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「エンタテイメント論」(107)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] :3月号

エンタテイメント論


第 2 部 エンタテイメント論の本質

6 創造
⑦優れた発想は、「考え続けた」末に突然生まれる。脳が生み出す「直感」を信じる事で更なる効果が生まれる。


●魚PJT
 淡水魚水族館の「基本コンセプト」の探索に苦闘した。ある時、ある瞬間、「これだ!」とアイデアが浮かんだ。それは、既述の通り、「地球の大陸大移動とそれによる淡水魚の移住」であった。
 「これだ!」と浮かぶまで、何度も、何度も、そして何度も、様々な事を、考え、考え、そして考えた末に突然生まれた。

●昭和PJT
 昭和村の「基本コンセプト」の探索に苦闘した。ある時、ある瞬間、「これだ!」とアイデアが浮かんだ。それは、既述の通り、「計画地と岐阜県との相似性と等価性」であった。
 「これだ!」と浮かぶまで、何度も、何度も、そして何度も、様々な事を、考え、考え、そして考えた末に突然生まれた。
出典:アイデアの閃き presentermedia.com

●優れたアイデアを発想するための「やり方(具体的な方法論)」
 上記の通り、魚PJTと昭和PJTの説明文章は、基本コンセプトを除き、全く同じである。しかも「何度も、何度も」と「考え、考え」を執拗に、嫌になるほど繰り返した。はっきり言って「最低の文章表現!」と思われるだろう。
 
 しかし敢えて同一表現、同一文章にしたのは理由がある。「反復思考」こそ「優れたアイデア」を発想する「やり方(具体的な方法論)」である事を頭に叩き込んで欲しいためだ。「夢工学式発想法」が強く主張している事、本発想法をマスターする最短、最強の方法論である事を是非分かって欲しいためである。

 スポーツでも、楽器演奏でも、どんな種類のことでも、それを習得(マスター)するためには、常に共通して求められる事がある。それは「練習」である。しかし単に練習すれば良いと云う事ではない。練習の過程で苦手な事と得意な事がはっきりしてくる。苦手克服と得意増進に相当する「特定動作」を選択する。そしてその箇所を徹底して何度も、何度も、何度も、嫌になるほど反復して、練習することである。この繰り返し動作を積み重ねの「量」に比例して「成果の量」が生まれる。

出典:柔道の
投げの特定動作 yahoo.com
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出典:柔道の投げの特定動作 yahoo.com/search/images 出典:ピアノ演奏の特定動作 pianolessons net 出典:ピアノ
演奏の
特定動作
pianolessons net

 以上の事は厳然たる事実ではなく「真実」である。何故なら古今東西の先人達、天才達が異口同音に主張しているからだ。ちなみに「天才」は最初から生まれない。「天才」と言われる人物ほど例外なく、特定動作を常人に比較にならないレベルで反復し、人の知らないところで努力している。もしそうでないと云う「史記」があるなら示して欲しい。

出典:Think、Think, Think yahoo.com/search/images 出典:Think、Think, Think yahoo.com/search/images

 夢工学式発想法は、上記の通り、「特定動作」の反復練習が「優れたアイデア」の成果を生む「やり方(具体的方法論)」であると指摘した。この特定動作とは何か? 勿論、「考える動作」である事は言うまでもない。考える練習をすることである。

●優れたアイデアを発想するための「在り方(基本的考え方)」
 「特定動作」、即ち「考える動作」を反復練習することで「優れたアイデア」が生まれる事を理解した人、特に夢工学式発想法を学んだ人は、間違いなく「考える動作」で繰り返すだろう。そして最初の内は、「何度も、何度も、そして何度も」熱心に繰り返す。しかし殆どの人は途中で投げ出してしまう。何故だろうか? まして「直観」など全く浮かんで来ない。そして結局諦める。

 さて世の中に脳活用法、脳整理法、超発想法、創造脳、感動脳、創造性自己発見、ひらめきの利用術など挙げたら切りがないほど沢山の「創造(発想/思考+発汗/行動)」に関する本が出版されている。ちなみに筆者は、この種の本を今まで数えきれないほど読破した。また参考になる本を筆者の自宅の事務所に所蔵している。

