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「ダイバーシティ時代のプロジェクトマネジメント」
~飛翔する力~

井上 多恵子 [プロフィール] :2月号

 鳥の絵と共に書かれた「飛翔」という言葉を目にしながらこの1か月間、職場での日々を過ごしてきた。頂き物の卓上カレンダーを見る度に思う。2017年酉年にふさわしい「飛翔」のために必要な行動がこの1か月間、できてきただろうか、と。
 私が学んでいる方眼ノートの師匠高橋さんによると、「2017年は大飛躍の年」。その波に乗るためには、「欲しい結果を決める」「行動し、変化に気づき」「必ず結果を出す」ことを実直に繰り返すことが必要とのこと。今回は、この1か月に私が出会った考え方や経験から得た気づきの中で、このルーティーンを回し、飛翔につなげていく際に力を与えてくれそうなものをいくつか紹介したい。
 「毎日1%、改善することを会社の全員が目指しています。」これは、米国西海岸の会社に勤務する方が、年明け早々ランチをご一緒した際に語っていた言葉だ。聞いた時は、「へえ~」と思っただけで、さほど印象には残らなかった。しかしその数週間後、この毎日1%改善することの影響力に、愕然とさせられる話を聞いた。「毎日1%改善すると、計算上は、1年後には27倍改善している」ということを、たまたま別の研修絡みで同僚がしたのだ。「毎日1%の努力をするかしないかで、たった1年で27倍の違いになるんだ、、、」これまでなんとなく過ごしてきた多くの日々のことが脳裏をよぎった。特に学生時代と、30代はそうだった。日々楽しければいい、みたいな感じで過ごしていた。まあ、過去を嘆いても仕方がないから、まずは、今年1年頑張ってみようと決意した瞬間だった。毎日1%の改善なら、できる気がする。
 さて、どの領域でそれをするか。私の場合、朝から晩までずっと頑張っているのは難しい。となると、改善できそうなところに絞り込む必要がある。一つは私がライフワークとして関わっていきたい教育者としての改善だ。幸いなことに、このための機会はいろいろとある。社内での研修講師としての役割。新入社員から若手、中堅、部長クラスまで、1年にかなりの数の講座をこなしている。講座の内容も思考力系からコミュニケーション、マネジメント、リーダーシップと様々だ。対象も階層別と選抜系の両方があり、一回の人数希望も10数名から30名程度まで、と様々だ。毎回受講生のアンケートがあるので、それを次回以降にできるものから活かすことを試みている。
 先日実施した2つの研修では、前で見せているスライドと、受講生に配られる手元資料との関係性をわかりやすく示すようにした。同僚が作成した教材や外部から購入した教材を使う研修なのだが、私なりに話しやすいように、補足資料等を足している。その結果、前で見せているスライドに書かれているスライド番号と、受講生に配られる手元資料のスライド番号が一致しなくなっていたらしい。オブザーブをしていた人からの指摘を受けて、始めて気づいた。「相手目線で考えること」の重要性を認識しているつもりなのに、なかなか徹底できていない。自分の話を相手に理解してもらい、望む行動を起こしてもらうためには、何よりも大事なことなのに、、、
 先日社内で行ったプレゼンテーションでも、思った。「また、やっちゃった~」上手くすらすら言えるように、プレゼンテーションの直前に、流れを頭の中で何度か繰り返した。話自体は、すらすら言えた。しかし、「相手目線」が欠けていた。それは相手が発した質問の数々で明らかだった。質問は全て、想定し得た範囲内のものだった。「確かに、そこ、聞きたくなるよね~」なぜ、事前にそこまで想いをはせることができなかったのだろう、、多分「上手く話すことスイッチ」が早い段階から入ってしまうからだろう。「習慣化することは難しいです。わかりやすい形で自分に思い出させる工夫が必要です。例えば相手の話をさえぎってしまう人は、目に見えるところに『まず40秒黙って相手の話を聞く』と書いた紙を貼っておくと効果的かもしれません」と、偉そうに講師として言っている自分。私も、「相手が何を聞きたいか、を想定する」⇒「案をつくる」⇒「相手になったつもりで、資料を眺めてみて必要なことを補足する」⇒「スムーズに話せるよう練習する」の流れが自分の中で習慣化されるまで、このフレームを机の目に見えるところに貼っておこう。
 プレゼンテーションや指導の場面は特に目立つ機会だが、「相手目線」が重要な場面は、他にもたくさんある。同僚や上司との会話、メール、両親との電話などなど。性格的にも私は、「自分目線」になりがちだ。自分の考えを言わないと気が済まない。でも、これは、残念ながら「飛翔」を妨げてしまう。もっと大人になって、自分が言ったり書いたりしようとしていることで相手がどう思うのか、その結果私が実現したいことを遠ざけてしまうなら、あえて言わない、書かない、そんな行動が取れるように、1%ずつ日々改善したい。

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