例会部会
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『第213回例会』報告

須貝 均: 10月号

【データ】
開催日: 2016年8月26日(金)  19:00~20:30
テーマ: 「プロジェクトを成功に導くポイント」
  ~プロジェクトマネジメントの実践事例~
講 師: 杉浦 和史 氏/杉浦技術士事務所

【はじめに】
汎用機向けOS開発、中国政府機関システム構築、大手化粧品メーカの営業支援システムの開発、病院のリソースマネジメントシステム開発など、多くのシステム開発とそれに伴う人材育成に携わってきた講師に、これらの経験を踏まえ、幾つかのプロジェクトにつき、苦心した点などエピソードを交えて講演頂きました。
【講演概要】
講師が情報システム開発プロジェクトを多数経験し言える事
講師はプロジェクトマネジメントに特別な方法はなく、仕事をするなかで自然と身につく以下のリテラシーが重要と考えている
1. プロジェクトメンバーからの信頼を得る事(人望)
2. 関係者の教育(人材育成)
3. 業務に関係する有形無形なすべての環境の理解(俯瞰力)
経験したシステム開発プロジェクトの紹介
1. 中国政府機関システム構築
2. 化粧品メーカFT事業部向け営業支援システム
3. 予約業務を主体とする院内リソースマネジメントシステム
講師が考えるプロジェクトのマネジメント方針
1. 現場を育て、信頼を得つつ、プロジェクトの推進の戦力に
2. 抵抗勢力にはEBP(evidence based persuade)で臨む
3. 予算、時間、技術にできる事、できない事を明確に
4. お金を使わず知恵を働かせる
5. 楽しい雰囲気を醸成する(喜怒哀楽を共有する)
院内リソースマネジメントシステムの成功要因
1. 少人数開発でコミュニケーションロスが少なかった
2. 発注側責任者が高い見識を持っていた
3. 開発側が依頼者と対等の立場で意見交換できた
4. 品質管理を徹底した
5. 画面中心設計 & プロトタイプアプローチ手法の採用
【所感】
 今回の講演では、システム構築に際しプロジェクト参加者の意識改革と業務プロセスの見直し/無理無駄の排除から着手し、プロマネとして指示命令系統を一本化する事を優先的に取り組む講師のエネルギッシュな姿勢がとても印象的でした。院内リソースマネジメントシステムの事例では、医療現場スタッフに対し教育を実施し、業務改革IT委員会を組織し、医療現場スタッフのスキルアップを図りながらシステム仕様を一から作らせる事にチャレンジしたアプローチ方法は、我々SIerも参考にすべきシステム構築スタイルだと思いました。
 最後に、当日は講演時間の関係で省略した院内リソースマネジメントシステム導入成功ポイントと本プロジェクトの評価を講師より後日入手しましたので下記に紹介します。
 「システム導入成功ポイント」
 ・ 意識改革を伴う業務の整理整頓(BPR)
 ・ 標準化(作業の均質化、例外処理の削減)
 ・ トップも含んだ聖域なき改革と教育(人材育成)
 ・ 患者(サービスを受ける側)の協力(意識改革)
 ・ ベンダ、コンサル会社の口車に乗せられない
 ・ 無定見にブームに迎合しない
 ・ 成功事例を鵜呑みにしない
 ・ 簡単にできると思わない
 「本プロジェクトの評価」
 患者満足度を上げ、職員満足度も上げ、経営にも寄与するいわば、三方一両損ならぬ三方一両得になったのが今回の開発プロジェクトであった。

杉浦様、興味深いご講演をいただき大変ありがとうございました。

以上

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