関西例会部会
先号   次号

第129回 関西例会レポート

PMAJ関西 KP 安達 正人: 10月号

金城貞美氏
開催日時: 2016年9月9日(金) 19:00~20:30
開催場所: 大阪駅前第2ビル 総合生涯学習センター 第4研修室
テーマ: 「自分を見つける!今こそチャレンジ」
 ~人に雇われないという働き方~
講師: 金城 貞美(きんじょう さだみ) 氏
/株式会社 ベイルインテリア 代表取締役
参加者数: 22名(スタッフ3名含む)

講演概要 :
起業するまでのプロセス、起業後の継続方法をコネなしお金なし、自分ブランディングだけで仕事を拡大してきたストーリー。
また、女性が働く上での困難やワークライフバランスのとりかたや、女性スタッフを雇用するうえで大切にしている思いなどについて、実体験を交えたお話を聞かせていただきました。

講師PROFILE(概略) :
大学で英文学を学び、当初は企業の中で事務職を経験するも違和感を覚え退職。資格を取得しインテリア業界へ転身。転職先のインテリア会社では、売り上げ優秀賞を受賞するなど好成績を維持。これは、子供の頃から何に対してもNo.1になりたいという強い思いが、結婚・家庭を持ち育児や親の介護をしながらも人一倍頑張り、かつ、女性ならではのお客様への心遣い・気遣いなどへ反映したもの、と自己分析されています。
2010年にインテリアコーディネート以外に整理収納アドバイザーや講演業も開始し、2014年に株式会社ベイルインテリアを設立。インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー、ライフオーガナイザー、福祉住環境コーディネーターなど多くの資格も活かして幅広くご活躍中です。

メディア掲載 :
新聞や雑誌、テレビ番組など多くのメディアに掲載・出演されていますが、女性が一人で起業していく中で多くの方に知っていただく手段の一つとして、積極的にメディアを活用されています。

起業するために :
金城氏ご自身が持っているテーマは、いつも何事も“キチンとする”こと。そして、「自分が60歳になるまで“やりがい”のある仕事を続ていけきたい。」という明確なライフプランを持っておられることです。
決してお金ではなく、自分にとって働き甲斐がある仕事を継続すること。その中で自分が今できること、これからしたいことなどを整理していくことについてお伺いしました。
起業した当時は、女性が一人で起業できるような時代ではなかったが、時代とともに女性の働き方に対する意識が大きく変わってきたことを、女性経営者として働き始めて実感されたそうです。

自分ブランディング :
立ち上げたビジネスをより大きくしていきたい、そのために、まずはターゲットとなる顧客を多面的ではなく、比較的裕福なアッパー層の女性に絞ることを考えられました。そして、そのお客様方はどんな雑誌を読んでいるのか、などをブログやSNSの反応によってお客様をリサーチする必要があると考え、ブログを立ち上げられました。
ブログやSNSは、今では誰もが気軽に使っている情報ツールですが、起業された当時はあまりメジャーではない中で、独学で立ち上げられたということです。
まさに、自分自身をブランド化し、マスからニッチ顧客層へ的を絞って価値を提供するというマーケティング戦略を自らの発想で実践されています。

メディア出演のきっかけ :
たった一人で起業し、コネもお金も営業担当もいないなかで、金城氏の営業戦略は、まず少数の強力なファンが営業をしてくれるという発想。人が人を結び、仕事が仕事を呼ぶ。いくらこちらが全力投球してもプラス20%の満足を感じなければお客様は喜んでくれません。
着々と準備を重ね、チャンスを逃さない。テレビ番組への出演に至った経緯や番組制作時のご苦労や裏話なども楽しく拝聴させていただきました。

SNSの活用 :
当社のビジネスはモノを売る世界からコトを売る世界へ変遷しており、現在の売上げの8割以上がスマホやHPから繋がっているものだそうです。従って、ブログの検索ヒット率を上げるための様々な取り組みを継続的にされておられます。

女性の雇用 :
ある最近の調査では、働く女性の半数以上が仕事はほどほどにプライベートとのバランスをとった働き方や趣味の延長線上で収入を得るような働き方を望んでいるそうです。
金城氏の会社のスタッフはすべて女性で、そうした個人の意識を尊重し適材適所のチーム作りに取り組んでおられています。
また、コンサルタントビジネスにおいても「女性の暮らしをよくする」ために、整理収納を通して心の中も整理されることによる家庭環境の改善を目指しておられます。

今からの10年20年を :
金城氏のビジネスは、個人の「住まい」(BtoC)だけでなく、「企業事務所内の5S」(BtoB)による企業価値の向上のためのコンサルタントも手掛けておられます。この中では単なる片付けではなく、個人のモチベーションおよびチームのコミュニケーションによる組織全体の作業効率の向上を目指した取り組みを進めておられるそうです。
一方、「おかたづけのまほう」という絵本の出版を通して子供の教育や福祉関係にもビジネスの世界を広げておられます。

さいごに :
1時間半の予定時間を少し超えてまで熱心にお話しをしていただきましたが、それでもまだお聞きしたいことが沢山あると思えるほど大変充実した内容のご講演でした。
ご講演の資料にもお話の中にも、「プログラム」や「プロジェクト」などの用語は全く出てきませんでしたが、一人の女性が家庭を両立しつつ起業し、従業員を雇用しビジネスを拡大されている中での思考や行動は、まさにプログラムマネジメントの実践事例として目から鱗の非常に参考になるものばかりでした。
大変お忙しい中でご講演くださったことへの感謝と共に、今後の金城様のご発展とご健勝をお祈りいたします。


ページトップに戻る