出典:本の山 Creative tree typepad com 出典:本の山
Creative tree
typepad com

 しかし不思議な事に、これらの本の殆どは、①「優れた発想」が生む「仕組み」、②生み出す「やり方(具体的な方法論)の説明が殆どである。③最も重要な反復練習を如何に維持させ、更に発展させるかと云う「優れた発想のための在り方(基本的考え方)」の説明が欠落しているか、決定的に不足している。

 しかも脳活用法、脳整理法、創造脳などの著者は、殆どが脳科学者、大学教授、ジャーナリストなどで、創造による新しい商品、製品、サービス、そして事業の開発と成功の体験を持たない人物が極めて多い。しかも自らの成功事例による創造に関する著書ではなく、他者のそれを後付けで説明した著書ばかり。

 しかも残念な事に現在の出版界は、有名学者、有名ジャーナリスト、学生に本を買わせることが出来る大学教授など、確実に本が売れる人物ばかりを著者に選んでいる。その結果、経営実務家、プロジェクト実務家による著書は極めて少ない。創造活動は地味である。成功しても経営実務家は忙しい。本など書く暇がない。一方、創造作業のカケラも経験した事がない様な出版社の編集長や編集委員には、真の創造に関する本の出版は無理だろう。

 本論に戻る。「優れた発想のために在り方(基本的考え方)」とは何か?

 一語で言えば、「夢」である。新しい発想をして自分の「夢」、会社の「夢」、社会の「夢」を実現させたいと「本心、本気、本音」で願う人物こそが「何度も、何度も、そして何度も」執拗に、熱心に「特定動作」を繰り返すのだ。「夢」は源動力になるのである。途中で投げ出さない。この反復作業の過程で「優れた直観」が浮かんで来る。

 「夢」とは、夜寝て見る「夢」ではない。昼パッチリ目を開けて見る「夢」である。「夢」とは大好きな事、手に入れたい事、為になる事など何でもよい。自らが「夢」と定義するものが「夢」である。

 夢工学式発想法の「在り方」とは、創造の本質と夢工学の本質そのものである。優れた発想は、「発想の動機(夢、好き、欲求、好奇心等)」の強さに比例して生まれると主張する「真意」がここに在る。また「夢工学式」の発想法である事の意味も理解して欲しい。従って「夢」が無い人物は、如何に創造の「仕組み」や「やり方」を理解し、それを実践しても、「優れた発想」は絶対に生み出せない。もし生み出しても、それを実現し、成功させると云う、汗をかいて行動する「発汗」を持続できない。この事実を前記の多くの本の著者達が指摘していない。又は不十分である。

 夢工学式発想法は、創造の「創」を発想の事、「造」を発汗の事と定義している。創造は「夢」を実現し、成功させる一連の行動である。「夢」は楽しいこと、好きなこと、したい事である。従って「夢」を持って挑戦する人は、「特定動作」を繰り返す事など何ともない。夢実現と夢成功を阻む壁(問題)があっても、「汗と涙と血」を流すことを厭わない。それどころか好んで問題解決に挑戦する。天才とは、自らの「夢」に異常に拘り、異常に挑戦する特質を持って生まれた人物である。だから物凄い事を実現するのだ。

 寝ても、覚めても「あの人」を想う気持ちをエルビス・プレスリーは「I want you, I need you, I love you.」と唄って世界的大ヒットをさせた。この恋人の「You」を「夢」に置き換えて、同じ様に強烈な想いを「夢」に持てる人物は、「本物の夢」を持っている人物である。夢工学に関する余談であるが、いつも思うことがある。何故これほど明確で「自明の理」を工学の基本として構築した人物が今まで世の中に何故存在しなかったのだろうか。不思議でならない。

 「夢こそすべて」である。

出典:Dream come true thumbs.dreamstime.com 出典:Dream come true
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つづく

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