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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (34)
高齢化社会の地域コミュニティを考えよう (10)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 1月号

Z. 先月号でIさんは【魅力ある地域公園づくり】というプロジェクトの責任者となった。
何か困ったことが起こったのかな。
I. 他2つのプロジェクトは町民のための「里山遊歩道をつくる」という提案と入学児童の減少で、この「小学校と中学校」を融合させたコミュニティスクール構想が出され、コミュニティスクールでの教育を、教育委員会が検討中である。このプロジェクトの役割はPTAや住民との接触をどのように効果的にするか検討し、提案するというもので、ある程度の成果をだせるテーマである。
一方【魅力ある地域公園づくり】は先月お知らせしたとおり、町の方針がすでに決まっており、縮小の方向です。このプロジェクトを成功させるには従来にないアイデアが求められています。
そこで第3回目のステアリング会議を開き、公園プロジェクトはハードの強化は望めない。魅力ある公園とは新しい公園の使い方の方向性を考えてみた。
提案の方向性とは、
子供の利用が少ないので、老人の使用、父親と子供の交流を図るコミュニティをつくって親子の絆だけでなく、若手の親同士に要るコミュニティをつくることで、新しい価値創出ができる。
今まで禁止されていた公園の使い方で、責任者が指導する場合はその活用範囲を広げてもらえる範囲を検討する。
コミュニティの野外ミーティングに活用する。バーべキューの会等。
コミュニティスクールの教材として公園の活用を考える。
花の公園の創生(魅力ある企画)。
これらの提案に対し、他のメンバーは今まで経験がないし、人集めは困難だというものでした。
四回目の会合では既定路線の通り、町の住人を募集して、住民に提案させるという結論になり、ワークショップの結果を見てそれから、再検討することにした。
A. 何時ものIさんらしからぬ決断だね。
I. 私は長年“日本的ムラ社会の戦略”の研究をしてきました。日本のビジネス社会(“日本的ムラ社会”)の日本人は戦略好きです。講座を開くと集客率が高いことが分かります。BSC(バランス・スコア・カード)が世に出ると、猫も杓子もBSC信奉者になります。MBA戦略でも同じです。“日本的ムラ社会”では教科書にない戦略は信用してくれません。特に日本人が考えた戦略など評価の対象というより、エセものと評価されるか、現状を知らない頭でっかちと評価されます。
今回の私の決断は、ムラ社会の先達の意見に負けることです。それは彼らの軍門に下り、現状理解の教えを受けます。私はもはや外部の人間ではなく、住民という“日本的ムラ社会”の一員になったからです。“難しい論理的”なことを言っていた人物が、結局自分たちのいうことを理解してくれたと評価されることです。村人になるには彼らに信用されないと、何事もできないからです。最初は負けることに価値があります。信頼されたら周囲の人々との交流に入ります。女性は「ムラ社会の長的存在の人々を意外と正しく評価しており、役に立つ情報をくれます」。若手の男性は将来志向ですから、批判者がいますが、2分類できます。単なる批判者と、もやもや(現状に不満であるが、何をしたらいいか、よいアイデアが浮かばない)タイプがいます。後者と女性とお付き合いし、理解者を増やす活動をすることが大切です。彼らの中に素晴らしい意見を出す人々が存在します。
A. なるほど、この戦略は欧米では通用しないが、“日本的ムラ社会の戦略”としては頂ける代物かもしれないな。ワークショップの結果が出たら、総攻撃にでるのかね。
I. いいえ、次の手を考えます。多分役に立つ提案は、他の2つのプロジェクトに好結果をもたらす内容の提案が、ムラ社会のボスたちに抵抗なく受け入れらえるものになるかもしれません。次の手は決まったらボスに言わせることを考えることです。
A. ボスに言わせることで、“日本的ムラ社会の戦略”が変化し、ムラ社会が変化することを実施しようという戦法かな。
I. 戦略家が勝者になっては、ボスの顔をつぶすことになります。孫氏の兵法といいますが、孫氏は自分の本心を決して言ったこともなく、書いたこともないのです。明治以降の日本人の戦略は習った戦略だけを駆使し、太平洋戦争では米国に裏をかかれて負けています。家電業は自社の手の内をサムスンに教え、屋台骨まで壊されてしまいました。MBAには書いてありませんが、戦略家は影の存在が重要です。

以上

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