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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (33)
高齢化社会の地域コミュニティを考えよう (9)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 12月号

Z. 先月号でIさんは3つのプロジェクトを立ち上げた。
里山遊歩道整備
コミュニティスク-ルに対する地域交流起点化
魅力ある地域公園づくり
その後この課題はどのように展開しているかね。
I. 3つの分科会が発足し、3名のプロジェクト責任者が選ばれました。3名の責任者は各プロジェクトの住民がそれぞれのテーマでありたい姿を模索するワークショップを実施するための準備活動をする方向で動き出しています。
私が担当するのは【③ 魅力ある地域公園づくり】です。
公園プロジェクトにはこの町で多くのボランティア活動を続けている2人の賢人が助っ人になってくれました。このプロジェクトはこの3名でステアリング会議を開き、検討にあたっては本プロジェクトに適した人材を勧誘することにしました。
これまで3回の会合を開きました。
第1回は3名のステアリング会議を開きました。
プロジェクト責任者の私は町の事情にもっとも疎い立場であったこと。
そのために町が実施した総合戦略、中期計画書を改定前までさかのぼって勉強したこと。これらの計画案はよくできた内容であったこと。
そこで私は総合戦略には記されているが、「“アベノミクス”の中で国が求めている地域再生事業」についての課題を具体化することで価値創出が実現できる内容を考え提案した。提案に対し、それを読んだ部会長が彼の立場からすると町の方針とかけ離れた提案であると認識し、内容の説明を求めることもしないで没としたことへの不満もあるが、今回は私自身が町の現状を詳しく理解していない立場であることを考慮して、素直に今の原案を了承した。
そのため第1回の会合では2人の賢人から町の現況について話を聞くことにし、ステアリング会議としての正しい判断をする準備を行った。
その結果公園に関しては町がすでに方向固めを進めているから、町役場のご担当を直接訪問し内容を理解することにした。
町から情報入手後、ステアリング会議を開きワークショップを効果的に行えるための準備として、必要な人材の勧誘を決めることにした。
第2回会合は町役場を訪問し、公園担当部課長、係長から公園の統廃合に関する基本方針の説明を受けた。
問題点1. 公園問題は町民の大きな関心事の一つでおろそかにできない
問題点2. 人口が減り始めていながら管理費が増大していること
問題点3. 公園への住民の要求は高いが、利用率は年々減少していること
したがって公園の統廃合が必要である。しかし大型の都市公園法に基づく公園は統廃合しない。小型の児童公園の統廃合は行う。その場合でも町民との意見交換は実施する。
感想:町担当部署の役割としては、町からの予算縮小要求への方針を守ることが最大の課題である。

“アベノミクス”が求めているのは、地方自治のサバイバルで、新しい価値創出を求めている。しかし、現場の担当官としては、予算で決められたことしかできないという命題がある。

“アベノミクス”が求めることを成功させるには、町長が価値創出に向かって、企業とのコラボレーション等何らかのビジネスを構築するという発想が必要だが、担当課長からそのような気配は全く感じられなかった。
町の総合戦略書を読むと、従来やられていないこともやると書いてある。書かれた事柄は町づくり専門家が書いたものだから、書かれたものが価値創出であることに気が付いていないのかもしれない。それは安倍総理がもとめる“アベノミクス”そのものが、官僚が指導する「日本的ムラ社会」的手法で、国債を20年間使い続けながら成果を出さなかった手法と類似だからである。そこには“アベノミクス”も成果を出せないまま、終焉を迎える気配が感じられるが、既得権益者はまさに満足している「日本的ムラ社会」が手つかずに存在している。オリンピック予算増大問題も典型的な一例である。

以上

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