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性善説
人間は生まれながらにして善であるという。「人の性の善なるは、猶(なお)水の下(ひく)きに就くがごとし」「大人(大徳の人)とは、其の赤子の心を失わざる者なり」と述べ、人の性は善であり、聖人も小人もその性は一様であると主張した。 |
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孟子と荀子
孟子の性善説に対して、荀子は性悪説を唱えた。両者とも学問することを通じて人間がよき徳を身に付けると説く点では同じである。「人間の持つ可能性への信頼」が根底にある。違いは、孟子が個人の主体的な努力によって、社会全体を統治できるという楽観的な「人間中心主義」に対して、荀子は君主が社会に制度を制定して、型を作らなければ人間はよくならないという「社会システム重視」の考えに立ったところにある。 |
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四端
「四端」とは「四つの端緒」という意味で、「惻隠(そくいん)」(他者を見ていたたまれなく思う心)・「羞悪(しゅうお)」(不正や悪を憎む心)・「辞譲(じじょう)」(譲ってへりくだる心)・「是非」(正しいこととまちがっていることを判断する能力)と定義される。この四端を学んで努力することで、仁・義・礼・智という人間の4つの徳に到達すると言う。 |
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仁義
孔子は仁を説いたが、孟子はこれを発展させて仁義を説いた。仁とは「忠恕」(真心と思いやり)であり、義とは「宜(むべ)なり(適切である)」ことをいう。 |
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王覇
君主を「王者」と「覇者」に、その政道を「王道」と「覇道」とした。覇者とは武力によって仮の仁政を行う者であり、王者とは徳によって真の仁政を行う者である。 |
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民本
領土や軍事力の拡大ではなく、人民の心を得ることによって天下を取ればよいと説いた。あくまで人民あっての君主であり、君主あっての人民ではないという。人民を重視する姿勢は孟子に一貫している。絶対の権力者である君主の地位を、社会の一機能に位置付けた。彼の理論は支配層にとっては危険とされ排除された。 |
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天命
天下を与えられるのは天だけであり、天命に逆らって天下を治めることはできない。天命は、民の意思を通して示される。民が天子と認め、その治世に満足するかどうかによって天命は判断されるとする。 |
(孟子の言葉)