例会部会
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『第215回例会』報告

中前 正 : 12月号

日頃、プロジェクトマネジメントに従事している皆様、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、10月に開催した『第215回例会』について、ご報告いたします。

【データ】
開催日: 2016年10月28日(金)
テーマ: 「グローバルとイノベーション」 ~価値観がすべてのベース~
講 師: 株式会社大和製作所 代表取締役 藤井 薫 氏

■企画意図

グローバリゼーションやイノベーションというキーワードが叫ばれて久しい昨今。国内市場は飽和の域に達しつつあり、また消費者のニーズの多様化・複雑化がますます進む現代においては、どのような規模の企業であれ、積極的な海外進出や思い切った業務革新が不可欠になってきています。

しかし、いざプロジェクトを立ち上げ、新しいビジネスに挑戦しようとしても、うまく進めることができず、挫折してしまうことも少なくありません。これまで利益を上げてきた手法への固執や、未踏の分野に対する見通しの甘さなどが要因として考えられますが、これらを打破し、企業を成功に導くために必要なものは何か。今回の例会では、ある製麺機メーカーの事例をもとに探ってみました。

■講演内容

今回、講師にお招きしたのは、香川県の製麺機メーカーで代表取締役を務める藤井薫氏(以下、講師)です。メーカーとしてこれまで行ってきたビジネスの軌跡や、未来の外食産業の予測を交えながら、そのベースとなっている考え方をご説明いただきました。

41年前に起業した当初、この製麺機メーカーの顧客はプロの麺打ち職人ばかり。彼らの「業務効率を上げるために機器を導入したい」という思いに応えるため、一途に製麺機を製造、販売してきましたが、徐々に成功する顧客と失敗する顧客が現れたそうです。それらを目の当たりにして、ただ製麺機を提供するだけのビジネスに疑問を感じ、「店の繁盛を支援する企業になる」という使命を掲げたのが20年ほど前。以後、うどん学校やラーメン学校を開校したり、斬新な麺メニューを開発したり、海外への店舗進出を目指す企業を後押ししたりと、さまざまな形のビジネスを展開してきました。

このような変化を通じて、講師は「ビジネスは、価値観がすべてのベースとなる」との考えに至ったとのこと。マクドナルドでは「品質」が第一、ディズニーランドでは「安全」が第一ですが、講師の企業では、

第一に、「顧客に深くフォーカスし、絶えざる奮闘精神で、価値ある奮闘を長期にわたって続けること」
第二に、「自己批判」
第三に、「オープンな姿勢と進取の精神」
第四に、「効率の追求」

という順序を設定してビジネス展開をしてきたことが、成功の要因となったようです。

■講演を聞き終えて

グローバル展開やイノベーションなど、変化を前提としたプロジェクトにおいては、しっかりとした価値観を持つこと。その重要性に気づかされた、個人的にも大変有意義な講演となりましたが、当日参加された皆様はいかがでしたでしょうか。

私がとくに印象的だったのは、「製麺機メーカーが成功するためには、(ただ機器を売るだけではなく)麺文化全体の発展が不可欠である」という講師の言葉です。この言葉に、講師自身の麺文化に対する思いを強く感じました。その思いが、上記の価値観を具現化し、時代の変化に対応できる企業体質を生み出す原動力になっているのではないかと考えています。

例会では、今後も、成功事例から学ぶ講演を企画していく予定です。引き続きご期待ください。

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