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コミュニケーション・スキルとしての「報・連・相」

プラネット株式会社 シニアコンサルタント 中 憲治 [プロフィール] :10月号

あなたは、次の質問に幾つ「Yes」と答えられるだろうか?

報告に当たって、結果を先に、経過は後で話すようにしている。

多少でも複雑な事柄を伝えるときは、事前に要点を整理して臨んでいる。

複数の事柄を報告する際は、報告の優先順位を付けている。

依頼された仕事が長引いているときは、上司や関係先から「どうなっている?」と聞かれる前に、中間で報告している。

本人不在の為、重要な事項の伝言を依頼した時は、それが本人に伝わったかを確認している。

伝言を頼んだ人の名前を確認している。

今、連絡すべきタイミングかどうか、状況を良く考えて判断している。

不明点・疑問点があったら、仕事に掛かる前に、かならず確認している。

重要な連絡事項をお客様や関係先にFAX・メールしたときは、確実に届いたかどうかの確認をしている。

上司や関係先に相談する時は、必ず自分としての判断や意見を持って臨む。

コミュニケーション・スキルは、ビジネスにおける基本と言われているが、この基本が必ずしも徹底されていないことは、問題発生の原因と考えられている。
 
PMBOK® にはコミュニケーション・スキルについて幾つもの知見が書かれているが、コミュニケーションは、その組織の持っている歴史・風土および文化に左右される事が多い。プロジェクトマネジメントにおいても、ビジネスにおける一般のコミュニケーション・スキルと同様な事が求められ、日本のビジネス界では「報・連・相」というコミュニケーション・スキルが存在する。このことからプロジェクトマネジメントにおいても日本のビジネス環境においては「報・連・相」のコミュニケーション・スキルが有効であると考え、プロジェクトにおける「報・連・相」について幾つかの考察を述べてみたい。
まずは、「報・連・相」の定義である。「報・連・相」とは「ホウ・レン・ソウ」と読み「報告」「連絡」「相談」の3つの事をさす。では、「報告」「連絡」「相談」の3つについて、それらは何なのか(What)それらはどのように違うのかを、最初に明らかにしておくことが肝要である。
「報告」とは上司から指示された仕事(プロジェクト)の経過・結果を上司に知らせること。「連絡」とは自分の意見を付け加えず、事実情報を関係者に知らせること。「相談」は判断に迷う時、上司、先輩、関係先にどうしたらよいかの意見を聞くこと。と定義しておく。
しかし、「報・連・相」を行う為の大前提がある。それは上司からの指示を間違いなく聞くことであり。その為には、つぎの3つの事が重要である。
メモを持って上司の指示を書きとめる。
上司の意図・狙いを確認する。
仕事のタイムリミットを確認する。
プロジェクトマネジメントにおいても、①上司から受けたプロジェクトの目標は、必ずステートメントとして受け止める。②ステートメントの確認。③納期の確認。の3項目は必須である。
「報・連・相」が必要な理由は次の5つを挙げられる。
上司が進捗状況を把握できる。
問題が起きてもすぐに共有でき、手が打てる。
上司の意図からずれない。
効率的に組織運営が出来る。
ステークフォルダーの満足度に繋がる。
次回から、「報・連・相」の3つについて、WHAT、WHYおよびNOTICEの観点から詳細を述べてみたい。

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