでも日本酒好きにはたまらない。
 日本酒が大好きな友人は、常々京都に行く機会があれば松尾大社を訪れたいと言い続けてきたが、ついに念願を果たした。来月(5月12日)関西P2Mセミナーが京都で開催される。会場の京都市国際交流会館は京都の東側、松尾大社は西側の苔寺の近くである。セミナー翌日の土曜日、京都見学を予定しているお酒好きは松尾様を訪れてみてはどうだろうか。

以上


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