例会部会
先号  次号

『第214回例会』報告

岡崎 博之: 11月号

【データ】
開催日: 2016年9月23日(金)  19:00~20:30
テーマ: 「ドラッカーとメンタルヘルス」
  ~仕事の悩みを自信に変えるドラッカーの言葉~

講 師: 尾崎 健一 氏/株式会社ライフワーク・ストレスアカデミー代表取締役

【はじめに】 コンピュータメーカーに勤務後、大学院で臨床心理学を学び、人事・メンタルヘルスの業務を経験の後、独立された尾崎様に、メンタルヘルスの講演を行っていただきました。

【講演概要】
1.職場のメンタルヘルスの現状
企業アンケート結果から「心の病は増加傾向」との回答は減少しているが、「横ばい」が増加、「減少傾向」は減少しています。すなわち、企業における「心の病」は大きく増大はしていないものの高止まりしています。
メンタルヘルス不調による休職は事業所規模において大企業、産業では情報通信業が大きな割合を占めています。
事故や怪我といった物理的な労災申請件数は下げ止まりの傾向にあるのに対して、精神障害等による労災請求件数は増加の一途をたどっています。

2.「貢献感」とメンタルヘルスの関係
「貢献に焦点を合わせることが成果をあげる鍵である」とのドラッカーの言葉があります。
社会・組織・身近な人に対する貢献感がメンタルヘルスに良い影響をもたらすことをワークショップ(ワーク①私のメンタルヘルスとワーク②私の貢献)を通して参加者に実感してもらいました。また、社会貢献感と抑うつ感の関係を調査・研究され、社会貢献感の高い人は抑うつ感が低いという関係があることを示されました。

この貢献感について、2つのワークを行いました。
ワーク① 私のメンタルヘルス: 心の健康が害される場面を思い出し、「ストレス」に感じたこと、「納得いかない」と感じたことを書きだし、気分の数値評定表をもとに、気分を数値化するというワーク。
ワーク② 私の貢献:社会に対して、所属する組織に対して、身近な人に対してどのような形で貢献しているかを書き出し、気分を数値評定するというワーク。

3. ドラッカーの定義するコミュニケーション
メンタルヘルスに役立つドラッカーの言葉として、「コミュニケーションとは、知覚であり、期待であり、要求であり、情報ではない」を挙げられました。情報に偏りがちな職場のコミュニケーションにおいて感情・価値・期待の重要性を示し、あえて相手の主観を聴くということが大切であると説いています。
ワークでは、自身のコミュニケーションの成功事例として「自らが貢献を意識することで、相手のやりたいことを聞き出せ、こちらが希望すること(要求)を伝えられた」発表があり、失敗事例として「伝わっているかを確認しないまま、一方的に伝えようとして伝わらなかった」発表がありました。
これは、メンタルを意識する、すなわち相手の主観・感情・価値観を意識することがコミュニケーションの成功につながることを示しています。

【所感】
ワーク①私のメンタルヘルスで、心の健康が害される場面の気分は「-7」 となり、ストレスがメンタルに強く影響を及ぼしていたことを実感。続くワーク②私の貢献で、自分が貢献した場面での気分は「+8」となり、心の健康が害された場面とは明らかに異なる気分となり、貢献感がメンタルヘルスに良い影響をもたらすことを実感しました。

尾崎様、ご講演いただき大変ありがとうございました。
以上

ページトップに戻る