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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (35)
高齢化社会の地域コミュニティを考えよう (11)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 2月号

Z. 先月号でIさんは【魅力ある地域公園づくり】というプロジェクトの責任者となり、他の二つのプロジェクト【里山遊歩道マップつくり】、【コミュニティスクールと地域融合】もあると聞いたが、Iさんの発想と決定した3プロジェクトは何が違うのかね。
I. 私が関わったのは“アベノミクス”による地方再生事業計画で、町はすでに総合戦略に基づく前期基本計画(H25~27年)が終了し中期基本計画(H28~30年)にかかっています。中期基本計画の中の事項で課題として検討するテーマの選定が検討部会の仕事です。
私は町の事業に関与するのは初めてで、素人です。募集によって課題検討部会へ参加しました。部会長からの依頼で、メンバーは課題の提案をすることになりました。
現状に詳しくない私は中期基本計画と総合戦略から読み取れた課題を整理して、町がこれから実行するべき『テーマを選び、テーマの使命・目的・目標を書き上げ、まとめ上げるプロセスを書き上げ』提出しました。
他の参加者は単にテーマを取り出し、何をするかを提案した程度でした。
A. その結果どうしたのかね。
I. ここに私の過ちがありました。町の基本計画が立派に書かれ、WBSができていたので中期基本計画書は充実したものと考えていました。しかし現実は都市開発専門家によって作られたものです。そして現実の政策はそれ以前から継続してきたものでした。
A. 何が問題なのかね。
I. 私の提案が現実の政策と乖離している点です。したがって担当部会長は私の提案書の処理に困り、あなたの提案は難しくてここの住民は理解できない。1件当たりA4一枚でわかるものにせよという指示がありました。言われてみればその通りです。住民が理解できないものを、住民に押し付けても決して作業は進展しないからです。私がここでまず学んだことは、外から見て提案できると思っても、地元で生きている人の感情は別です。住民は“アベノミクス”が求めているビジネスを求めてはいません。住民は自分の死に場所で、できるだけ豊かに暮らしたいだけです。
私はまず、一般住民になりきる道を選びました。そして周辺の人々から小さなことも含めて、いろいろ教えてもらいました。その中で種々の課題を発見しました。
A. 何かありましたか。
I. 私が提案した内容を基に少数の幹部で3テーマを選びました。部会長の意見は手っ取り早くできるものを実行しようということで、日本ムラ的発想で決めました。
この3つのテーマだけでは町の再生を達成できません。しかし、これはビジネスの競争ではありません。すべてを1回で決める必要はありません。住民参加のワークショップを実施することで、住民の意識が向上し、さらなる前進が望めるかもしれないと考えました。町全体が日本的ムラ社会の典型です。今回は町の住民として、町再生事業のプロジェクトに参加したことで、いろいろと新しいことを学びました。
参加者は住民から信頼されなければならない。信頼されるには接する人々から話を聞き、相手を理解し、実績を残さなければなりません。
日本ムラ社会という、とてつもなく大きく、長く続いている社会の住民の発想を無視しては、こちらが排除されるという力学が発生します。
信頼関係が確立すると、相手から聞いた話を広げることができます。将来この問題はどうなるか、などと質問するうちに相手はどんどん変化していきます。会話の発展の中から更に信頼関係が生まれてくるのがわかります。
現在完全なムラ社会住人となり、知人が増え、この流れの中から一つの意見が形成される流れをつくる方法を開拓したいと考えているところです。
A. どうやらIさんらしい目途がたってきたという結論でいいのかな。
I. 当分今の方針を継続します。理由はトランプ大統領の出現で世界経済がどのように展開するかわからないからです。トランプ大統領の主張は正しいところがあります。
実行が難しいという問題がありますが静観します?

以上

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